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サウジアラビアリーグの移籍金支払いが欧州トップリーグ並みに

プロゴルフ界を震撼させたサウジアラビアの公共投資ファンド(PIF)が、今度は世界で最も人気のあるスポーツ、サッカーに目をつけています。
プレミアリーグのニューカッスル・ユナイテッドを買収してから2年、サウジアラビアの政府系ファンドが今目指しているのは、サウジ・プロリーグにワールドクラスの選手を加入させることで、国内リーグに脚光を浴びせることです。

クリスティアーノ・ロナウドが2023年1月1日、約5億5000万ドル(約770億円)の2年半の契約でアル・ナスルに加入したのは、来るべき事態の前触れに過ぎませんでした。2023年6月PIFは、サウジアラビアの4クラブ(アル・イティハド、アル・アハリ、アル・ナスル、アル・ヒラル)の株の過半数を保有したと発表しました。
カリム・ベンゼマ、ンゴロ・カンテ、サディオ・マネといったキャリアの黄昏を迎えたスター選手たちがサウジ・プロリーグに入団したが、知名度の低いリーグに注目を集めるために外国人スター選手を買収しようとしたこれまでの試みと違う点は、PIFの資金がヨーロッパのトップリーグから全盛期の選手たちをも引き寄せているという事です。PIF傘下のサウジアラビアのクラブが支払っている年俸は、プレミアリーグの年俸とは比較にならないほど高い金額です。

ヨーロッパのクラブサッカーを去るよう選手を説得するには、これまでサウジアラビアのクラブ側はしばしば多大な労力(小切手など)を必要としましたが、売却するクラブを説得するのは多くの場合、かなり簡単でした。
チェルシー、リヴァプール、バイエルン・ミュンヘンといったクラブは、年老いたスター選手やプレーする機会の少ないスター選手をサウジアラビアに市場価格以上の値段で放出することに満足しているようです。
しかし、サウジアラビアからの無限に見える資金との競争は、早晩、欧州サッカー界にとって問題になるだろうというのが一般的な見方であり、欧州でのスター選手の枯渇につながる可能性も十分にあります。

以下の表が示すように、サウジアラビアのクラブがこの夏に移籍に費やした金額は、プレミアリーグを除く欧州トップリーグのクラブが行った投資額と同等か、それを上回っています。
サウジアラビアのクラブはこの夏、合計で4億8900万ドルを費やしており、これはフランスのリーグ1やドイツのブンデスリーガとほぼ同レベルで、スペインのリーガ・エスパニョーラを上回っています。
純移籍支出、つまり支出から収入を差し引いた額を見ると、サウジアラビアの投資額を上回っているのはプレミアリーグだけ。セリエA、ブンデスリーガ、リーガ・エスパニョーラが大幅な移籍金黒字を記録している一方で、サウジアラビアの総支出は純支出とほぼ同額です。


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