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東京ジャーミイでコーランの音に包まれる

音の巡礼、管理人の遠藤卓也です。
突然に寒くなった12月のある日、東京都渋谷区の代々木上原にある、日本最大のイスラム教寺院「東京ジャーミイ」へお参りしました。

間もなく帰郷なさるというトルコ人女性セヴデさんのご案内で、東京ジャーミイのこと、イスラム教のことをたくさん教えていただきました。

東京ジャーミイの意匠は、ただ美しいだけでなく宗教的意味合いや民族的モチーフで装飾が施されており、ずっと眺めていたくなります。

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ハイライトは夕方の礼拝。つめたい空気がキンとはりつめた礼拝堂の空間に、人の「いのりの声」が流れ出すとなぜか郷愁に近いあたたかさに包まれる感じがします。宗教は違えど願い・思いのこもった「音」という面で、お経にも通じるものがあります。
これはぜひ「音の巡礼」読者のみなさんにも聴いてほしいと思いましたが、録音はできないので「Youtube等で公開されているコーランの音源がありますよ」と、丁寧にご案内いただきました。もちろん一般参拝も可能ですので、ご興味のある方は感染対策をしっかりした上で訪ねてみてください。

『かぐや姫』のお話しの普遍性

礼拝のあとに、今回案内していただいたセヴデさんのお話しを聞きました。彼女が日本の『かぐや姫』のストーリーに共感しているということがとても興味深かったです。
かぐや姫は竹からうまれ、おじいさんとおばあさんに育てられます。成長すると、自分が月の国の人であることを知り(思い出し)後ろ髪を引かれながらも月へと帰っていきます。ざっくりですが・笑

敬虔なイスラム教家庭に生まれたセヴデさんは、科学というアプローチで「真実」に迫ろうとしていたそうですが、科学はこの世界の説明をしてくれるが「Why?」への答えを持たない。しかし宗教ならば、と思いイスラムに帰依されました。

かぐや姫では「月の国」という超越的な世界と、おじいさんおばあさんの居る慣れ親しんだ世界が対照的に描かれています。
(英語が得意ではないので、ここからは自分の想像が多分に入ります。)セヴデさんは、おじいさんとおばあさんの居る世界(科学が説明してくれる世界)で育ったけれど、ある種「月の国」的な宗教にも強く惹きつけられていく。どちらにも郷愁を感じて二つの引力の狭間にあるご自身を、かぐや姫の姿に重ねて共感されているのかなあと、思いを巡らせていました。

高畑勲監督による映画『かぐや姫の物語』では、月からのお迎えのシーンはは「阿弥陀来迎図」を参考にしていると聞いたことがありますが、なるほど仏教だけでなく世界的に普遍性のあるストーリーの形式なのかもしれない、、、物語ってすごいな。

こんなpost-religiousなお話しを聞かせていただけるなんて、とても良い機会でした。(noteマガジン「松本紹圭の方丈庵」購読者のためのプチオフ会企画でした)
セヴデさん、東京ジャーミイの皆さん、ありがとうございました。サラーム!

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