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マイ音の巡礼@京都(亀岡の水琴窟と智積院の朝勤)

音の巡礼ガイドの遠藤卓也です。10月以降少しずつですが、“音の巡礼っぽい旅”を再開しています。

11月は京都に行く用事があったので、少し足を伸ばして亀岡まで。以前よりお参りしてみたいと思っていた、曹洞宗 真福寺さんへ。

勝手に「音の巡礼地」認定!

真福寺さんではお寺の竹で民族楽器を作るワークショップを開催したり、フィールド録音のアーティストがお寺の水琴窟の音を録音していたり、何やら楽しげな音が聴こえてきそう。
勝手に「音の巡礼重要スポット」に認定し、押しかけてみました。

京都から特急で20分くらい、予定より早く亀岡駅に着いてしまったので、まずは散歩がてら亀山城跡へ。

亀山城は、京都府亀岡市荒塚町周辺(旧丹波国桑田郡亀岡)にあった日本の城。亀岡城とも。明智光秀によって丹波統治の拠点として機能した城郭である。江戸時代初頭には近世城郭として整備された。大正時代に新宗教「大本」が購入、神殿を築いたが大本事件で日本政府により爆破・破却された。戦後再建され、大本の本部が置かれている。

Wikipediaより

明智光秀のお城だったことはなんとなく認識していましたが、「大本(おおもと)」という新宗教の本部になっていたとは全く知らず、興味を抱きました。もしかしたら大本教のお祈りとか、なにか宗教的な音が聴けたらと思ったのですが特にそういう出会いはなく、、、ただ、本殿の奥の神聖な雰囲気に静かな迫力を感じました。

霧とハチミツ

亀山城跡散歩の後、亀岡駅で満林ご住職と久々の再会をはたし、車で10分ほどで真福寺さんに到着。

真福寺ご本堂

駅周辺の街っぽい感じからたった10分くらい走っただけで、農村の長閑な雰囲気になります。霧の多い土地らしく、この日の朝も一体が霧に包まれていたようです。

この景色が霧に包まれるそう

真福寺に、もう一人馴染みのお坊さんが来てくれていました。新潟のお寺の住職と、京都のお寺の院代を兼ねるマルチ僧侶の諏訪至孝さんです。

諏訪さん(写真左)と満林ご住職(写真右)

満林ご住職から「遠藤さんくるよー」と連絡をうけ、サプライズで来てくださっていたそう(笑)お二人の禅僧との再会も嬉しく、早速真福寺のたのしそうなところを見せていただくことに。

本堂の脇にある小さな山を登ると、鳥居と社がありました。社の近くに、養蜂小屋がみえます。真福寺では蜂を飼っているのです。
帰りに蜂蜜をお土産にいただきましたが、花の香りと程よい酸味の美味しい贅沢な味でした。諏訪さん曰く「この蜂蜜のおかげで、お盆のお経の多い時期でも乗り越えられる」とのこと。お坊さんのお経をささえてくれる蜜蜂の存在。お寺で養蜂はとても理に適っているのかもしれません。

養蜂小屋

他にも小さな山から、檀家さんが植えたというきれいなコスモスが見えたり、お蕎麦なんかも育てているそうです。

火打ち石の採れるお寺

不思議な地層の露出

山の脇には興味深い地層が見えていました。
亀岡にある保津峡は古生代からジュラ紀にかけて築かれた渓谷と言われており、放散虫という微生物の遺骸が堆積してできた岩壁が隆起したものと推測されています。
真福寺境内にも恐らく同様の層が見えており、この岩は金属で叩くと火花がでます。火打ち石の要領で火をつけることもできるので、カンカンと叩いて遊ばせてもらいました。

大本教では火打ち石を重用するそう。石がとれる土地であることが宗教的にも重要な意味をもつのかもしれませんね。

水琴窟の幽玄なひびき

真福寺に水琴窟はふたつあり、どちらも幽玄で美しい音を出していました。
水滴の反響音は、目に見えない存在を知らせるソナーのようでもあり、その空気の振動に耳を澄ませていると、何かに思いを馳せずにはいられません。

その後、真福寺の水琴窟の音を録音されたという柳沢英輔さんの作品をラジカセで聴きながら、本堂でお茶をいただきながらしばしの談笑。
久々の対面での再会と、本堂でのなにげないおしゃべりが、ただただ有り難いと感じる時間を過ごしました。

自作の竹製木魚

お殿様の部屋でマインドフルなお昼寝

真福寺には、前述の亀山城(亀岡城)から移築されてきた建物があります。府の文化財として指定され、現在は保存修理の工事が行われています。

「修理が終わったらどう使うんですか?」という私の質問に「お昼寝会でもしますかね」と笑顔で答えてくださった満林ご住職(笑)長閑な自然の中で、虫の声や風の音を聴きながら坐禅して昼寝してお勤めする。なんと素晴らしいことでしょう。修復が完了したら、また真福寺へ音の巡礼したいです。

筆者と満林ご住職

突然の訪問にも関わらずあたたかくお迎えいただき、ありがとうございました!

マイ・フェイバリット経は「錫杖経」

亀岡から京都に戻り、この日は智積院の宿坊に泊まりました。智積院といえば真言宗智山派の総本山です。

10月末に奈良へ行った際に長谷寺(こちらは豊山派)の朝勤に参加したのですが、そこでお唱えされていた「錫杖経」のかっこよさに痺れてしまい、真言宗のお坊さんたちに「長谷寺で聴いた錫杖経が素晴らしかったです!」とお伝えしていたら、「智積院の朝勤もいいですよ!」とお薦めいただきました。
本当は 12/12 の報恩講にて、紀州根来寺以来の数百年の伝統の節でお勤めされるという「長錫杖」を聴いてみたかったのですが、そのタイミングで京都に行くことが難しそうだったので、まずは平時の朝勤を体験しに。

智積院・講堂

まだ暗い早朝に宿坊ロビーにて集合し、講堂へと向かいます。やはり朝は寒い、、、。11月は報恩講への準備ということでお唱えされるお経が「理趣経」ではなく「如来寿量品」でした。いつもTemple Morning Radioで聴いている日蓮宗のお坊さんたちによる「如来寿量品」とは節回しが異なり面白かったです。

そして法要のあとは、護摩もあってとても贅沢です。体調を悪くしている家族に思いをむけ、お守りをいただきました。朝からとてもリラックスした気持ちになります。
金堂が修復中でお参りできなかったのが残念ですが、修復後にまたお参りしたいです。

智積院・金堂

智積院の声明は、2月に国立劇場で行われる声明公演『智積院の声明』にて、じっくり聴いてみたいと思っています。


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