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Lemonはやっぱり凄かった!米津玄師に学ぶ「ポップステップジャンプ」作曲法!

シンガーソングライターや作曲をしている人は、やはりたくさんの人に聴いてもらい、たくさんの人に愛され、歌われることを目標にしているのではないでしょうか?
自分の曲がヒットするのは、大きな夢ですよね〜。
僕自身も、人生で1曲で良いからどうにかヒットを出したい!と野望を持って、日々日々地道に作曲に勤しんでいます。

僕は昭和生まれのオッサン作曲家ですから、令和はおろか、平成後期の音楽にさえ疎いくらいなので、さすがにそれではいかーんと思い、近年のヒット曲をインプット&分析してみることにしました。
まずは、Lemonの大ヒットでお馴染みの米津玄師さんに学ばせていただきます。

米津玄師さんの曲には、聴いてすぐに覚えられる、歌っていて盛り上がる、そんな作曲の秘密がありました。
老若男女に愛される曲作りの秘訣、さっそく勉強していきましょう!

米津玄師さんに学ぶ作曲1・ホップステップジャンプ作曲法

子供からお年寄りまで、老若男女に愛される曲というのは、絶対的に覚えやすいという特徴があるように思います。
必ずメロディの反復(繰り返し)があり、そこに印象的な歌詞が合わさり、一回聴いただけでもパッと覚えられるように工夫されているのです。
その反復から、さらに曲を展開させるという技法が、このホップステップジャンプ作曲です。

米津玄師さんは、このホップステップジャンプ作曲が素晴らしくお上手な方でした。

レモン教材1

これは、「Lemon」のサビの部分の楽譜です。
楽譜の読めない方は、音符の形をビジュアル的に眺めてくださいね。
メロディがきちんと反復されている(同じ型な)のが、一目瞭然でお分かりになるかと思います。

まずホップの部分で、キャッチーなメロディが登場します。(♪あの日の悲しみさえ)
ステップの部分では、ポップメロディを繰り返しているので、曲が耳に馴染みます。(♪あの日の苦しみさえ)
最後のジャンプの部分では反復をしつつ、そこからジャンプするように音が駆け上がって、メロディが山となり、楽譜が盛り上がっていますね。(♪その全てを愛してたあなたとともに)

その後は、♪胸に残り離れない~で再び反復し、♪苦いレモンの匂い~というタイトルコールに発展させ、♪雨が降りやむまでは帰れない~と落ち着かせて曲を結びます。
短い中にも、ストーリー性を感じさせてくれる秀逸なサビなのです。

この技法のおかげで、聴いてすぐに覚えられる、かつ歌っていて盛り上がる曲に仕上がっているというわけです。

映画や小説などと同じように、起承転結という言葉がぴったり当てはまります。
起は、物事の始まり。
承は、始まった後の続き。
転は、その物事が転じる。
結は、その結果。
という意味ですから、文章にしても、作曲にしても、4コマ漫画にしても、まさにお手本のような形です。

では、聴いてみましょう。
楽譜の箇所は、1:00〜です。

馬と鹿教材

さて、こちらは同じく米津玄師さんの「馬と鹿」のサビの部分です。
音こそ変化していますが、リズムの形を同じにする(リズム反復する)ことで、覚えやすくする工夫が為されているのがわかります。
ホップ:(これが)愛じゃなければ
ステップ:なんと言うのか
ジャンプ:僕は知らなかった

では、聴いてみましょう。
楽譜の箇所は、0:47〜です。

このように、米津玄師さんはとてもキャッチーな曲の導入部分(作曲では動機という)を作り、それを反復をし、3回目で大きく展開させ、聴いている人が自然と曲に引き込まれ、ドキドキワクワク出来る工夫をされているのです。
まさに音楽のストーリーテラー!

米津玄師さんに学ぶ作曲2・日本語のニュアンスが絶妙に合う

米津玄師さんの凄さは、作曲法だけではありません。
作詞の面でも、なるほど!と思う部分がありました。

皆さん、レモンという言葉を口に出して言ってみてください。
レモンというカタカナ日本語は、
レ↑モ↓ン↓
というニュアンスになりますよね?

曲にした場合、レモンという歌詞の「レ」が高い音で作られていると、日本語のニュアンスと相まって、歌っていて気持ちが良い&さらにインパクトを残す曲にすることが出来ます。
これは、ミュージカルでも同じ技法が使われています。

さあ、Lemon後半の楽譜を確認してみましょう。

レモン教材2

ね!ちゃんと「レ」が流れの中で高くなっているでしょう?
このようにニュアンスを合わせることによって、曲のタイトルであるレモンという言葉が、きちんと頭に残るという工夫も為されているのです。

さらに言えば、匂いという単語のニュアンスも、
に↓お↑い↓
ですから、こちらも音と合わせてあります。
レモンからの爽やかな酸い香りが立つような、そんな嗅覚を刺激する工夫も感じられます。
ひゃー、天才!!

レモン教材3

前半の部分の、「あなた」という単語のニュアンスは、
あ↓な↑た↓
ですから、曲になった時、「な」が高くなると日本語のニュアンスが合います。
この箇所も、ぴったりとメロディを当てているのがお分かりでしょう。

あなたという単語を強調することで、(歌の)対象をはっきり見せることが出来ます。
対象が見えると、対象に向かって感情が発生しますから、歌っていて気持ちが入る、つまりは誰しもが感情移入のしやすい歌となるわけです。


言いたい(聴きたい)言葉が欲しい音で当たっていると、日本人としては大変気持ちが良いものです。
もちろん上記だけが全てではないのですが、この歌詞の入れ方、歌詞に寄り添ったメロディの作り方は、米津玄師さんの曲の魅力の一つではないでしょうか?
ぜひ今後の作曲の参考にしたいところですね。

ほんじつのまとめ

他にも、ホップステップジャンプ作曲で作られた曲はたくさんあります。
ワクワクさせる曲のお手本のような型なので、ぜひたくさんインプットしてみてくださいね。

・まちがいさがし(菅田将暉)
・Everything(MISIA)
・キセキ(GReeeeN)
・Time goes by(Every Little Thing)

など。

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