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特異性の原理と意図(インテンション)(無料記事)

先月から開始したマガジンですが、来月からは定期購読(自動更新)する形に変更します。更新頻度は当初、週一回ペースを予定していましたが、もう少し多くなると思います。

ボディメイクを専門とするパーソナルトレーナーの方が筋肉の肥大や体脂肪率に関心があるように、私というボディワーカーは日常をどう快適に過ごしていくことができるかに関心を持っています。同じような関心を持っている方にとって、読んでいただけると幸いです。

身体のことに興味を持った当初、ピラティスのことは何も知りませんでした。存在自体も知らず、パーソルトレーナーの資格を取るための勉強からスタートしました。基礎的なことからきちんとされている実力のある先生から学びました。

その先生からトレーニングの原則について、教えてもらいました。原則だから、絶対的な法則です。いくつかある原則の中の1つに特異性の原理があります。

特異性の原理(http://mintore.com/tore18/ より)
トレーニングの効果は行なったトレーニングの刺激に対して特異的に効果が表れます。例えば、アームカールを継続的に行なうことでアームカールに必要な筋肉が大きくなり、結果アームカールを行なうことの出来る回数が増えます。どこを鍛えたいか、どうゆう動作のレベルを向上させたいかなどの、レベルアップさせたい動作に合わせたトレーニングを行なうべきです。これを特異性の原理と言います。

もう少し簡単に書くと、短距離走の練習をすると、短距離を走る能力が特異的に高くなるということです。同じように、長距離走の練習をすると、長距離を走る能力が特異的に高くなるということをこの原理は言っています。

この原理を教わった当初、そうはそうだろうと思いました。当たり前過ぎると思いました。算数の勉強をすると、算数の能力が特異的に上がる。国語の勉強をすると、国語の能力が特異的に上がる。当たり前です。

ただ、当たり前のはずなのに、当たり前ではなくなっていることがよくあります。

例えば、ゴルフのスイングをより上手になりたいと思った時に「どんなトレーニングがいいだろう」「体幹トレーニングがいいだろうかとか、ウェイトトレーニングがいいだろうか」などと人は考えます。上の原則から考えると、もっともゴルフのスイングをより上手にするトレーニングは、ゴルフのスイングを練習することになります。素振りをしたり、打ちっぱなしに行くことがもっともゴルフのスイングの上達に良いということです。キョトンとしてしまうかもしれませんが、実際にはスイングの練習をせずに、ゴルフのスイングが上手にならずに悩んでいる人もいたりします。

私の目的「日々を快適に生きること」だったり、私のセッションに通ってくださる方の多くは明確ではない「なんとなくなもの」だったりします。もしかすると、誰もが目的は曖昧だったり、いい加減なものかもしれないとも思います。

「ウェストを細くしたい」と思ってピラティスを始める人の目的は「自分に自信を持ちたい」ということかもしれません。そう考えると先ほどの特異性の法則を考えた時に、では何をすればいいのかという手段は難しくなります。

そこで重要なのは、意図(インテンション)です。例えば、ピラティスのエクササイズにヒップロールという動きがあります。ペルビックリフトとか呼び方は色々ありますが、仰向けになってブリッジの姿勢になっていくエクササイズです。

方法(ヒップロール):
①息を吐きながら尾骨から丸めて、1つ1つの背骨をバラバラにしながら(分節的に)床から持ち上げていく。最終的にヒンジアップと同じ位置まで、骨盤を上げる。
②少し優しく息を吸い、吐きながら背骨の1つ1つをバラバラにしながら(分節的に)床に下ろしていく。最後にお尻がつき、股関節が受け入れられるところで終える。

このヒップロールをおこなう意図(インテンション)は何なのか。意図に応じて、得られる結果は変わってきます。何を目的にして、何を意図してそのエクササイズをおこなうのかが非常に重要です。


例えば、ヒップロールの場合、骨盤を持ち上げていく場面でも下ろしていく場面でもハムストリングスの収縮を感じながらおこなう必要があります。自分の脚の軌道も意識しながら動いていく必要がありますし、背中の筋肉を使って、ブリッジの際に上半身の土台となるように安定させていなければなりません。背骨の1つ1つも細やかに動かせているかどうかも大切です。

この動きで意識することはたくさんあります。すべて重要なのですが、よりどこに意識の優先順位を持っておくのかで結果は違ってくるのです。

心理的なストレスなどによって、社会生活が以前のように送れなくなっている人にこのエクササイズをホームワークとして提案することがあります。そういった場合は、床をしっかり踏むことで、地面という外の世界との関係性を感じられるでしょう。しっかりした足腰、土台をしっかりさせることで地に足ついた状態に成長していくことができるでしょう。

腰痛の改善を目的におこなってもらうこともあります。その場合は、1つ1つの背骨が細やかに動かせるような能力を養っていくことが必要です。この動き自体に治療的な効果もあるでしょうし、動作教育にもなっているので日常生活でも腰に負担をかけないような身体の使い方を身につけることができます。

ダンサーにパフォーマンスを高めてもらうためにも提案します。ヒップロールはかなりたくさんの人にとって役立つエクササイズです。ハムストリングスが伸びやかに収縮している感覚や、大腰筋がこの動きの中で使えていることもダンスの能力を高めます。

その人その人の目的に対して、ヒップロールは効果があります。ただ、どういう意図を持っておこなっているのかをヒップロールをする人自身が理解しているかいないかで、得られる効果には差があります。

来月からは、ピラティスそのもののエクササイズを紹介する機会も増やしていきます。マガジン購読される方は、どんな目的を持っているのかなど、是非おしえてください。

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