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精神医学の発展(その3)

たにぐちです。

令和にネタが特にないのですが
引き続きよろしくお願いします!

(´_ゝ`){それではガンバロー

今回は19~20世紀シリーズ

精神医学教科書から20世紀の発展

Kraepelin精神医学教科書第5版
この内容は精神医学観を一変させたのではないでしょうか?(某同僚医師曰く)
これにはMeyerも絶賛していたようで。
「従来の症候学的立場を捨て病因論的立場に立つことを主張し、2000年以上使われてきた用語をすべて打ち捨て、心理学的概念を放棄、精神疾患が、病因、経過、転帰に関連して特徴的でなければ、その疾患概念を取り上げるべきではない」との内容に絶賛していたようです。

遺伝学等から分類するのではなく、予後から分類しました。

これがちょうど1896年に発刊されているんですね。

日本の時系列に合わすと、呉秀三が帝国大学医科大学精神病学教室の教授になったころです。

1906年にはAlzheimerの発見
1908年にはBeers CWわが魂に会うため」刊行
彼自身うつ病、パラノイアの診断で、精神科病院に入院の経験があります。その時の悲惨な状況、非人間的な処遇と、精神病の理解、精神科病院の改革を一般社会に訴えました。
それがのちにアメリカの精神衛生運動を創始。戦前・戦中・戦後の世界各国に広がっていきます。
1910年にはBonhoefferの「急性外因反応型
1913年にはJaspers KTの「精神病理学総論
この「精神病理学総論」は現代精神医学に強く影響を与えます。

精神を病む人の診断、治療、社会復帰を担う精神医学は、どのような時代になっても、その人の精神状態、あるいは精神の病理性を臨床の場で正確に把握し、それが彼らの精神的悩み、苦悩を理解することが大前提。

彼は、患者の心的状態を現象記述的、現象学的に把握する、その基礎を気づいたのです。

この考え方は、今後紹介する精神看護必須のMSEにも通じます。
また別のブログで紹介します。

この時期にドイツやフランスで精神病理学が一気に発展
schneiderKretschmerなどが輩出されていきます。

精神暗黒時代

精神暗黒時代」とは、勝手にたにぐちが命名
(´_ゝ`){・・・・
主観が入っています。解釈は読者に任せるとします。
流れのままDSMまでつなぎますね。

進行麻痺に対してマラリア発熱療法というものが開発されます。
これは、人工的にマラリアに感染させ、発熱を促す治療法。
その後マラリアの治療を施すというものでした。

恐らくヤウレッグ医師も「救いたい」との思いから発明したんだとは思うのですが・・・
1930年代にはロボトミー手術やインシュリン・ショック療法
このあたりから、なんだか非人道的というか、非倫理的な治療が見られ始めます。


また1940年前後、ナチスドイツによる精神障害者抹殺という悲劇もありました。
ヒトラーは優生学の信奉者で「ドイツ民族を優秀な民族にする」と、人種の品種改良を試みたり、ホロコーストやT4作戦等の政策が見られました。

特にこのT4作戦は、不適合とされた障害者は「生きるに値しない」者として安楽死の対象となり、20万人以上の犠牲者を出した事件。
この時にはナチスの指導者から、精神科医までが殺戮に手を染め、精神病院がその場に利用されていました。
つまり、治療の為入院した精神障害者は治療どころか、抹殺される運命にあったといえます。

この歴史的事実は忘れてはならない。
このような歴史の上に我々が経っていることは、忘れてはならない。
強く胸に刻みたいです。

1952年にはフェノチアジン系薬物が開発され、その後薬物療法がどんどん開発されて行くんですね。

1963年にはアメリカのケネディ大統領による「ケネディ教書」を提唱
「精神病及び精神薄弱に関する大統領教書」として入院施設から、地域生活支援へ施策を切り替えてきます。
アメリカでは80万床ほどあったこの施策で10万床ほどに減ったとか。

が、膨大な予算を注いだ割には、あまり改善が見られなかった事から、厳しい批判を受けたようです。

1972年に「CTの開発」があり
その後MRIやSPECT、PETの開発等
脳の変化を継続的に可視化できるようになったことは、精神医学にとっても革新的な出来事だったのではないでしょうか。
というかそうだ。

21世紀の精神医学の進展は脳画像解析なしに考えることは不可能に近い。

20世紀の掉尾を飾るのは・・・

やっときました!
やっとここまで来た!

(+´_ゝ`){おせえよ!!!
(;´_ゝ`){大目に見てやってください。。。

DSM₋Ⅲは従来の身体・心理・社会的な立場からみた精神疾患病因論を切り捨て、生物・医学モデルを取り入れました。
この思想から提案された疾患分類と診断基準が瞬く間に世界中に広がりました。

ICD-9の国際分類も巻き込んだほどの影響力だったんですね。

精神医学のバイブルDSM

さてこのDSM

これが普及する目では、Adolf Meyerや力動精神医学、第二次世界大戦における体験をとおして、心理、社会的な観点から精神疾患を捉ええようとしていました。
つまり、バイオサイコソーシャルモデルですね。

身体・心理・社会的な観点から精神疾患を理解し、それに対応して、精神障害者の社会復帰、地域生活における治療が発展しましたが、後述したケネディ教書等の政策でも大きな成果を上げることが出来ませんでした。

この時期に精神分析療法は批判され、同時に薬物療法の発展、科学技術の進歩もあり、生物学的精神医学の研究が進むことになります。

その為、生物・医学モデルで捉えるDSMが発達しました。

このDSMは基本的には記述的なものになります。
外見や行動、症状などから疾患を分類する方法になります。

これにより、診断のハードルが大きく下がりました。
ちょうどこの時期から精神疾患と診断されることが多くなった傾向にあります。
いままでなら、正常な心理・精神状態とみなされていた状態の多くが精神疾患だと診断されるようになったんです。
つまり、正常な心理と病的な心理との比較検討をしないまま、単純な記述主義に走ったため、このような事態になりました。

またアメリカでは、商業主義によりハッピードラッグ”プロザック”が生み出され、より一層診断閾値の低下に拍車がかけられたといいます。

このような変遷を経て、精神疾患への理解が大きく変わってきたんですね。

終わりに

最後までご覧いただきありがとうございました。

細かいディティールの記載は、また後日。
取り急ぎ、精神医学が確立された時期から、DSMまでの話を駆け足でまとめました。

後日、日本での精神科の歴史について記載しようと思います。

歴史には、目を背けたくなるような事実もあります。
しかし、その事実の上に自分たちの”今現在”があるということを再認識し、これからの世の中に必要なものを歴史から何か、得ることが出来ればと思い共有しました。

もちろん、先のことは誰にもわかりません。
自分たちは歴史の最先端にいて、そして新たな時代を開拓しています。
進むべき方向もはっきりと見えてきません。
だからこそ、大局を掴むためにも、時代の流れを掴むことが出来ればと思い今回のブログに書きました。

修正、追記等ありましたら、ご連絡下さい!

これから”日本の精神科の歴史”や”MSE”について
そしてテクニックを一部公開していこうと思います!

これからもお楽しみください!

(´_ゝ`){ではでは!

参考書籍
専門医をめざす人の精神医学 第3版
https://www.amazon.co.jp/%E5%B0%82%E9%96%80%E5%8C%BB%E3%82%92%E3%82%81%E3%81%96%E3%81%99%E4%BA%BA%E3%81%AE%E7%B2%BE%E7%A5%9E%E5%8C%BB%E5%AD%A6-%E7%AC%AC3%E7%89%88-%E5%B1%B1%E5%86%85-%E4%BF%8A%E9%9B%84/dp/4260008676/ref=pd_sbs_14_9?_encoding=UTF8&pd_rd_i=4260008676&pd_rd_r=e6128533-6ce3-11e9-a39a-454ebff47c95&pd_rd_w=sCbuE&pd_rd_wg=cOyo0&pf_rd_p=ad2ea29d-ea11-483c-9db2-6b5875bb9b73&pf_rd_r=CF1KDDEV5FC9SR743WDB&psc=1&refRID=CF1KDDEV5FC9SR743WDB
子どものための精神医学
https://www.amazon.co.jp/%E5%AD%90%E3%81%A9%E3%82%82%E3%81%AE%E3%81%9F%E3%82%81%E3%81%AE%E7%B2%BE%E7%A5%9E%E5%8C%BB%E5%AD%A6-%E6%BB%9D%E5%B7%9D%E4%B8%80%E5%BB%A3/dp/426003037X/ref=sr_1_5?__mk_ja_JP=%E3%82%AB%E3%82%BF%E3%82%AB%E3%83%8A&keywords=%E7%B2%BE%E7%A5%9E%E5%8C%BB%E5%AD%A6&qid=1556806111&s=gateway&sr=8-5

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