スカイマークのフライトでリーダーシップの本質を見た

イベントに参加するためスカイマークで福岡に入った。羽田で搭乗する際、機内でグレイヘアーの紳士が乗客を出迎えていた。スーツの仕立て、物腰やオーラに、どこか尋常ではないところがあった。

海外では、年配の男性がチーフパーサーとして客室乗務を担当することも珍しくないが、日本で見たことはない。機長が挨拶にでてきているにしても、スーツ姿はおかしい。きっと客室乗務のお偉いさんが、現場を視察に来ているのだろうな、と勘ぐりながら席についた。

身辺の荷物を整理して落ち着くと、急に眠気が襲ってきた。仕事のメールを処理する予定だったが、うとうとしながら作業するのは非効率なので一旦眠ろうと目を閉じると、すぐに睡魔が襲ってきた。

まわりのざわつきに目を覚ますと、先程のグレイヘアーの紳士が、マイクをもって機内の先頭に立っている。ただ事ではない雰囲気を感じ、ノイズキャンセリングのヘッドフォンを外し、紳士の話に耳を傾けた。紳士はなんと、スカイマークエアラインの佐山展生会長だった。一橋大や京大の教授でもあり、3時間睡眠で有名なあの会長だ。元祖「多動力」といった方。

会長は乗客に丁寧に感謝を述べられ、去年の業績と今年の計画を説明すると、乗客一人一人にキットカットを配って回った。僕は完全にノックアウト、という感じで、一気に会長とスカイマークのファンになってしまった。

トップが現場の最前線にでてくることを批判する向きもあるが、僕はそういうリーダーが無条件に大好きだ。ドイツ国防軍の英雄エルヴィン・ロンメルや、南北戦争敗軍の将、ロバート・リー。キューバ革命軍の第1司令官、カミーロ・シエンフエゴス。僕の好きな歴史上の偉人はみんなそんなリーダーだ。

リーダーとは、一番早い人・一番能力の高い人ではなく、一番前を走っている人だ。前を走ることが、リードする、ということであり、それは字義的な定義でもある。そして、それを示す一番わかりやすい手段が、現場の最前線にでることだろう。

後で分かったことだが、会長はたまたま福岡への移動で同機に乗り合わせったらしい。そして、どうせ乗るのであればということで、挨拶にでよう、となったのではないか。これなら「もっと重要な仕事があるだろう」という批判はあたらない。ホントに痺れるリーダーシップの示し方だ。真似したい!

おわり

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?