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Erard③(ダブル・エスケープメント・アクション)

セバスチャン・エラールは生涯において多くの発明をし、ピアノの発展において多大な影響をもたらしました。その中でも特筆すべきものはダブル・エスケープメント・アクションではないでしょうか。

このダブル・エスケープメント・アクションは今日のグランドピアノの機能の原型となるもので、アップライトピアノとグランドピアノの大きな違いの一つということが出来ます。

アップライト(ごく一部のオプションパーツを後付けした物は除く)は鍵盤が静止位置まで戻らないと次の打鍵をすることができません。それに対してダブル・エスケープメント・アクションを搭載したグランドピアノは静止位置まで鍵盤が戻らなくても概ね半分くらい鍵盤が戻ればその位置から次の打鍵をすることが出来ます。これによりグランドピアノはアップライトピアノより、より早い連打やトリルを行うことが出来、演奏上の大きな長所となっています。

この機構を発明したのがセバスチャン・エラールと甥のピエール・エラール でしたが、ダブル・エスケープメント・アクションが発明される前のグランドピアノはアップライトピアノと同様に鍵盤が静止位置まで戻らないと次の打鍵をすることができませんでした。1820年代初頭にはロンドンとパリで特許を取得し、その後改良を重ね、1843年にはほぼ完成した形になりました。

この発明がピアノの新しい扉を開いたかは計り知れないでしょう。演奏の幅は大きく広がりました。フランツ・リストの超絶技巧練習曲「ラ・カンパネラ」はこのダブル・エスケープメント・アクションの機能無くしては考えられない曲であるそうです。

ピアノ製造メーカーと作曲家のまさに二人三脚でピアノという楽器とピアノ音楽は発展していったのです。

今回はErardの大発明=ダブル・エスケープメント・アクションのご紹介でした。

ありがとうございました。

#Erard #ピアノ #エラール #修理 #フランス #ダブル・エスケープメント・アクション #

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