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雨ニモマケズとSDGs

PILOT井ノ部です。

SDGsについて何か書こうと思っていたら、ふとした拍子に雨ニモマケズ、風ニモマケズと賢治の詩の一節が頭に浮かんできた。

こういう時はしめたものである。頭の中で2つの事柄に結びつきがあると自分の脳が教えてくれたのだから、直感というのは役に立つ。

では何が共通しているのか。
その前に雨ニモマケズを全文抜粋してみよう。

雨ニモマケズ
風ニモマケズ
雪ニモ夏ノ暑サニモマケヌ
丈夫ナカラダヲモチ
よくハナク
決シテいかラズ
イツモシヅカニワラッテヰル
一日ニ玄米四合ト
味噌ト少シノ野菜ヲタベ
アラユルコトヲ
ジブンヲカンジョウニ入レズニ
ヨクミキキシワカリ
ソシテワスレズ
野原ノ松ノ林ノかげ
小サナかやブキノ小屋ニヰテ
東ニ病気ノコドモアレバ
行ッテ看病シテヤリ
西ニツカレタ母アレバ
行ッテソノ稲ノ朿ヲ負ヒ
南ニ死ニサウナ人アレバ
行ッテコハガラナクテモイヽトイヒ
北ニケンクヮヤソショウガアレバ
ツマラナイカラヤメロトイヒ
ヒドリノトキハナミダヲナガシ
サムサノナツハオロオロアルキ
ミンナニデクノボートヨバレ
ホメラレモセズ
クニモサレズ
サウイフモノニ
ワタシハナリタイ

南無無辺行菩薩なむむへんぎょうぼさつ
南無上行菩薩なむじょうぎょうぼさつ
南無多宝如来なむたほうにょらい
南無妙法蓮華経なむみょうほうれんげきょう
南無釈迦牟尼仏なむしゃかむにぶつ
南無浄行菩薩なむじょうぎょうぼさつ
南無安立行菩薩なむあんりゅうぎょうぼさつ

雨ニモマケズは青少年期の自分にとっては、とても美しい詩ではあったが、最後の部分で共感をし切れない部分があった。
その大きな部分が賢治の理想の生き方がここに記されているわけで、この構造自体が非常にSDGs(理想のゴール)と似ている。

理想を示された時、他者はまず距離を置くのかもしれない。

雨ニモマケズで言うのなら、健康、清貧、無欲、奉仕、様々な賢治の目指した美徳が描かれている。これら全てに人は共感できるかと言うと、やはりそれは人それぞれの部分があると言わざるを得ない。

例えば若い時の僕自身を振り返ると、

ミンナニデクノボートヨバレ
ホメラレモセズ
クニモサレズ

ミンナニデクノボートヨバレ
ホメラレモセズ
クニモサレズ

この部分に共感ができなかった。

なぜそこまでへりくだらなくてはならないのか、と。(でも、四十を越えた今の年になると、この箇所が一番好きであり共感するところでもある)
同じ人間でさえ歳を経るごとに理想とすることが変わっていく中で、違う人間だったらなおさらだ。

SDGsの17の目標というのも、だから受け止め方、共感度合いも人によって違ってよいし、また年を経るごとに同一人物でも変化していくものだと考えればいいのだということに気づかされる。

実は雨ニモマケズの前に題材として、去年末のタモリさんの『新しい戦前』という言葉と2023のSDGsについて書こうと四苦八苦していたのだが、うまくいかなかった。
なぜなら戦争批判、政治批判へと自分の思考が流されていってしまったからだ。

奇しくも雨ニモマケズが創られたのが1931年満州事変の後だったから、『戦前』と言われる時代でもある。

北ニケンクヮヤソショウガアレバ
ツマラナイカラヤメロトイヒ

言葉の力を感じる一節だ。

戦争は本当につまらない。

こうした共感が一つ一つの事柄を進めていく。
だからSDGsの中の理想をツマラナイカラヤメロと言うより、SDGsを横目で眺めながら宮沢賢治の雨ニモマケズを読み返してみていただきたい。

きっと何か新しい発見があるはずだから。


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