日記:熱海の猫にテレパシー
今日はひとりで熱海に行って来た。
熱海の観光地を撮影してくるお仕事をもらったのだ。
熱海なんて近い近いと思ってナメていたら、熱海に向かう東海道線からみえる海がきれいで、靴を脱いで椅子に膝立ちになる子供のように窓にへばりついて海を眺めた。
そういえば、昼間に熱海に来るのは高校生ぶりだった。
商店街は賑わっていて、ずっと何かしらの美味しい匂いがした。
誘惑がたくさんあったけれど、今日は指定された目的地があったのでそこをめがけて歩いた。
ひとりで自分がまだ行ったことがない場所に行って、なにかに出会うことの価値をちょっと忘れていたなと思う。
ひとりでいると、良くも悪くも自分が見たものしか見えないし、気付けない。
その自由さがやっぱり最高で、わたしはこの仕事を振ってくれた方に感謝しなければと思った。
そんなことを考えながら熱海のサンビーチから駅までの階段をのぼっていたら、白い猫が歩いているのを見つけた。
野良猫にしては真っ白で、透き通った青と緑の瞳を持っていた。そーっと近づくが、逃げずにこちらを見続けている。
この猫を見ていたら、急に頭の中が「出会う」ということでいっぱいになった。猫に向かって、「出会えるんだ、生きていると、出会えるんだ、そうかそうか」とテレパシーを送ってから私は熱海駅へ向かった。
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