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今日、ペットが死んだ。

20年間一緒にいてくれた、親友(猫)の話。

タイトルの通り、よくある話だ。
そりゃあ生き物だもん、死んじゃうよね。私のネコちゃんはもう20年も生きてたから覚悟はある程度で来てた。でもやっぱりそうなってみて、こう、やっぱつらいから、吐き出したいと思う。

うちのネコちゃんは私が小学校二年生の時に拾ってきた子だった。
学校の帰り道、道路わきの側溝で必死に泣いていた小さな子猫。箱に入れられて、傍には猫餌が置かれていた。その小さな子猫は脚が折れていた。
たぶん怪我で死ぬと思った人間が捨てたんだろうと直感的に分かった。家で死なれるのは嫌だから見えないところに捨てたんだと思う。で、小さな私はその子を発見した。
助けなきゃ、と思った。見た瞬間そう思って、急いで箱ごとその子猫を持って帰った。

一緒に帰ってた友達に牛乳買ってきてと、必死に貯めてた500円(その頃の自分にとって大金だった)を渡しておつかいを頼むと、走って買ってきてくれた。友達も私も、その子猫が急がないと死んじゃうと思っていたんだと思う。
本当にその子猫は弱っていたから。
脚が折れていた、ぶるぶると震えて、痛がっている声が時々聞こえて、目を離すと死んでしまうような気がずっとしていた。

※牛乳子猫にあげちゃダメって知らなかったけど、なんとかなった。

両親は飼う事を許してくれた。
流石に足が折れた子猫を、元の場所に戻してこいなんて言えなかったんだと思う。
「ながくないかもしれないね」母は小さい私に言った。

覚悟しておけよってことだ。そのくらいその子は小さくて弱弱しかった。
胃か食道が弱い子で、食べたものを頻繁にもどしていたから、長くないことは理解していた。
少しでも生きて欲しいと思っていた。
拾ったことに後悔はしていなかったし、両親はそのことで少しも私を責めなかった。

拾った翌日に雨が降ったからというのもあるだろう。
拾われなければ、側溝に捨て置かれていた子猫はきっとおぼれ死んでしまっていたから。

飼うにあたって名前もつけた。
夏に拾ったから、ハイビスカス。
つけたわりには長くて呼びにくいので、最初の数回以降ずっと「ハイビ」としか呼ばなかったけど 笑

ちょっとだけご飯を食べて、少し落ち着いてから動物病院に連れて行った。
子猫というのは生命力が強いらしい。
折れた脚は他の部分とうまくつながって、何の問題もないらしい(たしかにびっこを引いていたけど歩いていた)逆に手術した方が負担がかかる、体力なさそうだから。そう言われて納得した。

そのうち、吐きはするが一応食べるようになり。
脚が折れているのにしゃかしゃかと素早く走るようにもなった。(猫ってつよい)

うちには他にも猫がいて、ハイビを子供のように可愛いがってくれた。
私は一人っ子で、共働きの両親のもとに育ったので、学校から帰って母親が返ってくるまでの時間を猫たちと過ごした。
他の猫は私をガキだと思っていたから、舐められて遊んでくれなかったけど、ハイビは子猫だったから、私と遊んでくれた。寝るときもずっと一緒で、私が風呂に入ると「それ、水だけど大丈夫…?」って顔して助けに来てくれる。一人きりの時間の大半をテレビを見たり絵を描いたり猫と戯れたりして過ごしていた。

夜中、目を覚ました時のことだ。
普通みんなで川の字で寝ている布団に、その時は私一人だった。
たしか母親が「あんたが寝てからちょっと出てくるけど二、三時間で戻る」って言ってたことを思い出した。

どうしようと思った。

なにせまっっくらなのだ。何もない、広い真っ暗な部屋でひとりだという事に凄く怖くなってきた。子供にとってみれば暗闇は恐怖でしかないのだ。特にその当時はUSOやらのホラー番組も盛んだったこともあって、私の脳裏には「お化け!幽霊!!くる!!そこにいる!!」としか考えられなかった。
ちょっと動いて、電気をつけるだけで明るい部屋になれたけど、半開きの廊下側の扉に近づかなくてはいけない。ドアの隙間から手が出てくる妄想に苛まれて、出来ず、電気をつけることもできず。一人その場でぶるぶると震えていた。

誰かに居て欲しかったけど誰も居なかった。
でも私の真横ではハイビちゃんが「突然起きてなんだお前」という顔で見ていたので、ほとんど半泣きになりながら、ハイビちゃんを抱きしめた。ぶるぶる震えてる私の手を、慰めるように舐めてくれたことは忘れない。
抱っこが苦手な子なんだけど、そういう時は許可してくれる優しい子だった。本当に心強かった。
友達だと思っていたし、たぶんハイビちゃんも私のことを友達だと思っていたと思う。

そんな子が今日死んだ。

20年。すごい長生き。

足は子猫の頃から折れたままだし、食べすぎたら戻しちゃうのもずっとそうだった。太れないから、長く生きれないってずっとずっと思ってたけど20年。つよい。

病気もしなかった。
だから特別高い餌も食べないし、本当に健康そのもの。
普通に歩いて、普通に食事して、それが三日位前から急に食べなくなって、水を飲まなくなった。

あぁ、ついにかと思った。
流石に18歳を回ったころから何度もそのうち寿命がくると、シミュレーションしていたけど、その時が来てしまった。
私は一人っ子で、両親は共働きだから、実の両親よりハイビと過ごした時間の方が長かった。
いつかくる別れの日のために、耐えられるようにと、何回も心を慣らしていたはずなのに、やっぱりつらかった。

直接お別れも言ったし、よく遊んだし、よくなでたし、何かやっとけばよかったっていう後悔もない。自分以外にもっといい飼い主がいたかも、とも思わない。
私はハイビを救ったしハイビも救ってくれたから。

そんなに苦しむことなく眠る様に逝ってくれたこともよかったと思う。
寿命だし仕方ない。

人間の年齢に換算すると96歳らしい。すごい大往生。
でもやっぱり悲しい。どうしよう。

何かしてあげたくて、花をたくさん買ってきた。
ハイビスカスは残念ながら売ってなかったけど、色とりどりの夏の花を、両手で抱えると顔が隠れちゃうくらい買ってきた。その花に囲まれて、私の親友は骨になる。

かなしい、どうしよう、どうすることもできないし、どうしようもないから、こうして想いを吐き出してる。


20年間ありがとう。

今日、親友が死んだ。
きみに出会えてよかった。
たくさんの思い出をありがとう。どうか安らかに。

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読んでくれてありがとう。
ペットを飼ってる人は、後悔のないように大切にしてあげてね。


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