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呼吸について(無料記事)

今回、呼吸に関する知識を紹介してみようと思います。

まず、画面の前で構わないので、深呼吸を何度か繰り返してみてください。何度か繰り返してみて、自分の肩が大きく持ち上がったり、首筋が緊張している感じがないか確かめてみてください。もし持ち上がっているのかいないのか、どちらかわからないという場合は、鏡の前に移動しておこなってください。視覚情報が得られるので、判断がつきやすいと思います。

肩が上がったり、首筋が緊張している感じが深呼吸を繰り返す中でおこなっているようであれば、身体の状態は良いとは言えません。呼吸は頑張っておこなうものではないのですが、自分自身が頑張っている意識がなかったとしても、身体が頑張って深呼吸をしてしまっている状態だからです。

では、呼吸について考えてみましょう。大前提として空気が入る場所は、肺になります。考えてみると当たり前ですが、結構曖昧だと思います。腹式呼吸をすると、お腹がふくらむのでお腹の臓器の何かに空気が入っているのではないかという気がしませんか。私はそう思っていた時期があります。でも腹式呼吸をした途端に肺に入るはずの空気が、大腸小腸に入るなんていうわけではありません。どんな呼吸法をしていても、空気が入るのは肺です。

息を吸うと、体内に空気が取り込まれます。肺に空気が入るためには、身体の中にスペースを作り出す必要があります。スペースを作るために、肺の下にある横隔膜は下がります。「上がると思いますか?下がると思いますか?」と質問をすると、「上がると思います」という人が半数近くいます。でも、横隔膜が下がるのが正解です。息を吸った時に肩がグッと緊張して持ち上がったり、胸が前に盛り上がるような感覚が強いので、上に押し上げるような気がするわけです。

空気を飲み物、身体を容器だと考えてみてください。底の部分が横隔膜になります。空気を体内に取り込むためには、底が上に上がってしまうと容量が少なくなってしまうことが、上の写真を見ながらだとイメージしやすいと思います。下に下がることで、容量を増やすことができます。もう少し言うと、息を吸った時に横隔膜は下がりながら広がっていきます。底蓋の面積が広くなるイメージです。

この横隔膜の動きには個人差があります。姿勢が悪かったり、ストレスがかかっている人は横隔膜が良い状態の人に比べて下がる程度が小さくなります。健全な横隔膜の動きができなくなっている人も、体内に空気をたくさん取り込むことはできます。「深呼吸がうまくできない」という人がいるかもしれませんが、逆上がりができないように「深呼吸自体ができない」という人はいません。誰でも深呼吸をすることはできます。「横隔膜の動きが健全でない人=底蓋が下に下がらない」とどうなるのかというと、上蓋をより上にするということで、容量を増やそうと身体は働きます。

この記事の冒頭、深呼吸を繰り返してもらいました。肩や首が緊張し上に上がっていた人は、肺の上にスペースを作ることで、空気を取り込んでいた訳です。これは副次呼吸と言い、本来は緊急時にのみおこなう呼吸になります。マラソンやスポーツの中継をテレビなどで観ていると、解説者が「○○選手は肩で息をしていますね」などと発言したりすると思います。また、車が目の前にいきなり現れたり、怖い思いをすると肩が自動的に上がると思います。この肩の動きは、緊急時に起こる自然な反応になります。

この緊急時に起こる反応が、普段おこなわれているというのが、呼吸の浅い人ということになります。こういう人が「リラックスしたい、気分転換したい」と思って、深呼吸をしても、この副次呼吸は緊急時でおこなわれるべき呼吸です。当然、うまくリラックスすることができません。

肩が上がらずに、横隔膜がまたより健全に動く呼吸を講座ではお伝えしていきます。noteでも紹介できるものがたくさんあるので、少しずつ書いていきたいと思っています。1日2万回以上、私たちは呼吸をし続けています。その呼吸の質が高まってくると、大きな変化が私たちの心身には現れます。

昔は、人が一生にする呼吸の回数が何回か、生まれ持って決まっていると考えている人たちもいました。彼らは息が浅い人たちが早死にしたり、逆に長生きをしている人の呼吸が深いことを、人を観察し続けて発見したのでしょう。実際に生まれ持って決まっているかはわからないですが、息が浅い人が病気になりやすかったり、深い呼吸を自然にできている人に比べると差があるのは想像に難くありません。生まれた時に最初にする運動が呼吸で、息を引き取るとき、死の最後にする運動も呼吸です。

ピラティスやボディワークを使って、身体への理解を深めながら、より良くしている講座をおこなっています。スケジュールはリンク先(http://www.hasakataiki.com/20180109-2/)から、確認してみてください。大阪、東京、名古屋で開催が決まっています。

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