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Question Frameworks: SPICEについて

正確で意味のある質問に落とし込むことは,レビューを成功させるための第一歩である(Thomas et al.、2019)。
レビューのライフサイクルの初期に行われる決定が,その後の検索,研究デザインの選択,データ抽出,分析の段階を左右する。「疑問の定式化」(Booth et al., 2019)または「疑問の枠組み」(Squires et al., 2013)として知られる活動から生み出されるquestion frameは,通常,レビューの焦点として「誰が」,「何を」を指定することが示されている。
これらのframeは、しばしば "compared with" や "how measured" などの可変的な追加機能を指定する。レビュープロトコルは通常,疑問の定義から始まり,研究の種類,日付範囲,言語などの理にかなった(妥当な)制限を定義することでこれを積み重ね,レビュー方法を決定する(Thomas et al.、2019)。

Patricia F. Anderson and Andrew Booth
.Chapter4.Question Frameworks.2022(*すみません。かなり意訳してます)
 

一般的に疑問の定式化のFrameworkとして上に描いたPI(E)COフレームワークが知られています。
ただこのPICOには適切な様々なバリエーションが疑問や研究デザインによって存在します。

今週はそのうちのSPICEの原典について調べていて,大変勉強になったのでメモします。

SPICEがquestion frameworkの有名人Andrew Boothさんであることはおぼろげに覚えていたのですがその出典を調べていました。

上に引用した Foster, Margaret J., and Sarah T. Jewell. Piecing Together Systematic Reviews and Other Evidence Syntheses. Ed. Margaret J. Foster, Margaret J. Foster, and Sarah T. Jewell. Blue Ridge Summit: Rowman & Littlefield Unlimited Model, 2022.の4章にquestion frameworksについて解説があり,本書で質的研究デザインの疑問を定式化するフレームワークの1つとしてSPICEが挙がっています。
そして,参照資料として挙がっているもの(2つあり)恐らくコレかなと思うものは以下でした。

ref: Booth, Andrew. 2019. “Innovative Approaches to Systematic Reviewing.” In Systematic Searching: Practical Ideas for Improving Results, edited by Paul Levay and Jenny Craven, 25–50. London: Facet Publishing.

Patricia F. Anderson and Andrew Booth. Chapter4. Question Frameworks.
Foster, Margaret J., and Sarah T. Jewell. Piecing Together Systematic Reviews and Other Evidence Syntheses. Ed. Margaret J. Foster, Margaret J. Foster, and Sarah T. Jewell. Blue Ridge Summit: Rowman & Littlefield Unlimited Model, 2022.

でも,「確かSPICEって2019年よりとっくに前から使われているフレームワークだよな」って疑問に思ったのが,今回調べたきっかけです。
調べていく中で以下の文献が目にとまりました。

Jordan J, Rose L, Dainty KN, Noyes J, Blackwood B. Factors that impact on the use of mechanical ventilation weaning protocols in critically ill adults and children: a qualitative evidence-synthesis. Cochrane Database Syst Rev. 2016;10(10):CD011812. Published 2016 Oct 4. doi:10.1002/14651858.CD011812.pub2

の文中でSPICEについてboothさんの資料を参照で挙げていました。
「 the SPICE (Setting Perspective Intervention Comparison Evaluation) mnemonic (Booth 2004)」
(SPICE frameworkを使って研究をされている文献です)

挙がっていた資料が以下になります。
Booth A. Formulating answerable questions. In: A. Booth, A. Brice editor(s). Evidence Based Practice for Information Professionals: A Handbook. London: Facet Publishing, 2004:51‐70.

ただ、この「Evidence Based Practice for Information Professionals」を直接確認することが難しく行き詰まったかと思ったのですが
boothさんが直接教えてくださいました。ほかの #medlibs な方々も別途のツールで調べたりご自身が院生時代(2005年か2006年ごろ)などにSPICEを共同で開発されたAnne BriceさんからSPICEフレームワークを習ったと教えてくださいました。ですので,原書をあたれなくても2006年ごろにはやはりSPICEは方法論として流通(活用)されていたのだなというところまでたどり着くことができました。

さらに,なんと入手がもう難しいこともありBoothさんがpreprint版として提供してくださいました。
Evidence Based Practice for Information Professionals: A Handbook. London: Facet Publishing, 2004

https://t.co/KqFAicyujF

しかし,ざっと拝読したところ,SPICEの"I"として理解している"interest”の記載が見つけられず,??となったのですが、この2004年の原典を挙げなかった理由として,当初この資料の中では"I for Intervention" としていたけど,後に現在使われている "I for phenomenon of Interest" に変更したこともあり,常に原典をあげるわけではない(SPICEの参照ではあえて2019年の資料を参照に挙げている)と言うことを教えていただきました。

もう本当に本当に大変勉強になりました。
原則参照は原典を当たると理解してきた私には目からうろこの体験でしたし,あえてSPICEの参照に2004年のEvidence Based Practice for Information Professionalsを挙げていらっしゃらない理由もここにメモしておきたかったので記録させていただきます。
このような機会を下さった某先生には大変感謝申し上げます。

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