帰路の現

イラストレーションの可能性

人はあらゆる瞬発的な判断を視覚に頼っている。音楽も同じ。音楽は目に見えるものではない。だからアルバムアートワークのように、よりイメージインさせるために写真やイラストレーションといった視覚的なアートを活用する。その視覚的なアートは、音楽での表現を増幅させる役割もあれば、聴いてもらう前の音楽に期待感を持たせるセールスの役割もしてくれる。

それはジャケ買いという行動が証明している。アートワークが人を惹きつけて音楽に連れて行く。多くの人は曲に対して、細部の音の重なりや音色、フレーズパターンを細やかに分析して好きになるわけではない。曲の世界観や雰囲気を感じて好きになる。その世界観を体現したアートワークだからこそ、人を惹きつけ、ジャケ買いという行動を起こさせている。現代でもそう。CDからストリーミングに移り変わる時代でも、アートワークが変わらなく存在している理由は、人を惹きつける要素であり、音楽をより一層エモーショナルなアートに仕立ててくれるからだと思う。

荒廃

私たちは主にイラストレーションを起用している。自分たちの音楽を聴いたことのない人に興味をもってもらうためでもあり、聴いてもらった後に音楽に込めたイメージにもっと浸ってもらうため。

では、なぜ写真ではなくイラストレーションを起用するのか。それは自分たちの音楽性にイラストレーションがマッチしているから。私たちの音楽はぼんやりした過去の記憶にある情景を見せる。過去の記憶に見る風景は、輪郭がはっきりしていない。写真の起用は、あくまで今見ている景色や現代の風景を連想させる気がしている。音楽から連想して自分の記憶の中から取り出す情景は、人によって様々だ。たくさんの人が自然に連想できるように、場面的でありつつも抽象的な表現をしたかった。それを柔らかく表現できるのがイラストレーションだった。

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イラストレーションには更なる可能性がある。それは独自性を表現できることだ。フィクション的な表現はもちろん、空想表現といった独自の世界観を表現できる。音楽の世界観をイラストレーターの個性あるタッチで描けば、それは唯一無二なアーティスティックの誕生。そんなアートワークを添えたトラックやアルバムは、音楽の表現力をどこまでも高める。

私たちのイラストレーションを手掛けるげなくユウタ氏(@genak94)。2019年4月にリリースしたフルアルバムのアートワークも彼による作品。音楽好きな彼が音楽性や込めた世界観を理解しつつ、アートワークに表現していく感性は実に見事だ。

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1st フルアルバムのアートワークに起用した上記のイラストレーション。どこにでもいる女の子がカフェでゆったりと時間を過ごしている。コーヒーを飲みながら、本の世界に没頭する。しかし、ふと気づくと窓の外に目を向け、見ているのは外に広がる現実の先、何か過去に見たような景色や出来事をぼんやりとイメージしていたりする。そのイメージは十人十色。しまっていた記憶の断片が不意に取り出され、様々な色味を映し出す。自分が何かを懐かしんでいるような気がする。そんな束の間。

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