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人生万事塞翁が馬

昔、中国にあった「塞」という国に
住む翁、つまりはお爺さんが語った
物語に基づく人生訓のことは、
多くの人の知るところだと思う。

いいと思ったことが悪い方へ転び、
悪いと思ったことが良い方へ転ぶ。
「禍福はあざなえる縄の如し」
ということわざと、ほぼ同じ意味と
考えてよいだろう。

中国の新しい指導部が、習近平氏の
派閥で占められ、首相を務めていた
李克強氏らライバル陣は軒並み姿を
消すという人事。

予想されていたとはいえ、実際に
その布陣が発表されると、なかなか
大胆な人事だと素人ながらに感じる
ところだ。

習派にとっては一見「良いこと」に
見える今回の新指導部発足。
しかし、本当に「良いこと」となる
のかどうか
、これからが見ものと
言える。

というのも、今回のようなやり方では
ライバル側の不満が一方的に溜まる
ばかりで、どこで暴発が起こるか、
予断を許さないからだ。

中国は歴史的に、"Winner takes all"
勝者総取りの文化
が根強い。
戦争があると、勝った方が負けた方を
とにかく根絶やしにする。
そうしないと、いつ寝首を欠かれるか
不安で仕方がないのだ。

たくさんの国が乱立し、戦争の度に
互いに根絶やしにしあってきた
から、
残念なことに王朝が途切れないで
続くということがなかった。

日本は、2,600年以上もの長きにわたり
万世一系の天皇をいただいて来たが、
これは極めて有り難い。
全くもって簡単ではない、大変に貴重
かつ希少な存在なのである。

「異例」の3期目に突入した習氏の新しい
指導体制は、「盤石」なものを築こうと
する意図があまりにも露骨
で、逆に
かなりの遺恨を残したと評価できるの
ではなかろうか。

そうなると、「塞翁が馬」の如く、
「盤石」を打ち破る要素が日に日に
大きく膨らんで、不安定な状況へと
流れる日も近い、そんな気がして
ならないのだ。

周囲に諫言を届ける者がいなければ、
その指導体制は必ず腐る
だろう。
自分本位、独りよがりに陥って、
客観的な正しさを無視するように
なり、人心が離れていく。

企業経営も、国家経営も、この部分は
全くもって同じ。

自分の派閥で周りを固め、自分の耳に
心地よい情報ばかりが耳に入るように
なれば、没落は近い。

今回の一連のニュースを見て、
我々日本にとっては、かなりラッキー
なのかもしれない
、実はそんなことを
感じている。

中国国内が一枚岩になれなければ、
台湾有事などの危機が多少遠のく
可能性もあるからだ。
もちろん、逆に有事が起こるリスクを
増やした可能性もあるのだが。

いずれにせよ、良いことだけが続く、
または悪いことだけが続く、という
ことはない。
良いこともあれば悪いこともある。
一喜一憂せず、そのときそのときに
ベストな行動をとる、その意識が
大切
なのだろう。


己に磨きをかけるための投資に回させていただき、よりよい記事を創作し続けるべく精進致します。