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ブライアン看護婦の原則

自分の娘が新米看護士となった。
まだ生まれたてホヤホヤの雛鳥の
ようなもので、これから色々な
知識や経験を経て、徐々に成長を
遂げてくれることを期待しながら
見守っている。

昨日は、点眼の練習をさせてくれ
というので、実験台になったの
だが、なかなか手に付かない。
不器用は私に似たかもしれないと
思うと、少し申し訳ない気持ちに
なりつつ、看護士を職業として
選んだ以上は何とか自分のものに
してくれよ、そう祈るばかりだ。

毎週日曜の朝にお邪魔している
読書勉強会で、現在ドラッカーの
『プロフェッショナルの条件』
読み進めているというのは、
何度かここでも書いた通り。

数回前の時に、かの有名な
「ブライアン看護婦の原則」
紹介する部分が出て来た。

病院においては、患者こそが「顧客」
あり、そのニーズこそが最も優先される
べきである。

しかしながら、様々な制度や仕組み、
思惑、しがらみといったことから、
患者よりも病院側の都合、医者の都合、
あるいは患者の家族の都合など、
患者本人以外のニーズが優先されて
しまうことがままある

患者本人にとって不利な「決定」が
なされていいものか。
真摯に自らの職責と向き合っていた、
古参の看護婦、ブライアンさんは、
担当病棟でそういった何某かの
「決定」がされそうになると、必ず
この質問を発していた
のだと言う。

「それは患者にとっていちばんよいことでしょうか」

『プロフェッショナルの条件』87ページ

質問を発していただけなら、
それほど驚く必要はないかも
しれない。
しかし、事実として、彼女の病棟の
患者は回復が早かったというのだ。

彼女のリーダーシップは、
やがて病院全体にまで波及し、
この質問を必ず確認するという
ルールが、彼女が引退してから後も
ずっと定着したまま守られ続けた

いう話である。

ブライアン看護婦の原則は、
マーケティングの王道の考え方に
通じる、いや、そのものと言って
良い
だろう。

病院における医療サービスという
のは、なかなか市場経済になじみ
にくい部分がある
のも確かだ。
そして、マーケティングの原理
原則をそのまま当てはめて良いか
についてもまた、議論の分かれる
ところかもしれない。

しかし、ブライアン看護婦はやはり
正しいと思うのだ。
顧客である患者さんを最優先に考え、
その顧客にとって一番良いことを
実現するべく意を尽くす。

マーケターも、顧客を最優先に考え、
彼ら、彼女らにとって一番良いことを
実現できるよう、手を変え品を変え、
あれこれトライアル&エラーを繰り
返すべきもの。

自社の売上を最優先ではない。
自社の利益を最優先でもない。
自分のエゴを最優先などとんでもない。
あくまでも、顧客を最優先
さすれば利益は後から付いてくる

ドラッカーは、こうやっていつも
我々の背筋を伸ばしてくれる。
有り難いことだ。

己に磨きをかけるための投資に回させていただき、よりよい記事を創作し続けるべく精進致します。