イメソンの話

してもいい? いいよ。


BUMP OF CHICKENの「オンリーロンリーグローリー」って曲あるじゃないですか、あれがポケモンSVにめちゃめちゃ合いませんか?って話です。そもそもBUMPの曲は遍く人間の心象風景に刺さり続けてきたので当然ではあるんですが。

イメソンの解釈の内容は他の人の考察や感想の内容に多分に影響されています。ご了承ください。

歌詞の内容は総合してネモ・ボタン・ペパー・ミラコラが救われる流れなんですが、さらに細分化して歌の節ごとに3ルートに分けられそうなんですよ。

まずは原曲を貼っておきたいと思います。公式垢です。

そしてその身をどうするんだ 本当の孤独に気付いたんだろう
溢れる人の渦の中で 自らに問いかけた言葉
放射状に伸びる足跡 自分だけが歩き出せずにいる

死んだ心をどうするんだ 忘れた振りして覚えてんだろう
突き放しても 捨ててみても どこまでも付いてくるって事
闇に守られて 震える身に 朝が迫る

置いていかれた迷子 遅すぎた始まり
さあ 何を憎めばいい
目隠しをしたのも 耳塞いだのも
全てその両手

強者としてチャンピオンになって、初めてついてくる人が居ない孤独に気付いたネモの心象を想像してしまって胸が締め付けられます。

周りの人間関係には恵まれていたけど、その隣は歩めない。皆が模索しているような道に進めない。バトル以外の道には踏み出せない。気付いたときにはもう頂点から動けない。

周りに馴染もうと手を抜いてバトルをしてみても付き纏う抑圧や偏見からは逃れられなくなって、表に出さないながらも、孤独を自覚しながら毎日を過ごしていくネモ。

ロンリーグローリー 最果てから声がする
選ばれなかった名前を 呼び続けてる光がある
オンリーグローリー 君だけが貰うトロフィー
特別じゃないその手が 触る事を許された光

そこで、ネモの家柄の事も知らなくて、更にはポケモンバトルもできる主人公(プレイヤー)が見つかるんですよ。

チャンピオンではあるものの、周りの人達にはついて行けないからと距離を取られた、ライバルとして選ばれてこなかったネモは、プレイヤーがポケモンを起動した時点で初めてライバルとして選ばれるんです。

なんでもないただのプレイヤーだからこそ、ポケモンをただ遊びたいだけの人間だからこそ、今作の彼女のライバルになれるんですね。


特別でもなんでもない人間を特別にしてくれる物語、最高です。

そして僕らは覚悟した 本当の恐怖に気付いたんだよ
隠れてみても 逃げてみても いつかは照らされるって事
位置について 息を吸い込んで 吐き出して
合図を待つ

笑われる事なく 恨まれる事なく 輝く命など無い
眩しいのは最初だけ 目隠し外せ
ほら 夜が明けた

いじめっ子を跳ね除けた後のスター団ですね。
このままでいても良いのか、どんなに強く結束してもいつか終わりは来てしまうんじゃないか、そんな不安を抱えながらマジボスを待ち続ける。

また、マジボスであるボタンも、退学という現実が迫る中で、ずっとこのままではいられない、皆をここに縛っていても良い結果にはならないと考え、皆の為にスター団を解散させる覚悟を決め、主人公に協力するよう持ちかけます。

笑われる事なく 恨まれる事なく 輝く命など無い

ここ、いじめられていた時期の5人と、周りに何を言われようとスター団を存続し続ける5人、同じくいじめられていた時期のボタンと、スター団を解散させようとするボタンが重なって熱いですね…。

眩しいのは最初だけ 目隠し外せ

ここも、スター団ルート最終戦のボタンがフードを外すモーションと、終結後の朝焼けの中皆が集まってくるシーンが思い起こされてたまりません。

ロンリーグローリー 大丈夫 どうやら歩ける
一人分の幅の道で 涙目が捕まえた合図
オンリーグローリー 僕だけが貰うトロフィー
一人に凍える この手が 温もりと出会う為の光

サビはもうスター団ルートの総括ですね。
孤独だった6人が出会い、ボタンが別れ、そしてまた新たに出会うまでの流れです。
ルート攻略中は回想が多かったのもあって、こういった曲を聞くと進行形のボタンの心境と、スター団の当時の心境が重なるように思い起こされて厚みが出ますね…。

息絶えた 心を撫でた
殺したのは 他ならぬ僕だ
傷跡に 雫が落ちた
動いたんだ 僅かでも確かに


まだ生きていた、僕の中で一人で
呼吸を始めた、僕と共に二人で

ペパーの心境…にしてはちょっと噛み合わない部分が多いと思います。
まずはドンピシャな太字部分から話しますが、ここは完全に弱ったマフィティフの為に色々試し続けていたペパーのくだりですね。
幼少期からずっと1人と1匹でいたペパーの事や、スパイスサンドを食べさせた後のシーンを彷彿とさせられます。

息絶えた 心を撫でた
殺したのは 他ならぬ僕だ

まだ生きていた、僕の中で一人で

問題のここ、人間として孤独であり続け、父親への疑念を抱いていたペパーと取れなくもないです…が。


めちゃくちゃフトゥー(オーリム)AIにも合いませんか?


研究所の日記の内容で判明しますが、博士は博士なりに家族を愛していた時期はあるんですよね。ラボに幼少期のペパーとマフィティフの写真もあるくらいなので。

けど、夢のために捨てた。自分の良心を殺して、理想の実現を選び、その末に自身も居なくなってしまった。

しかし実は、良心は生きてるんですよ、フトゥー/オーリムAIの中で。

「殺したのは他ならぬ(本物の)僕だ」
「まだ生きていた、(AIの)僕の中で」

歌詞が第三者視点なのもまたAIに合うんです。人格のコピーだからこそ…。

僕だったから それが見えた
「おはよう、ごめんな、思い出せるかい」
孤独を知ったから また出会えた
孤独じゃない

ここはもう~、最初の二行に、元気を取り戻したマフィティフに語りかけるペパーのシーンを重ねつつ、フトゥー/オーリムAIが最後にペパーに語りかけるシーンも重ねてしまって…。

子供を愛していた時の博士の良心のままだから、博士AIだったからこそ今のペパーの事を見てあげられたんだろうなと…。

孤独を知ったペパーだからこそ、孤独にならないよう必死にマフィティフの為に動いて、主人公と協力をして、冒険をした。

その努力の末で不本意な形ながらも、ずっと求めていた親の愛と、親を尊敬する気持ちを改めて思い出し、大切な相棒を助けて、親友にも囲まれて孤独じゃなくなるんです。

歩き出した迷子 足跡の始まり
ここには命がある
選ばれなかったなら 選びにいけ
ただひとつの栄光

これね~、孤独の中でマフィティフの為に努力して、最後には自分の思う道を見つけたペパーである事に間違いはないんですが、

最初になわばりを追いやられ、選ばれなかったミラコラが、最後の最後にトラウマを打ち破って主人公の最高の切り札として主張してくるシーンが浮かびます。
あの瞬間!
今まで一緒に走り続けてきた相棒が!!
プレイヤーを選んでくれるんですよ!!!
相棒として!!!!!

ロンリーグローリー 最果てなど無いと知る
この歩みよりも もっと速く 飛び続けてる光ならば
オンリーグローリー それこそが狙うトロフィー
特別じゃない この手を
特別と名付ける為の光

ラスト、皆それぞれの光を見つけて前に進んでいく。

ネモのパートの辺りで、
特別でもなんでもない人間を特別にしてくれる物語」と言いましたが、もう全部歌詞が言いたいこと言ってくれたや……。

特別でもなんでもないこの手が、ミライドンコライドン、ペパー、ボタン、ネモにとっては特別なものになった。
我々を、物語にとって大切な”特別”にしてくれる良いゲームでした。

ミラコラも元はただのモトトカゲですし、未来でも古来でもありふれたポケモンのようなんですが、プレイヤーが遊ぶゲームを決めた時点で特別なポケモンになるんですね。大切にしよう。

以上でイメソンの解釈語りは終了です。BUMPは強い。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?