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焼き芋と猫とAI

生成AIには何でも出来る、というのは大きな間違いです。生成AIには得意不得意があります。今回は「物語創作の過程で生成AIにやってもらうと効率的な作業とはどんなものか?」について実例を交えながら考えてみたいと思います。

AIにできること、できないこと


ある寒い日、ふと焼き芋が食べたくなって、こんなストーリーが頭に浮かびました。

「主人公は34歳の女性。現代の東京で移動式の焼き芋屋を始める」

どうせなら体を温めるだけでなく、心もホッコリしてもらいたくて、テーマは「人情」ということにしました。

要素としては……

・ビジネス起業

・サクセスストーリー

……などを盛り込みたいな、と思いました。

そこで、あるプロンプトを使ってChatGPT3.5に生成してもらったのが以下のあらすじです。

---あらすじ---

【ChatGPT】

東京の喧騒と日々のストレスに疲れた34歳の女性、佐藤美咲は、人々の心を温かくする新しい冒険を始めることを決意します。彼女は突然のアイデアに従い、移動式の焼き芋屋を始めます。彼女は自分の小さなキオスクを街のさまざまな場所に設置し、人々に温かくて健康的な食べ物を提供します。

最初は、美咲は新しいビジネスを立ち上げることに対する不安と、彼女の焼き芋が人々に受け入れられるかどうかに対する不安に苦しんでいます。しかし、彼女の誠実で素朴な焼き芋と、彼女の明るい笑顔が、徐々に通りがかる人々の心を打ちます。

美咲の移動式焼き芋屋は、街の中で次第に評判を呼び、彼女は地域社会の一員として受け入れられていきます。しかし、彼女はビジネスと人間関係の両方でさまざまな挑戦に直面します。時には、彼女の優しさと人情によってのみ、困難を乗り越えることができるのかどうかを問われます。

美咲は、移動式焼き芋屋を通じて新しい友情を築き、自分の人間関係や生活の中で成長していく中で、自分自身の中に眠っていた力と可能性を発見します。

物語のディテール


こういう話に説得力を持たせるためには細部のリアリティが重要だと思ったので、ChatGPT3.5に質問してみました。

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【ぴこ蔵】

移動式焼き芋屋の許可の取得と適切な営業場所の選定はどうすればいいのでしょうか? 具体的に教えてください。

【ChatGPT】

移動式焼き芋屋を始めるためには、いくつかのステップを踏む必要があります。以下に具体的な手順を示します:

許可の取得:

最初に、地元の自治体や都市部の規制当局に連絡し、移動式飲食店の許可に関する情報を収集します。これには、健康証明書や食品の安全基準を満たすためのガイドラインが含まれます。

関連する申請書類を提出し、必要な手数料を支払います。申請書類には、営業許可や食品取り扱い許可が含まれる場合があります。

許可の取得には時間がかかる場合があるため、事前に計画を立て、余裕を持って申請することが重要です。

営業場所の選定:

移動式焼き芋屋を営業する場所を選ぶ際には、人通りの多い場所やイベントが開催される場所を重視しましょう。公園、商店街、学校の近くなどが考えられます。

営業場所を選定する際には、地元の規制や許可に準拠することを確認し、他の飲食店との競合や周辺の店舗との協力関係も考慮します。

営業場所は、安全性や衛生条件、アクセスの便利さなどを考慮して選定する必要があります。また、場所のレンタル料や費用も予算内で考慮することが重要です。

交渉と契約:

適切な営業場所を見つけたら、地主や管理者と交渉し、賃貸契約の条件や期間を確認します。

契約書を慎重に読み、必要に応じて法的な助言を求めます。また、営業場所の条件や契約の詳細を明確にすることが重要です。

営業計画の策定:

営業場所が確保されたら、営業計画を策定しましょう。これには営業時間、価格設定、販促活動、在庫管理などが含まれます。

営業計画を立てる際には、地域の需要や季節性を考慮し、適切な戦略を検討します。また、競合他社や顧客の嗜好も分析し、差別化を図ることが重要です。

これらのステップを踏むことで、移動式焼き芋屋を適切に許可取得し、適切な営業場所を選定し、成功するための準備を整えることができます。

面倒くさいプロセスを苦労話にする


ぴこ蔵は思いました。

「焼き芋屋を出すのもなかなか大変だな~。でも苦労話こそ面白いわけだから、この『焼き芋屋を起業』する手順をストーリーに取り込もう」

開業までのさまざまな苦労をストーリーに取り込むためには、一つ一つのプロセスを「事件」とか「出来事」としてエピソードにするといいのではないかと考えました。

エピソード化するためには登場人物が必要です。

そこで、『移動式飲食店の許可の取得』や『営業場所の確保』などを苦労話に見立てて、それに関わる人物を物語に登場させることにしました。

キャラクターを作る


さらに、登場人物のキャラクターに何か特徴を持たせて、その人間性が読者に伝わるようにしたいと思いました。

そういう時は履歴書と同じで、趣味や好きなもの、そして特技などを追加するのが定石です。

ここでは好きなものとして「猫」を選んでみました。ついでに特技も猫関係にしようと思い、「主人公は迷い猫を見つけるのが得意」という設定も付け加えてみました。

注意したのは、余計な個性を持たせすぎて、肝心のストーリーが脇道に逸れないようにすることです。

だから性格や外見のことには触れないようにしました。必要以上に自分好みのキャラに仕上がると、ついついヒロイックだったりロマンチックな展開を考えてしまい、途端に話がブレはじめるからです。

この段階で最優先するべきなのは、物語を最後まで完結させるための大筋固めです。必要最小限の個性で我慢しましょう。

ChatGPTにはこんな風に指示しました。

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【ぴこ蔵】

主人公は「食品衛生責任者の資格を持つ人」と知り合い、パートナーとして一緒に働くことにする、という展開を作りたいです。そのきっかけとなるのは主人公の特技である「迷い猫の発見と保護」に関するスキルです。このエピソードを作ってください。


するとこんな答えが帰ってきました。

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【ChatGPT】

主人公である34歳の女性、佐藤美咲は、食品衛生責任者の資格を持つ人と知り合う機会を得ます。ある日、彼女は通りを歩いていると、小さな路地裏で迷っている猫を見つけます。美咲は心優しい性格で、動物が苦しんでいるのを見ると手を差し伸べたくなります。そのため、彼女は迷い猫を保護し、適切な場所に連れて行くことに決めます。

美咲は迷子の猫を優しく扱い、安全な場所に連れて行くために奔走します。その過程で、彼女は偶然、食品衛生責任者の資格を持つ人である鈴木太郎と出会います。鈴木は、迷い猫を保護し、その健康状態を確認するのに役立つ専門知識を持っています。

美咲と鈴木は共通の関心事を共有し、彼女が迷い猫を保護する姿に感銘を受けた鈴木は、彼女に近づきます。彼は美咲が動物に対する情熱と責任感を持っていることを認め、彼女に食品衛生責任者としての資格を取得することを提案します。

美咲は喜んでこの提案を受け入れます。彼女は自分の特技である迷い猫の発見と保護を通じて、新しい友情を築くと同時に、自分の将来に向けた重要な一歩を踏み出すことになります。


ぴこ蔵は思いました。

「鈴木太郎が登場すると、どうしても恋愛展開の期待をしてしまう。それはありきたりでつまんないしな。そうだ、ここは女性同士の友情にしてみよう!」

そこでChatGPTに指示しました。

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【ぴこ蔵】

「食品衛生責任者の資格を持つ人」は女性で、主人公は彼女の猫を探すことで友だちになり、一緒に焼き芋屋をやることになる、というストーリーにしてください。


するとこんな答えが帰ってきました。

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【ChatGPT】

物語は、主人公の美咲が迷い猫を探し、偶然にも食品衛生責任者の資格を持つ女性、鈴木理沙と出会う場面から始まります。

美咲は理沙との出会いをきっかけに、焼き芋屋を始めることを決意します。彼女たちは共同で移動式焼き芋屋を立ち上げ、地域の人々に美味しい焼き芋を提供します。美咲の献身的な姿勢と理沙の専門知識が相まって、焼き芋屋は人気を博し、多くの人々の支持を得ます。

美咲と理沙は、仕事の中でさまざまな試練に直面しますが、彼女たちの友情と協力が乗り越える力となります。そして、彼女たちは自分たちの夢を追い求める中で、新たな人間関係を築き、成長していきます。

移動式焼き芋屋は、地域のコミュニティに温かさと喜びをもたらし、美咲と理沙の絆はますます強固になっていきます。彼女たちは共に、夢を追いかけ、新たな挑戦に立ち向かいながら、幸せな日々を過ごすのです。

物語は、美咲と理沙が新たな冒険に向かう中で、彼女たちの友情と絆がどのように成長していくのかを描きます。

生成AIの使い方の一つの【結論】


きっかけは何気ない思いつきでも、生成AIによって現実的なデータを加えていくことが、リアリティーのある細部を作っていく助けになりました。

「これなら完成させられるな」という手応えを感じるアイデアになりました。

これに『問題』『敵』『目的』を設定し、「どんでん返し」入りの事件を起こして、結末を選んだら完成です。

また時間がある時にでも、この続きを書き進めてみたいと思います。

このように、リアリティのあるエピソードを作るために、舞台や背景に関連する具体的なあれこれをChatGPTに調べてもらい、そこから登場人物を引っ張り出すという作戦は非常に効果的でした。

物語で使いたい情報の入手。具体的な手順の調査。

これがChatGPTに出来ることの一つであり、おすすめの使い方だと思います。

それ自体はごく当たり前なAIの用途ですが、そこからあなたの物語世界や登場人物にリアリティを付け加える道が拓かれていきます。

ストーリーに活き活きとしたディテールを盛り込むために、生成AIの現実的な知識は力強い味方になることでしょう。


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