ショートショート「最後の親孝行」
「なんかさ、本屋さんで本に手を伸ばしたら、「僕も好きです、太宰。」なーんて話しかけられて、恋が始まったら素敵だよね~」
「そんなの、あるわけないでしょ。」
パートさん2人が話しているいつもの光景。
俺は内定も決まり、来月の就職までの間にバイトをしている。
突然すぎる自己紹介かもしれないが、俺は最初に話していた女性の心が読めている。
いわゆる人の思いを読める力を持っている。
子供の頃からその能力と付き合っていて、本当に面倒くさいなと思っている。この世の中に、いわゆる「読