週刊少年松山洋_タイトル_修正

知っておくべき業界商標事情の常識

“商標って何ですか?”

お昼ご飯の雑談の中で、新人スタッフからこのセリフが出てきたときに“ギクリ”としました。

恐る恐る新人スタッフに

“君はゲーム系の専門学校を出てるんだよね?学校でそういうことは習わなかったのかな?”

と聞いてみましたが、

“いえ、ゲームを作るための技術は学びましたが法律的なことは全然授業では無かったですね”

とのこと。

“法律?いや、確かに法律なんだけど”

って言いかけたところで止めました。

長くこの仕事をやっていると商標や特許に関する知識や下調べは我々にとってはある意味“常識的”な感覚でいましたが、現場にいる開発スタッフのひとりひとりが(新人に限らず)ちゃんと意識できているか?と言われるとなかなか自信がありません。(だからギクリとしたのです)

サイバーコネクトツー社内での“商標や特許”に関する勉強会は別途やるとして。(やることが決定しました)

今回はその“商標”に関するお話。

商標とは
商品や役務を提供される需要者が、商品や役務の提供者を認知するための文字、図形、記号、立体的形状、色彩、音などの標識。商品の商標はトレードマーク、役務の商標はサービスマークなどと称される。

こうして言葉で説明するとなかなか難しくなってしまいますが、要するに商品名やサービス名のことですね。

ゲーム業界だとゲームソフトのタイトル=商品名だったり、その作品のジャンル名だったりシステム名だったりもします。

商品名は言わずもがなですが、意外なところはジャンル名ですね。

例えば“サウンドノベル”はスパイク・チュンソフトの商標です。

『弟切草』で最初にサウンドノベルというジャンルが銘打たれましたがそれから10年後に商標登録されました。(なので現在では他社はビジュアルノベルと言ったりテキストアドベンチャーと言ったりしています)

商標が登録されると他社は勝手にその商標を使用することが出来ません。(知的財産権で保護されています)

ゲームタイトルなんかで似たようなタイトルを付けたりすることはわかりやすく(商標権に)引っかかるので、みんな新企画や新商品を出すときには事前に簡易調査を行って安全を確認した上で本格的な調査後に商標登録という流れになります。

ただ、ゲーム業界は本当に特殊でどの企業も【防衛的商標取得】という考え方がありまして。

“もし他社から訴えられた時にこっちも色んな商標を押さえておけば抑止力になるから取っておこう”

という考え方で各社様々な商標を取得しているのが現状です。

前述の“サウンドノベル”の商標をスパイク・チュンソフトが取得していることは誰から見ても納得だと思います。

同じくコナミが“ワールドサッカー”という商標を取得していることも納得できます。

コーエーの“三国志”も同じくです。

ところが、この“三国志”という商標はバンダイも持っています。

は?って思われるかもしれませんが事実です。

コーエーの“三国志”は【電子計算機用プログラム】で取得。

バンダイの“三国志”は【家庭用テレビゲームおもちゃ】で取得。

それぞれの取得区分が違うわけですね。

(皆までは言いませんが)コーエーは必然的にバンダイとは仲良くする理由が生まれるわけですね。

ちなみに、ちょっと調べればわかることですがバンダイはこの商標取得がかなり凄い(エグイ)です。

まずバンダイは“RPG”という商標も取得しています。(これで業界皆殺しにできます)

知っておくべき業界商標事情の常識

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