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青空に線を引く

たまたまテレビを付けていたら、始まった「千と千尋の神隠し」。好きな映画ではあるが、見るとどうも心臓がキューっとして狂おしい気持ちになるから、見ないようにしようと席を立った。けれども、ウロウロしてテレビに戻ってきてしまう。
最終的に、千尋が透け始めるあたりで座って見始めてしまった。


上映当時、小学生くらいだったはずだ。親に連れられて見た記憶がある。突然豚になってしまった両親の姿を見て、怖い映画なんだ、と恐れ慄いたのを覚えている。そのあと、無事にハッピーエンドとなったようで安心したような気もする。
何度もテレビで放送され、幼い頃は好きな映画として見ていた。でも、いつからか携帯を手にしてから、その時は全く気にならなかった裏設定やその後のような情報を目にして、心苦しくなった。


あれだけ作り込まれているアニメ映画なのだ。そりゃ色々と設定やら背景など、映画を見ただけでは分からないことはたくさんある。少し大人になって、それに触れた時、なぜだか悲しくなってしまった。
自分で知りたいと思って開いたはずなのに、そこにあったのは本当か嘘か分からない情報。監督自ら語ったとされるものもあれば、憶測のようなものも入り混じる。ちょっと大人をかじったようなその頃の私には、少々判別がつきづらいもので、ショッキングなものもあった。

その真偽は今でもよく分からない。ただ、この映画を見るたびに、ああ、このシーンはこういう意味があるかもしれないんだ、と余計な思いが頭を駆け巡ってしまって、勝手に苦しくなるのだった。


そんな中でも、最後、「青空に線を引く・・・」と曲が流れると、不意にぽろっと涙が溢れてしまった。全てを浄化してくれるような、もちろん、この世界の話についても、そしてこんなどうしようもない私も許されたような、そんな感覚になった。



いつもたくさんありがとうございますっ!