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続・トイレットペーパー「3倍巻き」特許侵害紛争ぼっ発に寄せて

昨日、やや長文になってしまった分の
続きである。

昨日の話は要約が難しいのだが、
あえてまとめるとこんな感じだ。

【昨日のニュースのポイント】
「〇倍巻き」のトイレットペーパーが増加
「3倍巻き」でスコッティ(クレシア)が先行
・エリエール(大王製紙)が「3.2倍巻き」発売
クレシアが特許侵害で大王を提訴

【消費者が「倍巻き」で注意すべき点】
・「〇倍巻き」の母数に注目
・グレードによってブランドが分かれる
・ブランドによって元の長さも異なる
「倍巻き」競争は、フラッグシップよりも
むしろセカンド品で激しく行われている

そして最後に、エリエールの新商品である
「3.2倍巻き」には、シングル規格の商品が
ない(ダブルのみ)
ことを指摘した。

ここで、「シングル」と「ダブル」の違い
について確認しておこう。
要は「1枚重ね」「2枚重ね」か、という
ことなのだが、皆さんは普段どれほどこの
違いを意識しているだろうか?

公衆トイレの類や、業務用の消費は、
高級ホテルや百貨店などの類を除けば
ほぼ「シングル」だろう。
これに対して、家庭における消費となると、
「ダブル」の方にやや分がある。

正確な統計資料ではないものの、
以下の記事で全体の趨勢は掴める。

これを読むと、全国的には「ダブル」優勢だが、
関西だけでは「シングル」が逆転している
ということだ。
真因は定かではないが、関西のおばちゃんの
方がコスト意識がシビアだから、などと
以前からまことしやかに噂されていた。
上記記事でも、「関西人の気質が影響」
分析している。

「ダブル」は「シングル」と同じ紙を
2枚重ねにしていると思われがちだが、
実は必ずしもそうではない。
「シングル」に比べると若干薄い紙を
2枚重ねている場合が多い
のだ。

通常、「ダブル」が30m/巻であれば、
「シングル」が60m/巻となる。
12ロール入ったパッケージの重さを
それぞれ量ると、「シングル」の方が
重い
場合が多いことから、その事実は
確認できる。

記事にあるように、「ダブル」の方が
消費者が若干ながら早く使い切って
くれることで回転が早まることと、
原料として使う紙の量が「ダブル」の
方が少なくて済むということから、
メーカーとしては「ダブル」の方が
ビジネス的に有り難い
のだ。

更に、「ダブル」の方が「シングル」
よりも「ふんわり感」を出しやすい。
消費者が期待するベネフィットとして、
柔らかいこと、肌にやさしいことという
のは常に上位を占める。
「ダブル」の方が、その点で消費者に
刺さりやすくなるのだ。

加えて、昨日も言及したJIS規格の問題が
ある。
「ダブル」で80mの長さということは、
「シングル」だと160mも巻かなければ
ならず、直径が規格内に収まりきらない
リスク
が出て来る。
薄くし過ぎると紙が切れてしまうし、
バランスがなかなか難しいのである。

以上のような要因から、エリエールは
「3.2倍巻き」を「ダブル」のみで展開
したのであろう。

そうやって折角発売にこぎつけた
「3.2倍巻き」であるが、
特許侵害で訴えられるという
面倒な事態を招いている。
販売差し止めが認められるのか等、
その後の経緯を注意深く見守りたい。


ちなみに、我が家ではどんなものを
選んでいるか
ということにも触れよう。

実のところ、関西人が気付いていると
言われるコスパの観点は事実なので、
我が家で使うものは「シングル」一択
している。

また、「倍巻き」の各商品は、
どうしても通常品に比べると若干
紙を薄くしているのも事実なので、
出来れば通常のものを買いたいと
いうのが本音のところだ。
しかし、保管スペースとの兼ね合いで、
最近は「1.5倍巻き」を購入することが
多い。

以上、賢い消費者になるヒントとして
多少なりとも参考になれば幸いだ。

己に磨きをかけるための投資に回させていただき、よりよい記事を創作し続けるべく精進致します。