『仮面ライダー龍騎』が大好きと言うことだけ伝わっていただければ嬉しいです。


今日は毎週事務所で行われていた稽古会の後、毎月出させていただいている『デシロ』と『まんぐる』という二つのライブがありました。
何にもせずただぼーっと1日を送るだけが当たり前の僕にとっては、恐ろしく激しい日でした。1日に3回もネタをやると脳が痛い。昔は受験勉強とかで1日に何百単語とか覚えてたのに。薄々感じてはいましたが日に日に物覚えが悪くなっています。
陰キャヲタクなんだからせめて、と思い必死に勉強していたあの時の僕に見られたら殺されてしまうかもしれませんね。物覚え悪く勉強もできず、頭が悪い陰キャヲタクの僕には何が残されているんでしょうか。何もないです。トホホ…。


ここからは切り替えて。
今日は僕の人格形成に大きな影響を与えた作品、『仮面ライダー龍騎』を紹介したいと思います。

軽いあらすじ
鏡の中にある世界「ミラーワールド」。そこに棲むモンスターは人間をミラーワールドに引き摺り込み、捕食していた。
ある失踪事件の取材をしていた新人記者の城戸真司は、失踪者の部屋で謎のカードデッキを見つける。それこそが「仮面ライダー」となってミラーワールドに入り込むためのアイテムだった。
人々をモンスターから守るため、カードデッキを使ってモンスターと契約し「仮面ライダー」となって戦うことを決意する真司。
しかし彼は、もう1人の「仮面ライダー」である秋山蓮からこの戦いの本当の目的を知らされる。
それは、13人いる「仮面ライダー」同士が殺し合い、最後の1人になったものが願いを叶えることができる。というもの。
人を守るために変身した城戸真司は、同時にライダー同士の戦いも止めるため、このバトルロワイヤルの中に飛び込んでいく。

この作品はもはや僕如きが紹介する必要など全くないほど、アニメ、特撮問わず数々の創作物に影響を与えている傑作中の傑作です。
でも好きなので話させてください。

まずなんと言ってもこの設定。鏡の中の別世界、カード、モンスター、契約、バトルロワイヤル。これでテンションの上がらない男の子なんていないでしょう絶対。
更にこの作品を語る上で欠かせないのがその挑戦の数々です。それまでの仮面ライダーとは一線を画すデザイン。仮面ライダーの最大の特徴とも言える複眼は鉄の仮面の下に隠されており、当時は鉄仮面などと揶揄されていた様です。しかし、龍騎をきっかけに仮面ライダーのデザインの幅が大きく広がったのは間違いないでしょう。
加えて13人というすごい数のライダー。中には極悪人の変身する仮面ライダーもいます。これも当時は「仮面ライダーは正義の味方であるべき、悪人が変身するなど…」という声も多かったといいます。しかし、これこそがその後のシリーズのさらなる挑戦を行う土壌になったのではないかと思います。ある種「まあ平成ライダーだしこのくらいのことはするか。」と思える様になったのは龍騎の力がとても大きいと思うんですよね。

とまあ設定周りだけでもこれだけの魅力があるのですが、最もお伝えしたいのはキャラクターとストーリーの魅力です。

代表的なのは、主人公の城戸真司ともう1人の主人公とも言える秋山蓮の関係性。
あらすじにもある通り、真司はモンスターから人を守るためにライダーになります。そんな真っ直ぐで優しい性格だからこそ、ライダー同士の戦いを止めようとするんですよね。しかも、そんな性格なのに彼自身の潜在的な戦闘能力と契約モンスターの力の強いこと強いこと。このバランスも絶妙。
しかし、当然他のライダーたちにはそれぞれに叶えたい願いがあります。
秋山蓮ももちろんその1人。彼は昏睡状態の彼女を救うためにライダーとなりました。
それぞれに事情があって、願いがあるからこそ戦うライダーたちの姿を見て、バカ正直な真司は本気で悩むんです。自分はなんのために戦えばいいのかと。そして、そんな彼と共に過ごしていくうちに、どんどんと非情になりきれなくなっていく蓮。
仲間ではない、でも敵ではない、なんとも形容し難い二人。
ここからは解釈の分かれるところかもしれませんが、出会い方が違えばきっと友達にすらなっていなかったであろう彼らの間に、命のやりとりの中でお互いの本気を知るからこそ芽生える友情。なんて皮肉で、でもなんて美しいんだろうと。あまりにも残酷すぎると。
バトルロワイヤルものとして完璧、究極の形での主人公達の描き方だと思っています。
そんな真司が自分のライダーとして叶えたい願いを見つけるシーンは必見です。皆様、せめてそこまででもいいので見てください。出来ればその次の回も。

そんな彼らの脇を固めるキャラクターたちも非常に魅力的です。
永遠の命を手に入れるためにライダーバトルに参加する凄腕弁護士北岡秀一。
彼の魅力はなんと言ってもその人間臭さ。欲望に忠実と言いますか、自分のためだけに戦う彼ですが、だからこそ常に芯を食った発言をする。名言製造機と言ってもいいでしょう。
そしてその秘書である吾郎ちゃんも素晴らしい。北岡先生との関係性はもちろん、ふとしたことで生まれる真司とのつながりも心温まるといいますか。
そして龍騎を語る上で欠かせないのが極悪脱獄囚の浅倉威。
彼はただ戦いたいという理由だけでライダーバトルに参加している頭のおかしい人です。
彼の魅力は一切ブレないその極悪人っぷり。最近だと敵が味方になるというパターンが多いですしそれも好きなのですが、やっぱり悪といえば浅倉!
彼が人を殺す理由はただ一つ。「イライラしたから。」これを信じられないと言われた際の浅倉の言葉、「みんなもっともらしい理由をつけて安心したがる。」は、ダメなんですが妙に納得させられてしまいました。
この様に、浅倉威は狡猾さと極悪さを併せ持った究極の悪役なんです。彼は、僕がヒールの魅力を知る大きなきっかけになりました。

そんな彼らの物語は、基本的にはずっと胸が詰まるほどシリアスな物語なのですが、時折ギャグが差し込まれるんですよね。この塩梅が良すぎて、信じられないくらいキャラクターたちに愛着が湧きます。ギャグの内容もわざとらしくない、サラッとしていてかつ面白いものばかりです。
特におすすめのギャグシーンがある回は、第16話、第29話、第43話です。全部あの井上敏樹先生脚本でございます。
ここに、この作品が井上敏樹と小林靖子の脚本の殴り合いと呼ばれる所以が垣間見えますね。

ここまででもだいぶ長くなっちゃったんですが最後に。
僕が個人的に、この作品の魅力が最も凝縮されていると思っている、第29話の話をさせてください。
この回はいわゆる総集編です。総集編というと、「これまでの活躍を振り返ろう!」的なのが極めてスタンダードな形なのですが、龍騎は違います。
ここからはネタバレありになるので、これから見るという方はここで読むのをやめていただいたほうが良いかと思われます。



ライダーバトルの仕掛け人にして黒幕である神崎士郎。彼の操る最後のライダー、金色の仮面ライダーオーディンが登場します。オーディンは「タイムベント」と呼ばれる時間を操るカードを持ち、このライダーバトルに修正が必要になったとして、時間を第一話時点までリセットします。主人公である城戸真司はリセット前の記憶を保っていたため、これまでの悲劇を二度繰り返さないために奮闘する。と言うのがこのお話です。
このように、再び一から始まった戦いを真司と共に振り返りながら彼の奮闘を見る、と言う形で総集編としているんですね。この作り方天才すぎませんか?
しかし、この回がすごいのはここからです。
まずここで、この作品がマルチエンディングのループ物だということがはっきりするんですね。この情報はこの作品にとって非常に重要なものとなりますので、まさかこのタイミングで持ってくるというのも驚きます。
そしてここからが僕の一番大好きなところ!
真司は結局何も変えることができず、更にリセット前の記憶も徐々に薄れていくんです。しかし薄れゆく記憶の中で、オーディンに一矢報いるため、職場や居候先の部屋の至る所に「金色の羽根はとにかく後ろをなぐれ!」というメモ書きを残しまくります。それが功を奏し、二周目の同じ場面でオーディンに一撃を加えることに成功するんですね。
この攻略法に、真司のバカさとかアツさとか、その全てが凝縮されていて最ッッッッッ高にかっこいいんです。
それと細かいんですが、このシーンでメモを貼りまくった職場の上司とか家主は、「あいつ何やってんだよ。」みたいな感じで呆れてるんですよね。こういう、なんと表現したらいいか難しいですが、一側面からだとギャグシーンみたいだけど、その裏の誰も知らないところで、実はそれがものすごいカッコいいシーンに繋がっている、みたいなの大好きなんですよ。
そんなこんなでオーディンに一撃を加えた真司ですが結局倒せるわけでもなく、「お前たちの戦いは何も変わらない。」と吐き捨てられてしまいます。
しかしそこで真司はこう返します。
「一つだけ変わった。消えてったライダーたちの重さが二倍になった。これ以上は増やさない。」
カッッッッッッッッッコよすぎる!!!!!
このセリフは、∀ガンダムのロランが核を使いながら発した、「人の英知が生み出したものなら、人を救って見せろ。」というセリフと並んで、僕が今まで見てきた全てのエンターテイメントの中で最も好きなものの一つです。
まさか総集編ひとつにここまでの意味を持たせるなんて。もちろん、リアルタイムで見ていた当時は5歳とかそんなんだったんで全く意識しておりませんでしたが、見直せば見直すほどこの回の神がかり的なクオリティの高さに鳥肌が立ちます。
やはり、小林靖子氏は化け物である。

と言うわけで、未だかつてないほど長くなってしまった事に僕自身も驚いていますので、ここで終わりたいと思います。長くなってしまった分、いつも以上にまとまりがなく読みづらい文章になってしまいまして、申し訳ありません。
こんだけ長く書いたのに、龍騎の魅力の一厘もお伝えできていない自分の不甲斐なさが悲しいです。

しかし、幼少期に『仮面ライダー龍騎』の様な作品に触れて育つことができたことを、僕は心から誇りに思っています。
みなさまもぜひご覧ください。
ちなみに僕が特に好きなキャラは、真司、手塚、編集長です。

ありがとうございました。

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