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一体どんな心境の変化なのか

娘の話なんだけどね。

私より先にピアノを始めた娘は、始めてすぐにやってきた発表会で何かとてつもない成長を遂げたようで、それから順調にレッスンは進んでいった。

が、ある時から急に、先生の前でピアノが弾けなくなったのである。

失敗して、それを指摘されるのが怖い。だから弾きたくない。

私からはそんな風に見えた。
ちょっと弾いて何か言われればすぐ泣く。
先生は今時の褒めて伸ばすタイプの先生ではないので、娘が泣けば「ピアノ弾かないなら帰って〜」とハッキリ言う。
逆に娘は今時の子供なので、そんな塩対応に慣れているわけもなく、いつしか先生の前で一音たりとも弾けなくなった。

毎回レッスンの時間はずっと泣き通しで、泣き疲れた娘が寝ている間に、私のレッスンをしてもらう。
そんなことが2ヶ月くらい続いただろうか。

私のレッスンの半分くらいは、先生との会話。
娘の話や、先生自身の話、先生が今まで教えてきた生徒の話。私の話。毎回、色々な話をした。

先生は娘について、「今はそんな時期、というだけだと思います。放っておいていいです。練習もしなくて大丈夫。声かけもしなくていいです。はるさんがピアノを弾いている姿を見せていれば、そのうちまたやる気になると思います」と言う。

ちょうど保育園の行事が立て続けにあり、あれもこれもと気持ちを切り替えることは難しいだろうから、と。

うーん。
保育園の行事が続いたのは確かにそうなんだけど、本当にそれが原因なのだろうか?
正直私は、娘が先生を嫌いになってしまったんじゃないか、と思ってしまった。
だから時間が解決するようなものではないのではないか?
家では「ピアノ辞めたい」と言うこともあったし、レッスンの日は行く前から嫌がって泣くことも少なくない。

ただ、ここで辞めることは、果たして娘のためになるのだろうか?
先生のようなタイプの人はどこにでもいる。いつか娘が社会に出た時に耐性がついていないと、本人が困るのではないだろうか。
今のうちに精神鍛えてもらった方がいいのかもしれない。

というわけで、娘にとって幸か不幸かは分からないが、もう少し様子を見ることにした。
先生と会話を重ねていくうちに、私の中の先生の印象が変わったというのもあるかもしれない。

素直に先生にお任せしよう、と思えた。

そうこうしているうちにやってきた発表会シーズン。

先生が娘のために選んでくれた曲は「Little Bunny Foo Foo」という曲だった。
メジャーとマイナーを行ったり来たりする曲で、メジャーな部分は可愛らしく、マイナーな部分はどことなく不穏を感じさせる曲だ(個人の感想です)
今までの傾向から言って、そのマイナーな部分を娘は怖がる気がしたのだが、意外にも気に入ったらしい。
先生が弾いてみて、と言うと、何事もなかったかのように弾きだした。

え?

うそやん。
この2ヶ月、先生の前で全然ピアノ弾けなかったのに?
何で娘も先生も普通にやってるのよ。

意味わからんのだけどww

この次のレッスンも、先生から何度も「ここはもっとこうして」と言われていて、確実に今までだったら泣いていたと思うんだけど、泣かずにちゃんと先生の言う通りに修正して、最後までレッスンを受けていた。

発表会がそうさせているのか、それともその曲が相当好きだったのか知らないが、えらい変化である。

これが、放っておいた成果?なのだろうか。と思って先生に聞いてみると、「娘ちゃんは発表会が好きなんだと思います」と。
まぁ、確かに前回の発表会もノリノリでやってたし、それに限らず人前で何かをやるのは好きなようだ。保育園の発表会のダンスもキレッキレだったし。

「でも発表会が終わったら、またテンションも落ちると思います。小学生になって、新しい環境で不安定になるので。夏くらいまでは多分グダグダするかな〜」と、先生は続ける。

どうやら、新1年生はみんなそんな感じらしい。
小学生になるというのは、子供からしたらとんでもない出来事だろう。そりゃグダグダにもなるよね。

にしても、先生のことが嫌になってしまったとか、ピアノが嫌いになってしまったという訳ではなかったことに、私はホッとした。

別にゆっくりでもいいから、これからも音楽に触れている人生を歩んでほしいな、と思う。

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