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「安心おやつ」というポジショニングのドーナツ

昨日、横浜中華街にてランチを
楽しんだ後、少し足を伸ばして
山手、元町を散策した。
石川町にそろそろ到着しようかと
いう場所に、かわいらしい店舗を
発見。
昔懐かしい匂いをさせつつも、
センスの良さを感じさせる
ドーナツ屋さん。

「はらドーナッツ」というその店は、
元町の街並みに溶け込んでいて、
地元のお店かと思いきや、なんと
チェーン店。

神戸発祥のようで、3年前に
フジオフードシステムという
東証一部上場企業に買収された
会社であった。

フジオフードシステムがなぜこの
ドーナッツ屋さんを買収したのか、
何かシナジーがあるのか、そこは
よく知らない、分からないという
のが正直なところ。
同社が手掛ける数多のレストラン
チェーンで、私が実際に入ったことの
あるのは、「かっぽうぎ」という
定食屋さんくらい。

それにしても、サイトを見る限り、
かなりバラエティに富んだ
ブランド(カテゴリー)展開を
行っているのが分かる。
「システム」と名乗る位なので、
恐らくは外食産業のチェーン化、
食材調達とかオペレーションなどの
コツをノウハウとして確立していて、
それを様々なカテゴリーに横展開
しているのだろう。

はらドーナッツに話を戻そう。
ここのドーナッツは、おからと豆乳を
ベースに作られている。
やや小さめのサイズで、おからだから
パサパサしているかというとそれも
なく、罪悪感なしにパクパク食べられる。

ミスタードーナツが、ドーナツの王道、
日本においては代名詞的な存在として
君臨しており、知名度も売上高も
圧倒的だろう。
そこに殴り込みをかけたクリスピー
クリームドーナツは、アメリカでの
底堅い人気と、当時はまだ珍しかった
食感とで、上陸当初は新宿のショップ
で数時間の行列が出来たのを未だに
記憶している。

それら巨大チェーンに対抗する上で、
はらドーナッツの勝負所は、やはり
健康志向なのだろう。
ブランド名の前に「安心おやつ」と
ある通り、子どもにおやつを与える
際に安心して出せるようなこだわり
を持って、商品を提供していると
いうことが、ストレートに伝わって
くる。

ミスターやクリスピークリームなどの
競合に対して、意味のある違い
(差別化、ポジショニング)を
出していくことができなければ、
「価格が安いから」とか、
「近所にあるから」とか、
「いつも食べてて十分美味しいから」
といった理由で、なかなかお客様には
振り向いてもらえない。

神戸にある「原とうふ店」が昔ながらの
製法で作っている豆腐から出たおからや
豆乳を使用して、「安心」のストーリー
をサイトで説明している。
こうしたストーリーを背骨に持ちつつ、
先行する他社と同様にバラエティに
富んだ限定フレーバーを季節ごとに
投入していくことで、固定ファンを
獲得しようと目論んでいることが見て
取れる。

勿論、競合はドーナツ屋さんとは
限らない。
おやつになり得るものが全て競合と
言って差し支えないだろう。
ポテトチップスのようなスナック菓子
もあれば、たい焼きとかお団子などの
和のおやつだってある。

そんな競争環境の中、
「安心おやつ」と銘打つことで、
子どもに与えるおやつは安全・安心な
ものを、と考える世のお母さんたちの
心をつかもうとしている。

今週水曜に開催するセミナーの主題が
丁度「ポジショニング」なので、
このはらドーナッツも事例として
紹介すると面白そうだ。

己に磨きをかけるための投資に回させていただき、よりよい記事を創作し続けるべく精進致します。