見出し画像

曇天

地元では大雨らしい。こちらは曇り空。敷き詰められた今日の雲は、週末までまだ1日残している人々の深いため息で作られている気がする。雨はまだ降らない。ため息のカタマリはただただ厚みを増していく。そこには、ため息に混じって吐き出したみんなの心の涙が溜まっている。そんなもの浴びたくないから、みんな色とりどりの傘を持つ。人がひしめくあの街は、何色の涙を流すのだろう。雨は神さまの涙なんかじゃない。れっきとした、僕らの涙だ。



曇り空の時ほど空を見上げたくなる。鉛色の切れ間から、白く淀んだ光が見え隠れする。切れ間を抜ければここじゃないどこかへ行ける気がして。でも僕じゃ届かない。ああ、そこに行ってみたい。ため息も届かないような場所へ。きっとこの世で一番広くて一番自由な場所なのだろう。蝋の翼で飛んだ昔の愚か者も、きっと自由を追い求めたのだ。涙が一滴、ほほを伝った。これは誰の涙だろう。早く帰ったほうがよさそうだ。



#ピロリ日記 #日記 #エッセイ #コラム #雑記 #毎日更新 #毎日投稿 #毎日note #生き方 #生きづらさ #ライフスタイル #ひとりごと #曇天 #雨 #涙 #ポエム

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?