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犠牲祭(見)聞録

8月11日〜12日は第2イード(Eid ul Adha)というイスラムの祭日でした。

アブラハムがイシュマエルを犠牲として捧げたことを祝う祝日で、日本語では犠牲祭とも呼ばれています。動物を1頭生贄として捧げ祝います。

おそらく中東、北アフリカなどではヤギやヒツジを捧げるのがポピュラーなのかと想像しますが、インドネシアにいた頃も、またここダッカでも、牛の生贄を見ることが多いです。とは言えやはり牛の方が値段が高いので、近所にお金持ちが住んでいるせいなのかも。

イードの数日前から、夜中じゅうマイクで何かしゃべっている音がずーっとしていたのですが、どうも近所に生贄用牛、ヤギオークション会場があったようです。なぜ夜中なのでしょうか…。


バングラデシュで捧げられる牛たちは、遠くインドからやってきたりもします。インドはムスリムも多いとは言え、ヒンドゥー教では牛は聖なる生き物。国内では殺されず、歳をとった牛からバイヤーがだんだん北に売ってゆくそうです。

そしてバングラデシュ、ここがすごい!と思ったのが、結構自宅(の庭先など)で解体します。神聖な宗教的儀式とはわかっているものの、やっぱり怖い。絶対家から出られません (笑) 我が家の向かいの家でも行われていました。臓物とか普通に転がっています。考えてみれば動物を食べるということは、殺すことに他ならない、当たり前にしていることなのだけれど、普通に怖いです。

ちなみにマレーシアやシンガポールのムスリムの家庭では、生贄を購入して儀式はするけれど、解体は業者に任せるのが一般的とのこと。

解体してできた肉は、家族や親戚、ご近所や、使用人に分け振舞います。うちのヘルパーさんはクリスチャンなのですが、どこかご近所からお肉をもらっていました。皮は業者に引き取ってもらって売ります。故に毎年大量の牛革が生産されています。バングラデシュの牛革製品、とてもよいです。もしよしんばバングラデシュに来ることがあったら、ぜひ牛革製品を探してみてください。

ところで犠牲祭後の数週間はスーパーなどで牛肉を買わないようにと言われました。大量に出てきた牛肉。貧しい人たちに分け振る舞われるのですが、食べきれない分は売って現金にするそうです。なので鮮度に問題がありやなしやとか。

去年多分イード後にレストランで牛肉をいただいた時、どうも硬いし美味しくないということをウェイターさんに言ったのですが、彼が答えて曰く。これは生贄の牛ですから!生贄の牛はすごく怖がって、ストレスいっぱいで殺されるので、だいたいお肉は美味しくないんです!とのこと。満面の笑みでさらにディテールを教えてくれました (泣)

こうして書いておかないと、今見聞きしたことたちを忘れてしまいそうなので書いてみました。

もちろん宗教は違いますが、私にとってはとてもインパクトを感じる行事であり、祝日です。当たり前に命を頂いている全ての生き物に改めて感謝を。私たちの命や生活が何かの犠牲なしには立ち行かないこと。そして奪った命をひとかけらも無駄にしない人々の知恵。忘れないようにしたいです。



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Pirica

東南アジア〜南アジア近辺生息。現バングラデシュ在住。元エイドワーカー、現スケッチ魔。絵、夢、旅、星、政治、社会などについて書きます。
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