見出し画像

仮面ライダー555🦈20th記念劇場作品『パラダイス・リゲインド』鑑賞メモの前日譚①✍️

大学ニ年のある日、友人から"仮面ライダー555"を勧められた。昨年(2003年)毎週日曜朝8時から起きて観てしまうくらい、面白かったらしい。

当時は大学デビューというトタン板をDIYしたばかりで「いまさら仮面ライダー?」と内心思わなくも無かったが、レンタルビデオ店でパッケージを手に取り、あらすじを眺めると、SFミステリーの匂いがして興味が湧いた。外箱から貸し出し用のVHSを抜き、店員に手渡すと、店のロゴが入ったナイロン製のバッグに詰めて渡し返してくれた。

部屋に戻る間、記憶にある仮面ライダーの事を思い出す。ヒーローは、自らの危険を顧みず、誰かの為に闘っていた。僕は少し頬をゆるめた。悪い気分ではなかった。

シーリングライトのスイッチを無視して、暗い室内のテレビデオに"仮面ライダー555"のVHSを食わせる。モニターが暗転し、不穏な音楽と、物々しい実験室の様子が映し出された。学食を賭けてもいいのだけど、最初の犠牲者となるのは、研究員たちだろう・・あ!やっぱり。(様式美だなぁ)

舞台は代わって、女の子が襲われている。どうやら、研究者である彼女の父から送られてきた"変身ベルト"を持っていて、怪人サイドが強奪しにきたようだ。

女の子が、たまたま居合わせたバイクの青年に"変身ベルト"を装着して、闘ってくれる様に頼んだ・・古今東西、ヒーローモノの始まりは大体こんな感じだ。『お願い!私を助けて!!』燃える展開だ。もちろん青年は、

「いやだよ!」

普通に帰ろうとする青年に、女の子が無理矢理ベルトを装着させる。そうでないと、色々まずいのだ。「おい!やめろ!」と言いながら、変身させられる青年は、仮面ライダー555となった。幸運な事に第一話の怪人は強くなくて、なんとか撃退した。よかった。僕は安心した。一度変身したらヤミツキである。誰にでもヒーロー願望はあるのだ。

「バーカ!!ブスッッ!!!!」

青年はベルトを投げ捨てて、バイクのエンジンをかけて走り去った。僕と同じく一安心していただろう女の子がひとり残された。僕は心配になって、二話目を観るべくリモコンを取り、早送りをした。特撮ヒーローモノで、こんな気持ちになるのは初めてだった。(つづく)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?