見出し画像

水族館のUSPについて考える

昨日に続いて沼津ネタ。
「沼津港深海水族館」
というものがあるのはご存知だろうか。

港の賑わいの中心部にほど近い場所、
鮨屋などのレストランが軒を連ねる
中に、ちょっと毛色の違う建物が
現れる。

名前に「深海」をうたっているだけ
あって、深海魚類の展示が充実した
水族館。
そして、こちらの最大の魅力は、
何と言ってもシーラカンスの展示で
ある。

画像1

こちらのシーラカンス、
もちろん生きているわけではない。
しかし、正真正銘のホンモノ。
レプリカではない。
世界でも希少な冷凍標本を2体、
このように展示している。

いつ、誰に発見されたのか。
シーラカンスの名前の由来。
なぜ生きた化石と呼ばれるか。
などなど、展示に付随する解説も
充実している。
因みに、上記ウェブサイトにも
しっかり情報は掲載されている。

「あっ、レゴだ!」
と思わず言ってしまったが、
レゴではないブロックを使って
作られたシーラカンスの模型。
冷凍標本の手前に置かれており、
演出の仕方として面白い。

画像2

沼津がなぜ「深海」なのか。
それは、目の前の駿河湾が、
水深2,500mを誇る日本一深い湾

だから、ということだ。
実際、駿河湾で漁をしていると、
網に多くの深海魚がかかるらしい。
「地の利」を最大限に活かそうと
いう発想
である。

画像3

こちらはタカアシガニの展示水槽。
甲殻類は、深海に暮らすものが
多いのはご承知の通り。
水圧に耐えうる「鎧」を身に
まとっている様々な種類の
カニたちが展示されていた。
足元にある、水族館の名前が浮かび
上がるブロック状のライトが、
なかなか「映え」ている。

画像4

個人的にヒットしたのは、こちらの
「サケビクニン」という深海魚。
かつて我が家で飼育していた、
ウーパールーパーを思わせる皮膚。
頭の形が、出家した女性=比丘尼
思わせるということから付いた
名前だそうな。

水族館というのは、なかなか
固定費用が重そうである。
施設がそれなりに大きいし、
水槽などの投資もかさむ。
何より、水槽の中で飼う魚たちを
日々養うための飼育員にかかる
コストは相当なものだろう。

だからこそ、安定した経営を行う
必要があるわけだが、それには
安定した入場料収入が欠かせない。

入場者数を常にそれなりのレベルで
維持するためには、
「是非行きたい!」
「いつか行ってみたい!」
という気持ちに消費者の心を動かす
「ウリ」
が必要。
この「ウリ」のことを、よく
「Unique Selling Proposition」
略して「USP」
と呼ぶ。

「USP」とは、平たく言えば、

「売り物としての独自性」
「商品のウリ」

とでも説明すればよいだろう。

沼津港深海水族館の場合、
それは、独自の資源としての、
目の前に広がる駿河湾に生息する
多くの深海魚たち
を展示できること。
そして、その「深海魚」つながりで
「シーラカンス」という希少な種の
標本
を入手し、展示していること。
更には、沼津港という観光名所に
あることで、「食」も含めて観光を
楽しんでもらえる立地
にしたことが
挙げられるだろう。

そんなに珍しいのだったら、
是非見てみたい!
そう思ってもらえるように
努力をして、実際それなりに
多くの観光客を惹き付けている
と評価できそうだ。

沖縄の美ら海水族館だったら、
マンタなどが雄大に泳ぐあの
巨大水槽がUSPだろう。

大阪の海遊館も、巨大な水槽に
マンタやジンベイザメが
ゆったりと泳ぐ様を見られて、
圧巻の一言であり、それこそが
USPだと思われる。

品川のマクセルアクアパーク
(旧エプソン)だったら、
デジタル技術を駆使した、
美しく幻想的な世界観だろうか。

水族館の人気ランキングが、
こちらにある。
上位に来ているところは、
規模や立地に左右されている面も
大きいとはいえ、やはりUSPが
ハッキリしていると言えるのは
間違いないところだろう。

沼津港深海水族館は、
27位にランクインしていた。

あなたの琴線に触れる
「USP」は、どの水族館で
見つかるだろうか?

己に磨きをかけるための投資に回させていただき、よりよい記事を創作し続けるべく精進致します。