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愛機紹介:1997 Gibson Les Paul Classic Premium Plus Lefty

2本目の紹介はレスポールです。思い出してみると今までにギブソン、他メーカー合わせて10本くらいのレスポールタイプ個体を入手してきました。80年代くらいのレギュラーラインからヒスコレ、国産ハイエンドまで。その中で一番気に入っているのがこの個体です。

最近はレスポールも軽いものが好まれるようでウェイトレリーフも堂々と行われていますし、ストラトと変わらないような軽量個体もたくさん流通しています。私はウェイトレリーフしていないソリッドボディのトーンのほうが好みです。ソリッドボディのほうが音が散らないというか、歪みに強く音に芯がある気がします。ただし、やみくもに重いと音が固くなり歌わないトーンになりがちなので、実際に弾いてみて確かめる必要はあります。特にギブソンは鳴り方の個体差が大きめなので。

普通に探すとウェイトレリーフ個体が結構多いため、消去法的に90年代のClassicか2013年以降のTraditionalあたりが候補になり、どちらも好みのトーンです。ソリッドボディだと重量は4kgをやや超えてくる個体が多いですが。

1997 Gibson Les Paul Classic Premium Plus

この個体は97年製です。Premium Plusなので派手なメイプルトップを備えています。ネックの仕込み角がもう少し浅いとさらに好みなのですが、その他はネック、ボディの鳴り方は良く、ブリッジもABRなのでさほど手を入れるところがありません。ネックは細身ですが、比較的硬質でしっかりしています。

2013 Traditionalあたりと較べると十分こなれた鳴り方(Traditionalはブリッジ影響か、もっとメタリックな鳴り方に感じます)ではあるのですが、純正ピックアップが496R/500Tというセラミックハムバッカーでちょっとエグい出音に感じました。小入力に対するレスポンスもやや大雑把な感じ。倍音の端々にセラミックを感じますしね。

1965 Gibson Stickered Numberd Pickup

これを改善するために、おなじみRed House Guitarsさんに依頼して、リアを手持ちの65年ギブソン ステッカーナンバードに換装することにしました。バランスが崩れるのでフロントも検討の結果、Red House Guitarsオリジナルハムバッカーに換装。リアはそのままストレートに出力し、フロントはリアに合わせるかたちで電気的に少し調整してあります。その他、内部配線全交換とボリュームポットの回転方向逆転化(ギブソンは左用ギターでも右用と同じ回転方向になっており、ボリューム全開のつもりがゼロになってしまう)をお願いしました。その他にフレットとナット周りの調整も併せて。
 
使ったコンデンサがロシア発ウクライナ経由のもので、(当たり前ですが)到着に時間を要したために、少し長めのお預け期間となりました。でも待っててよかったです。前後ピックアップのトーンバランスもうまく調整されており、よくあるピックアップ換装個体のがちゃがちゃトーンではなく、全体にとてもうまくオーサライズされています。電装系での味付け調整、音色面でのトータルの落とし込みができるのもRed House Guitarsさんの強みの一つなんです。
 
ギブソンの悩みとして、ナット周りでチューニングが不安定になることと、ハイポジションのピッチがシャープすることだと思います。前者に関してはRed House Guitarsさんの調整でギブソンとは思えないくらいの安定性を得ることができました。ほとんどはナット部分の調整なんだと思いますが、ヤスリを持っていても自分ではできない領域です。

1997 Gibson Les Paul Classic Premium Plus

ハイポジションピッチについては、これはもうどうしようもないので、どういう風に妥協していくかという話になります。幸いこの個体はナットと1フレット間のピッチにさほど違和感がなかったので

  1. 11~12フレットまでをジャストに合わせ、それ以上はどんどんシャープする設定にするか

  2. もう少しハイフレットで合わせることでハイポジションのシャープは軽減するかわり、ミドルフレット領域が若干フラットするのを許容するか

のどちらかを選択することになります。私はTPOで使い分けています。
 
音を残しておきます。最後の1件を除き、上記のRed House Guitarsさんのモディファイ後の音です。全てPCダイレクトでプラグイン中心に歪ませていますので少し違和感のあるトーンですが、楽器のトーン特性やらチューニングの安定感はわかると思います。あとはやはりセラミックピックアップをやめたことで、ボリュームを絞った時の振る舞いが自然になりました。ミッドがしっかり出ており、アンサンブルでも使いやすいトーンです。またフロントとリアのトーンバランスも理想的です。このあたり私は結構重視するのでとても気に入っています。

純正セラミック時代の音も残っていました。左側の音が当個体です。

レスポールタイプの国産ギターもあり、なかにはハイエンドコンポ並みに優等生な響きを持つ楽器も存在しますが、ギブソン独特の泥臭くて、分厚いステーキをガーリックペッパーで食らうようなアメリカンテイストが好みです。ギブソンの音はギブソンじゃないと出ないと言われますが、どこに隠し味があるんでしょうね。案外ハイポジションのピッチ特性だったりして。

1997 Gibson Les Paul Classic Premium Plus

セットネックですから、フェンダー系デタッチャブルのギターのような音の切れはなく、どうしてもやや濁る感じのトーンになります。あとはコンポギターのようにミッドレンジがみっちりフラットに詰まっている感じではなく、マホガニーテイストのどこかが抜けた枯れたようなガランとしたトーンが特徴かと思います。そういうものと思って使えば楽曲の中でとても良いアクセントになります。

ではまた。

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