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生成AIの本質は『型』にある

生成AIを使った物語創作にはどんなメリットがあるのか? 面白いストーリーを作るためにはどうすればいいのか? 鍵となるのは「名作」の構造を抽出したプロンプトを用いることです。

『型』がなければ、作品を生み出すのはとんでもなく難しくなります。

簡単にゼロから1が生み出せると思ったら大間違いなのであります。

オリジナルの物語を創作したければ、まずは真似する方法から覚えてください。

基礎となる様々な型を身につけ、それを工夫しながら進化させていくのが早道です。

特に真似ていただきたいのは、人を惹きつけるストーリー展開の「型」です。

それは、面白くないと言われる文章に最も不足している「型」です。

もちろんテクニックだけで面白い物語が書けるわけではありませんが、最低限の「読ませる仕掛け」を整えられなければ、人は最初の1ページすら目を通してくれません。

ではその「読ませる仕掛け」はどうやって作ればいいのでしょうか?

古今東西の作家たちはいろんな手法を取り入れています。

謎や秘密や恐怖、疑惑や誤解や錯覚や勘違い、仄めかしや暗号や嘘や不条理、危機や告白や誘惑やハプニングや意外な展開……。

多岐にわたる仕掛けのセッティングには、繊細な誘導や複雑な手順が必要で、非常に高いスキルが求められます。

手間と体力と精神力を大いに費やすことになります。誰もが苦労しているのです。

それが楽しみだという方もいらっしゃいますが、それが苦手でため息をつく方も多いのではないでしょうか?

そんな方に利用をおすすめしたいのが「生成AI」です。

・生成AIを積極的に使う

例えば、生成AIは面倒くさいプロセスを整理整頓して、分かりやすく組み立ててくれるのが得意です。

うまく使えば、物語創作にかかる時間を一挙に10分の1に短縮することだって可能です。

まさに魔法のツールですが、恐れるほどのものでもありません。日常生活で便利に使っている電子レンジや靴ベラや泡立てブラシやノック式のボールペンと同じような『道具』です。

そうは言っても……

「生成AIを使うなんていう怠惰な精神で良い物語が書けるわけがない」

そんな意見もよく聞きます。

しかし、自分の力だけで走るよりも、例えば自転車に乗ることで、速く、楽に、遠くまで移動できるというのは確かです。

道具を使うか使わないかは、その時の状況や目的によって変わります。誰もが自分に適した道具を使えばいいのです。

物語創作は個人の価値観を問う自由な競技です。サイクリストがマラソンランナーに非難されるいわれはありません。

「面倒くさいことは嫌だ」という人間の欲求を否定したところで何も変わりません。

むしろ、人間の「何とか楽が出来ないか」という怠惰な思いこそが創意工夫を育んできました。

道具を利用したほうが効率が良くて合理的なら、それを使うのは当然です。

・名作の真髄を受け継ぐ

もちろん何でもいいから生成AIを使えばいいと言っているわけではありません。

重要なのは「名作」の理論を用いて作られた生成AIを使うことです。

名作かどうかの基準は、清貧でストイックな暮らしを送りながら書いたとか、毎日コツコツと真面目に取り組んだとかいうことではありません。

30年も40年も、あるいは100年前からずっと生き残っている。それが名作の条件です。

そんな名作をもとにパターンを抽出し、出来上がった金型に素材を流し込んで、いろいろな作品を作る。

試行錯誤を繰り返すうちに、自分ならではの手法へと進化させる。

こうやって自分の型を作っていくのです。

そのために、よく考えて作られた生成AIは非常に役に立つ道具です。

物語を自分の力だけで作ることは出来ません。

もとからある優れたもの(名作)を探し、受け継ぎ、利用する

それは創作に対する正しい態度であり、生成AIを使う理由もまたここにあります。

生成AIを使うメリットその1:自分だけのノウハウ

さて、それでは生成AIを使うメリットとは何でしょうか?

それは私たちがワープロを使うようになった経緯と似ています。

原稿用紙に直接、手で文字を書き込んでいた頃は、編集作業が大変でした。文章を丸ごと書き直すか、紙を切り貼りするしか方法がなかったからです。

ところがテキストをデータで扱うようになると、書き直しや加筆が簡単になりました。構成だってコピペであっという間に修正できます。そしてライターの指からペンだこが急速に消えていきました。

物語を書くという行為にかかる時間は大いに軽減され、書くことのハードルが下がり、受け渡しに関わる手間も経費も紙の時代とは格段に違ってきました。

ワープロの登場は創作の民主化につながる大改革だったと言ってもいいと思います。

まるで社会が一夜にして変わったような覚えがあります。そしてワープロのない世界に二度と後戻りすることはありませんでした。もちろんインターネットやスマホの時もそうでした。

生成AIを使う場合は、さらにいろいろなパフォーマンスが向上します。

生成AIはあなたならではの哲学や美学を記憶し、ノウハウを蓄積してくれます。

あなた独自の方法論を生かし、思考の癖を取り入れることで、あなた好みのストーリーを紡ぎ出します。

私の失敗パターン

もう少し具体的に言いましょう。

私自身の経験では、ストーリー作りに失敗するのは、常に「最初にキャラクターありき」で始めた時です。

主人公のキャラが魅力的であればあるほど、スリリングな展開の足を引っ張る確率が高い気がします。

キャラの魅力を表現したいという欲求が作者の最優先事項になってしまい、肝心な「主人公が窮地に追い詰められる」という部分の詰めが甘くなるのです。

主人公がピンチになればなるほどストーリーは面白くなる、という原則を忘れてしまうのです。

主人公を徹底的にいじめ抜いて、その心を折り続けなければならないのに、「この子はもっと強いはず、もっとカッコいいはず」というキャラに対する愛情が、合理的な決断を鈍らせてしまいます。

しかし、その愛は作者のエゴであり、キャラに投影された自身の欲望に過ぎないことを理解する必要があります。

言い方はキツいですが、過保護の親バカみたいなものです。

我が子の素晴らしさを最高に表現できる理想の晴れ舞台を親が探すうちに、ストーリーは道に迷います。モヤモヤと立ち込めた霧の中で、自分がどこに向かっているのかを見失うのです。

自分とキャラは別物だということに納得し、子離れを受け入れて客観的にならなければ、読者が満足するストーリーにはなりません。

まずキャラクターありきで作り始めると、それはなかなか難しいのかもしれません。

・最初は生成AIにヒアリングしてもらう

ところが、生成AIに「ストーリーの構築に最低限必要な条件」を尋ねられ、その質問に答えるという手順に従うと、キャラの影響力がいったん排除され、物語のテーマやラストシーンがはっきり見えてくるのです。

作者の都合抜きで、物語の合理的な方向性について客観的にヒアリングしてもらうわけです。

こうしてテーマが見つかり、ゴールが決まれば、そこまでの道筋はすぐに構築できます。

私の場合、自分一人で考えていると1日とか2日かかっていた全体像の構築が、生成AIを使うことによって5分から10分で完成するようになりました。

生成AIから次々に小さな回答を要求されるので、小さなプレッシャーはあるものの、小さいだけにさほど悩むこともなく、小さな決断を重ねられるのです。

そうやって決めた私の小さな選択を生成AIがまとめて、一本の大筋に仕立ててくれます。

もちろんそれはあらかじめ「そういう手順でお願いします」と命令しておいたからなのですが、そのプロンプトさえ入れておけば生成AIはいい仕事をしてくれます。

つまり、あなたが書きたいことを伝えるだけで、ネット上で勝手に素材を集めてきてあなたらしい文章を自動的に書いてくれる、あなた専用のワープロが作れるのです。しかもあなたよりずっと上手にまとめてくれます。一度使うとその便利さはもう手放せません。

さて、ここで生成AIを使うもう一つのメリットを説明しましょう。

それは、マネタイジングです。あなたの物語創作のスキルでお金を稼ぐことが可能になる時代がもうすぐやってきます。

●生成AIを使うメリットその2:マネタイズの始まり

ここで述べるのは、「GPTストア」という新たな潮流です。

「GPTストア」は、OpenAIが提供するサービスで、ユーザーが作成した様々なGPTを公開・共有・検索できるマーケットプレイスです。そのGPT制作機能はGPTsと呼ばれています。

基本的には「GPT4.0」を使う有料サービスに含まれる機能なので、利用料金がかかります。

GPTsを利用すれば、ノーコード、つまりプログラミング言語なしでプログラムが組めます。生成AIと普通におしゃべりする感覚でアプリケーションが作れるのです。

GPTストアとは、そんな風にしてみんなが作ったGPTを、見たり使ったりできる場所です。

自分の作ったGPTを公開すれば、他の人も使えます。

さらに、自作のGPTが利用されると、利用者の数に応じて収益を得ることもできるようになります。

これまでは「小説が書きたいけど自信がない。かと言って、アフィリ用のブログとか記事とかの書き方も知らないからお金は稼げない」と思っていた方にも、ついにチャンスが巡ってきました。

もう文字を作品にする必要はありません。今や生成AIと会話するだけでプログラムが組めるのです。考えてみれば、それは新しい形の表現方法です。

芸術作品を直接作るのではなく、あなたの理想とする芸術を創り出すプログラムを作るのです。あなたは会話だけでコンテンツを産み、しかもそれがビジネスになるのです! 

例えば、あなたが「物語のネタの探し方」とか「日記をエッセイ化するプログラム」などというGPTを公開して世界中の人たちに売る、なんてことも手軽に可能になるわけです。

やり方が分からなければChatGPTに聞けば代わりに何でもやってくれます。あなたはアイデアを言語化してChatGPTに伝えるだけでいいのです。

この収益化プログラムは、現在は米国のカスタムGPT制作者のみを対象としています。

日本での開始予定日については、具体的な情報はまだ公開されていないようです。正確には今後の公式発表を待つ必要がありますが、そう遠い話ではなさそうです。

だからこそ、今のうちに準備をしておきたいと私は思っています。

●まずはChatGPT3.5を使い倒そう!

このようにGPT4.0とGPTsは大きな可能性を秘めた注目のサービスです。

しかし、その前に。

この世にはすでにChatGPT3.5というものが存在し、しかもそれは無料で使えます。

あなたはこのGPT3.5をしっかり利用できていますか?

おそらく大多数の方はまだ使っていないと思うのです。

有料の4.0バージョンやGPTsに慌てて手を出す前に、無料でも充分な事ができます。

まずは実際に使ってみましょう。全てはここから始まります。

<無料のChatGPTにアクセスする方法>

ChatGPTは、OpenAIが開発した革新的なチャットサービスで、自然言語処理技術を用いて、様々なトピックについて流暢な会話をすることができます。

無料プランでChatGPTを使いたければ、 OpenAIの公式サイトにアクセスしてください。

ChatGPTの利用に関する情報

公式サイト: https://openai.com/chatgpt/

【ChatGPTの始め方】登録から活用までの完全ガイド:https://book.st-hakky.com/data-science/chatgpt-register/

●実際にプロンプトを使ってみよう

それでは実際にChatGPTの3.5バージョンでどこまでやれるのかを検証してみたいと思います。

そのためには「プロンプト」という命令文を使う必要があります。

でも大丈夫です。それほど難しいことではありません。

今回、私も「物語の『型』を抽出するプロンプト」を作ってみました。ついでに「その型を用いてあらすじを作る」命令も付けています。

おとぎ話や史実などのストーリーを挿入すれば、自動的にその展開パターンを読み取り、その型を用いたあらすじにアレンジしてくれます。

あなたもこのプロンプトを使ってオリジナルの物語を構築してみてはいかがでしょうか?

プロンプトおよびその使い方は、有料記事「物語構造抽出プロンプトとアレンジの実例」で解説します。


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