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舞曲は踊られるため「だけ」なのか?

バッハの舞曲は踊られていない

バロック舞曲というと、ヨハン・セバスチアン・バッハの組曲や曲集にある数々の小品を頭に浮かべる方が圧倒的だと思います。さて、これらの作品は実際に踊られていたのでしょうか?
歴史的な研究からは「否」とされています。例えば組曲の最初に置かれるアルマンドは実際の踊りとしては既に廃れていましたし、当時まだ宮廷で踊られていたメヌエットなどもバッハの作品が「実際に踊る時の伴奏になった」という記録は残念ながらありません。
その意味ではバッハの作品中の舞曲は、舞曲のスタイルを踏襲した作品であって実践的な舞曲ではないと言えるかとは思います。

舞曲の名称は飾りか?

しかし、例えばメヌエットと書かれた作品を、実際に宮廷で踊られていないしメヌエットのリズムを無視して演奏していいや、と思ってしまうのは早計です。実際の踊りの伴奏に使われていないからといって、例えばメヌエットがタイトルだけということはありません。
作曲家はメヌエットはメヌエット、サラバンドはサラバンドとして意識して書いているわけで、その独特のリズムを見逃すことはできません。
バロック舞曲ではありませんが、ショパンのワルツだって当時大々的に踊られていたわけではない(踊りの伴奏の目的で書かれたわけではない)です。しかし、ワルツのリズムを守って演奏することが作品を作品らしく演奏することにつながるわけで、バロックの舞曲にも同じことが言えます。

メヌエットはバロック時代だけではない

ハイドンやモーツァルトにもメヌエットはあります。この時代はまだメヌエットが踊られていたので、その影響もあるでしょう。
また、メヌエットが廃れた19世紀以降にもメヌエットは書かれています。有名なところではビゼーのアルルの女第二組曲のメヌエットです。さらに時代を下って、ラヴェルやシェーンベルクの作品にもメヌエットはあります。
これらのメヌエットは、バロック時代のメヌエットとは趣を異にしますが、メヌエットのリズムが相応しい(シェーンベルクの場合は外れる部分もあるとはいえ)作品となっています。

メヌエットに注目した講座

11月にワルツの講義を行った「三拍子と仲良くなろう」講座ですが、12月はメヌエットで講義をします。
11月のワルツアーカイブと12月のメヌエット、1月のマズルカをセットの受講もできますし、12月のメヌエット単発での受講もできます。

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