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真っ赤なりんご色の魔法のチーク

私は酒を飲んでも顔に出ない。そして結構飲めるほうだ。
だから飲み会では、いつも生き残りにカウントされる。
よってないもん!とケラケラ笑う子を支えて駅まで運ぶ。
もっとのんじゃうんだからーと全身を真っ赤に染めた子のグラスを水に取り替える。もっとのまなきゃつまんない!と叫ぶ子の周りにある皿を遠ざける。
みんな楽しそうだった。



私が酔ってきたかも、と思うタイミングは、友達はみんな死にかけている頃で、
そろそろおひらきにしなきゃ、でもみんな潰れてる、というあのなんとも言えない時間帯だった。潰れているみんなをぼーっと眺めながら、誰かが頼んだ薄いハイボールをちびちびと飲む。もう少ししたら、重い腰を上げて働かなくちゃならない。ちょっとふらつくと思っても、生き残った人たちで潰れてしまった人を帰さなければならないから、酔ってなんていられない。


いろんな子の酔った仕草を見てきた。
抱きつき癖のある子、キス魔、泣き上戸、饒舌になる子、甘えたになる子。
みんな顔を真っ赤にして、とっても女の子だった。

顔が赤くなるのが嫌だと言っていた子もいたけれど、女の私から見ても赤くなった顔は可愛く見える。誰かにその顔を見せたい訳ではないけれど、羨ましかった。
それは絶対に手に入れられない、魔法のチークのようで。顔をより白くした私は、なんだか場違いな気がして居たたまれなかった。


最近はもう家で飲むことが多くなったから、周りを気にする機会は減った。酒が強いことは悪いことじゃない。自分の気がすむまで、ただ飲めばいいだけだ。そう考えるようになってから、ちょっとだけ気が楽になった。酔いたい時に飲む。
今はただそれだけ考えて、今日も赤ワインを飲んでいる。

いつもたくさんありがとうございますっ!