私は日常の変化が嫌いだ。

食事の予定があれば何日も前から憂鬱。
月に2回の不燃ごみの日ですら憂鬱の種。

そもそも予定があることが嫌。
スケジュールに書かれた予定は、安らかな心を掻き乱すイレギュラー。
だからスケジュールは白ければ白い方がいい。

つまらない人生を送っているな、と我ながら思う。
小さな世界の中で、平凡な日常を繰り返すだけ。

そんな私は休み毎にひとりで海外旅行に行く。
行き先はマイナーな国。個人旅行のフリープラン。
旅先では非日常の連続で、イレギュラーなことがたくさん起こる。
それらは私の嫌いなこと。
だから、旅では楽しいことと同じくらい、疲れることも多い。

自宅に戻り、旅の記憶をなぞりながらひとり呟く。
「楽しかったけれど、やっぱりいつもの生活が一番」と。

そして、自分の小さな世界が、自分の平凡な日常が、私の幸せなんだ、と実感する。

この実感を得るために私はまた旅に出る。

そんな旅する目的もいいじゃない。