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肉体労働、知識労働、感情労働

毎週日曜日の朝に参加している
読書勉強会で、ドラッカー
『プロフェッショナルの条件』
読み進めている。

「知識労働者」という言葉を
ドラッカーはよく使うのであるが、
これはもちろん「肉体労働者」
対比される概念。
「頭脳労働者」と、意味合いとしては
同じと考えて良いだろう。

昔は、労働と言えば肉体労働を指す
のが一般的。
それが、時代の変遷とともに、
肉体を直接さほどに動かすことなく、
頭脳、知識を働かせることで「仕事」
として成り立つような職種が増えて
来た
のは間違いない。

今の時代、「頭脳(知識)労働」が
圧倒的マジョリティ

そのうちの一部として扱われてきた
「感情労働」という言葉があるのを、
先日の会で初めて知った。
某老舗レストランで働いている方が、
自分の職場をして「感情労働」の
典型
である旨の発言をされていたの
である。

これは、アメリカの社会学者である、
アーリー・ラッセル・ホックシールド
女史
が初めて提唱した概念らしい。

彼女がこの「感情労働」を「頭脳労働」
から切り分けた意義は、これが作業習熟
による労働効率の向上をほぼ期待できない

点において、頭脳労働とも肉体労働とも
異なる
という点にある。

一般的な頭脳労働に比べ、人間の感情に労働の負荷が大きく作用し、労働が終了した後も達成感や充足感などが得られず、ほぼ連日、精神的な負担、重圧、ストレスを負わなければならないという点に感情労働の特徴がある。

出典:Wikipedia

感情労働に従事する者は、たとえ相手の一方的な誤解や失念、無知、無礼、怒りや気分、腹いせや悪意、嫌がらせによる理不尽かつ非常識、非礼な要求、主張であっても、自分の感情を押し殺し、決して表には出さず、常に礼儀正しく明朗快活にふるまい、相手の言い分をじっくり聴き、的確な対応、処理、サービスを提供し、相手に対策を助言しなければならない。 つまり相手に尊厳の無償の明け渡しを半ば強制される健全とは言いがたい精神的な主従関係や軽度の隷属関係の強要である。年功序列や接客業など、こちらの生活や人生が相手の判断で左右される職種において発生しやすい。

出典:Wikipedia

キャビンアテンダント看護師
コールセンターのヘルプデスク
苦情処理部門などの職種が、
感情労働の典型とされる。

しかし、上記引用の後半の方に
「年功序列」とある通り、実は
職種での切り分けにとどまらず、
職場の制度によっても感情労働的な
働き方は発生し得るようだ。

「年功序列」に限らず、職場には
様々な制度、慣習、掟、ルール
あるもの。
そして、それはときに人を理不尽に
縛り付ける

そう考えると、「頭脳(知識)労働」と
言われる職種であっても、「感情労働」
的な側面は少なからずある
のだ。
そして、だからこそ、どんな職場で
あっても、うつ病を始めとするメンタル
ヘルスの悪化例が後を絶たない
のだと
思われる。

コロナ禍で、うつ病の症状を訴える人は
益々増えた
という。
実際、私自身の身の回りを見ても、
不調を訴える人や、実際に休職する人
など、とにかく人数が増えたことを
ヒシヒシと感じる。

「感情労働」的な性質を持つ仕事だから
と言って、一概にそれが人間にとって
「害」だということではない

CAに代表される「接客業」にせよ、
「看護師」や「ヘルプデスク」にせよ、
サービスの担い手と受け手の双方が、
お互いとてもハッピーな気分になれる
素晴らしい仕事
である。

しかし、いわゆるクレーム、苦情を
言う・受ける段となると、お互いに
ストレスがたまるものとなり、特に
受ける側にとっては、
「尊厳の無償の明け渡しを半ば強制」
されることになってしまう。

こういったケースにおいては、
感情を持たないAIに極力任せられる
ような仕組みを作る
等の対策を、
真剣に考えるべきなのだろう。

Googleの調査で有名になった
「心理的安全性」の概念も、いわば
「感情労働」的側面に左右されない
職場づくり
と言い換えることも可能
かもしれない。

まずは自分の身の回りから。
「感情労働」の負の側面が表面化
しない職場づくりを実践
することを
意識したい。

己に磨きをかけるための投資に回させていただき、よりよい記事を創作し続けるべく精進致します。