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知らない道を抜けた先には

いつもとは違うルートで近所を自転車で駆け抜けていたとき、ふと視界に入ったお店があった。スピードを緩めてペダルから足を下ろし、お店の中を少しのぞいた。そのお店は小さなカフェだった。ハンドメイドの作品を一緒に並べた、4席ほどしかないお店。窓が大きく取られていて、日差しが店内を明るく照らしていた。こんなお店があったなんて。数十年住んでいるのに、全く気がつかなった。

それから2週間くらい経って、今日行ってみることにした。入ってみると、女性が1人で切り盛りしていた。どこでもどうぞ、と促されて真ん中のテーブルに座る。店内は音楽がふんわりと流れていて、でも静かで、とても穏やかな時間が流れていた。


日替わりランチが3つで、そこから選ぶようだった。どれも美味しそうだったけれど、ご飯が食べたい気分だったのでタコライスを注文する。飲み物はアイスオレンジティー。なんだかカフェっぽい。安直な理由だけれど、なんだかとってもワクワクした。

ほどなくして、スープが運ばれてきた。コーンスープ?一口飲むと、あまりの美味しさに目を見開く。これはただのコーンスープじゃない。色々な香辛料が混ざっているようで、手間暇かけて作られたのがわかる味だった。コクがあって今まで飲んだことのないスープ。これから運ばれてくるメイン料理に期待が膨らんだ。
テーブルの上にあるメニューに目を落として、ペラペラとめくると、ディナーもやっているらしい。もちろん、ケーキやパンケーキ、かき氷などデザート類も豊富だった。


「お待たせしましたー」と声をかけられ、お待ちかねのタコライスが登場した。卵を混ぜて、パクリ。お肉とタレが本当に美味しい。甘辛で、食欲をそそる味付け。そこに加わる卵がやや味にマイルドさを足してくれる。まさに絶品だった。
一緒にきたオレンジアイスティーも一口。口に入った瞬間、オレンジの爽やかさが一気に広がった。こんなに美味しいの?!美味しい、美味しい、しか言葉が思いつかなかった。

ペロリと完食し、お店の人と少し話してみる。聞けば8年も前からこの場所にお店を出しているらしい。びっくりするくらい気づかなかった。すぐ近くに住んでいるというのに、ずっと知らなかったなんて…


また、きます。と行ってお店を出る。こんなに身近な場所でも知らないものがたくさんある。まだまだ人生、楽しいな。そんな風に思えた良い週末だった。

いつもたくさんありがとうございますっ!