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アテナイのアクロポリスで、”コンテンツの輝き”について考えた話

#わたしの旅行記

2019年、初めてギリシャを訪れました。

ギリシャ神話を読んでいた子供のころからずーっと”行きたい国リスト”に入っていたギリシャ。

イギリスに2ヶ月ほど滞在していた時の合間だったので、ほんの3日程度のショートトリップでしたが、やっと来たぜ!!ととてもとてもワクワクしていました。

この短い旅で私は、これまで見逃してきた視点を通して自分自身の考え方に改めて気づきました。50代にもなるとそんなにしょっちゅうアハ体験なんてないんですよ。
そんな意味でもこのギリシャ旅行は新鮮で印象深い旅になりました。

ギリシャ絶対にまた行く

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ギリシャに行く前はロンドンにいたので、大英博物館でギリシャ気分を盛り上げました。

大英博物館に行くと、(略奪品を)よくここまで堂々と観光資源にしてるよね〜と毎回思うものの、貴重なコレクションを大切にステキに展示してること、しかも無料開放してくれていることについては感謝とリスペクトしかありません。

ありがとう、大英博物館。
ギリシャから帰ってきたらもう一度来るからねと思いながら、アテネへ。

everyday freeをありがとう

到着して最初の観光は、もちろんアクロポリスです。
朝イチで行ったので人もそれほど多くなく、ゆったり静かです。

私はオタク気質ではないんですけど、聖地巡礼ってこういう気持ちなのか?と思いながら、アクロポリスに登りました。

朝イチはガラガラでした!

登っている途中にも見どころがちょいちょいありますが、感動的なのは何といっても頂上。

神殿もすごいし景色もすごい。

すごい!壮大!美!天才!と、小学生みたいな感想しかでてこない。

街の景色。写真では伝わりきらない広大さです。

紀元前5世紀、2500年も前(あってる?)にこんなん建てるってどういうこと?と、見ている間ずっと思っていました。

壊される前はどれほどのものだったんだろう
遺跡はどこも、何からしら修復してますよね
陽のあたると荘厳さ増し増し

この神殿を造る頭脳と技術はもちろんのこと、この世界観よ。

これを持っているギリシャ、強い。

偉大な先祖たちが残してくれた遺産がいっぱいあるからガツガツしなくてもいっか!となる気持ちわかるよ!(ギリシャの人がそう思ってるかは知らないです。)

常々”生まれ変わったら古代ギリシャ人になりたい”と思っていたのですが、実際にパルテノン神殿を見て、その気持がより強いものになりました。

街のどこにいてもアクロポリスが見えます

さて、ひととおり遺跡をまわりましたら、次は新アクロポリス博物館です。
遺跡の上に建っていて、のっけから大英博物館とは違う風情。

通路もガラス張り

建物はガラス張りになっていて、展示とアクロポリスを一緒にみることができます。

4階カフェからの眺め。気に入りすぎて毎日通ってしまった。

そして、3階はパルテノン神殿の大理石彫刻の展示。

実際のパルテノン神殿と同じ配置で展示されていて、神殿の中にいるような感覚を味わえるようになっています。(ただし、本物が大英博物館等にある彫刻も多く、その部分には”レプリカ”が展示されています。返還されたら入れ替えるシステム。どういうことやねん。)

この展示方法自体は大英博物館と同じなんですけど・・・

イギリスの博物館に展示されているものを観るのと、ギリシャで山の上の遺跡を眺めながら展示を観るのと、もう全然違うんですよね。

なんというか、歴史の重みにぐわーっと取り囲まれる感じ、頭のなかでタイムトリップできる感じ。こんなの大英博物館では感じられなかったです。

で、思ったんです。

やっぱりその場所でしか表せない世界観があって、彫刻やら柱やら石像やらを博物館の中に展示したところで、遺跡の中にあるときと同じ輝きは放てない。

あるべき場所にあることで、そのコンテンツが本当に輝く、と。

そう感じました、私は。

大英博物館素晴らしいけど、この景色はみれないのよ。唯一無二。

考えてみたら、私が心を動かされる時はいつもそのパターンでした。

オペラやバレエはヨーロッパの劇場で、ミュージカルはNYの劇場で観るのが好きです。

はじめてNYのMETに行った時、”おおおおお!”っと思ったのは、展示品そのものよりもアメリカの財力でした。

他にも例を上げればキリがありません。

・世界一好きな美術館はアムステルダムのゴッホ美術館
・博物館ならロンドンのV&A
・最もオーラを感じた絵画は、オーストリアのベルヴェデーレ宮殿でみたクリムトの接吻。鳥肌たった。

多分私はずっと、世界観とともに観るコンテンツが好きだった。

新アクロポリス博物館の中ではじめてそのことに気づいて、なんだか涙が出てきました。

ああ、そういうことかと。

そんなこんなで大英博物館に対する興味はすっかり薄れ、イギリスに戻ったあとはV&Aや王室コレクション等、イギリスのものを展示する美術館博物館を回っておりました。

イギリスには素晴らしいコンテンツが山程ありますよね!

友人と飲んだ時には、
なんで盗んだもの返さないんだよ!
とフィッシュアンドチップスとギネスをいただきながら詰めたりして笑

この時は、誰も憎むこともなく、誰からも奪うこともなく、誰とも争うこともない世界がくればいいなと、世界平和を願いながらうざ絡みしてました。
なんか反論されたけど忘れました。

近年、略奪した美術品を返還する動きが高まっていて、パルテノン神殿の彫刻も少しずつギリシャに戻ってきているようです。

いつかすべての彫刻が戻ったら、アテナイのアクロポリスどんだけ輝くんだよ!と楽しみでなりません。
私が生きてるうちにその日がきたらいいなと思っています。

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