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解封が先か、おれが正気を失うのが先かみたいなところある〜ロックダウンとおれと大家さん〜



しぬかも〜とぼんやり思っている。ストレスで。

以前ロックダウン中の上海のどっかで鬱病の外国人が自殺するとか言って喚いて脱走して大騒ぎ、みたいな動画(真偽不明)を見たときには、またまた〜なんて思ってたが、今なら超分かる。

ということで半年以上ぶりのnote更新。

ここはロックダウン中の上海。

意味不明なロックダウンに巻き込まれて、早2ヶ月。なにやら外の世界では徐々に解放!みたいなノリで報道されてると聞くたびに中指を立てている。

もう何が何なのか分からないし、いつ終わるのか、今はどんな状態なのか、うちの小区(団地)に陽性者はいるのかどうかなんてことに興味はとっくに失せたというもの。

解封了!(解放!)と大々的に言われるまでは、どうせ大した差はない。

せいぜいゴミを捨てに行くのはokなのか、外卖(デリバリー)は可能なのかということ以外、知ったところで特に意味はない。

よく分からん周期で集合かけられる抗体検査とPCRの結果ももう気にもしてないです。陽性ならドア突き破ってでも野戦病院に強制連行されるんだから。

特に音沙汰がないということは陰性だったということ。

と、完全に無気力ニートです。

小区内しか出歩けないのはもういい。というか、今も団地の中すら出歩けなかったらとっくにどうにかなっていた。精神的に。

なんならうちの区は最初のうちには感染者少なかったのに、ここにきて急増し、上海内感染者数ランキング首位に踊り出てたせいで交通規制がかかり、物資がより受け取りづらくなっている。殺してくれ、もう。

言葉も文化も完全には理解していない国で家の中に閉じ込められ、食べたいものも食べれない。学校はオンライン。帰ることもそう簡単ではない。

最初は4日間と言っていたのがあれよあれよと伸びて2ヶ月これが続いており、おそらくまだ続く。運の悪い人間は既にそれ以上。

体験した人しか分からないものだとは思うけれど、これが想像以上にもんのすっっっっっっっっっっっっごいストレスだし、こんなに「ああ、おれいますげえ人権侵害かまされてんな」と明確に刻まれる経験も珍しいというもの。

で、そんななかわたしに追い打ちをかけてきているのが大家のおばあさんである。

かなり気の強い東北出身のハイファッションなグランマ。それがうちの大家さんfeat.5歳の孫(男児)

最初はよかった。最初は。

当初外国人はだめ!ということだったが、仲介人が説得して漕ぎ着けた内覧のときには、部屋綺麗に使ってくれそうだし、ニコニコして印象いいから貸してもいいよと言ってくれ、契約。

で、少し特殊なのが所謂「下宿」という形であること。大きい住宅の一階の空き部屋をわたしが使っている。(立地と予算的に当時はこれがベターな判断だと思っていた)(この居住形態がゆえに、中国政府からの配給はわたしには回ってこない)

個人主義極まれりのギリMZ世代としては、とにかく迷惑をかけず、いるのかいないのか分からないように静かに暮らすのが最高のマナーというつもりで生きていた。

部屋は清潔に保ち、朝は顔合わせることが多いのでにこにこしながらわたしの喋れてもない中国語で何言か挨拶を交わす。

幼い孫に鉢合わせれば日本や韓国のお菓子を分け与え、大家さんには何か手伝うことがあったら言ってくれと伝えていた。尽く断られたけど。

掃除は各々こだわりがあることもあるし、だったら…と基本的には物で誠意を表すようにしていた。

特にロックダウン以降は、毎朝の抢菜(早朝のオンラインスーパー争奪戦)に大家さんの代わりに参戦し、お代も貰わなかった。

内覧に付き合ってくれた中国の知人からは、「煩悩ちゃん、にこにこして、リアクションいいから嬉しいわ〜」と大家さんがよく言っていると聞いていたので、これで良いのだと思っていた。

様子がおかしくなったのはロックダウンが始まって1ヶ月が過ぎた頃。

そのときは小区のなかも出歩けなかったし、自分もだんだん気持ちが落ち込んでずーーーっと部屋にいた。というか、実際いるしかなかった。

大家さんの家には小さい庭があるのだが、たまに日光浴しに出てこいと言われていた。それでも3日に1回くらい顔見せに出るくらい。大家さんの孫がいれば少し遊び相手をして、いなければ30分もすればすごすごとまた部屋に戻った。

で、生理の到来。わたしは生理痛がめちゃくちゃ重い。ロキソニンはないよりはあったほうがいい、というくらい。3日目くらいまではかなりきつい。

ストレスもあって、いつもよりゴミみたいに痛い。精神的なバランスも崩れ、布団の中で痛いやら、辛いやらで号泣した。薬を飲んで、最低限授業だけ受けて、食事をする気なんて起きず、空腹にロキソニンを叩き込んであとは部屋でずっと寝ていた。

生理痛のピークが過ぎ、顔見せに行こうと思って庭に出ると明らかに大家さんのわたしを見る目つきが変わった。声をかけても、無視。なんならそそくさと2階に上がって行ってしまった。

3日間部屋から出ていないのが何かしら気に障ったのだな…というのだけ分かりつつも、かといって謝るのもなんか変だし、生理でした!というのもしっくりこない。そもそもわたしの勘違いかもしれないわけで、とりあえずそのままにしておいた。

小区内の出歩きが許可され始めた頃、部屋で授業を受けているときに大家さんが部屋にデーン!と入ってきて、あほみたいに怒り始めた。

お前ときたら、部屋の整理整頓がなっていない!

今まで何人か下宿させていたが、お前が1番気に入らない!最悪だ!

他の子たちはうちの孫の面倒を積極的に見ていたのに、お前は全く見ない!

相互扶助の道理に反する!

毎日私の娘にお前の悪口を言っているが、私の娘もお前が悪いと言っている!

孫もお前は悪い人だと言っている!小さい子は純粋で何でも見抜く。お前のダメさを、うちの孫も見抜いている!

ということを延々言われ、大家さんのターンが終わった頃にはとっくに授業は終わっていた。

しおしおしゅん…

よりは、完全に

はあ〜〜〜????

だった。授業料返せやてめえ。

中国圏に長く住んでる相互さんや友人からアドバイスによると、中国の人間関係の肝として「擬似家族」という概念があるとのこと。

この場合、大家さんを母親として、わたしには娘の役割を果たす義務が生じている。つまり、大家さんの家の一スペースを提供してもらってる立場から、家賃以外の部分での、“娘”としての義務を果たしていないことに怒っているらしかった。

大家さん(母親)の助けになること、主に孫の面倒を見るということをあまり積極的にせず、ただ家賃だけを払ってスペースを占領しているわたしは、彼女からすれば相当の非常識と図々しさがあったらしい。

育児経験はないが、子どもは嫌いじゃないし、好きな方ではある。

だがしかしハッキリ言って、わたしは大家さんの孫が苦手である。

5歳児って、めちゃくちゃ力が強い。体感ちょっとした猪くらい。というか、力が強いというより、たぶん加減をわかっていない。

おまけに本人も幼稚園に行けず、発散できないストレスがあるのか、戯れ方が暴力的。彼の身長はちょうどわたしの骨盤くらいまでくるのだけど、そのあたり目指して頭突きしてくる。これがめちゃくちゃ痛い。殴る、蹴るは言わずもがな。

なので、1時間も相手をすれば下半身あたりにアザがいくつか咲いている。

オマケにロックダウン中である。病院にも簡単に行けない。わたしと相手しているときに怪我なんかされた日には…。

想像しただけで血の気が引く。

家賃を払った上で住んでいる家で発生する追加義務としては、わたしには荷が重すぎるのである。

とはいえ、文化の違いである以上、良い悪いで断言もできないし、出ていきたかったとしてもこのロックダウンの元では身動きがとれないので、ロジックがそうなのでれば…と、歩み寄りをずっと試みてはいる。

急所を避けながら孫の遊び相手をしたり、いい!いい!と言われながらも大家さんの生活スペースの掃除をしたり、食料調達するときには必ず孫用のお菓子を数種類買って渡したりしている。

それでもこの大家さんの攻略はなかなか難しい。

先日、小区内を徘徊しようと思って家を出たら、「宅配便を取りに行くのか」と声をかけられたので、いや、ふらふらしにいくだけだけど、受け取る宅配便があるなら取ってきますよ、と伝えたところ、「いや、いい、気にするな」と言われた。(ロックダウン以降、届く荷物は小区の入り口に集められビチャベチャに消毒され放置され、あとからセルフで取りに行く方式になっている)

嫌な予感がして15分ほどふらふらしたあと、小区の入り口の宅配便置き場に積んである大量の箱を一つ一つ確認していくと、ビンゴ!大家さん宛ての荷物があった。いや、普通に言ってくれれば良くない?

本音と建前なんてものが、日本特有の文化であるなんていうのは真っ赤な嘘である。

ほかにも、掃除をすれば磨き方が気に入らないと怒られ、わたしは1週間ほど使ってもない洗濯機の調子が悪いことをわたしのせいにされるなどしている。

1回キレてから気が楽になったのか、だいたい1日に1回は何かしらで怒られている。

クソババ○ア!!!!

と思わないほうが無理である。

てかこれ本当に文化の違い?ババマルがレアキャラなだけではなく???

ちなみに、わたしがいまどれだけ可哀想かでいうと、まだ食事で怒られたことはないものの、前に住んでいた回族の女の子が、回族独特のスパイスの匂いが気に入らないという理由で追い出したという話しを思い出したのと

大家さんの起きてる気配を感じながら飯を食うと、高確率で吐くようになったので、彼女が寝静まってからの23時以降にのみ、電気鍋で辛ラーメンをひっそり沸かして食う生活をしている。

本当にかわいそう。

つい最近まで文化体験だ!と発想の転換を試みていたものの、ハイパー個人主義の外国人にはなかなか難しく、ロックダウンが終わり次第音速でお別れしようと思っている。

ほんとにかわいそう、おれ。

いまの癒しは推しと、次の物件の検索。

酒ももうないしよ。

早くはま寿司営業再開してくれないかな。


しんど。



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