第77号『日米教育の違い!?ダチョウ拳VSハムスター拳』

“その通りですよ。教育や文化の違いです。彼らは【そのように】教わってきたのです”

コーディネーターの返事を聞いて私は一気に腑に落ちた。

そーだったのか。。。

失礼。

何が起きたのかを順を追って話そう。

『ダチョウ拳VSハムスター拳』のエピソードを。

私は今、モントリオールというカナダの街に来ている。1日の仕事を終えて夕食を食べてホテルに戻って就寝後やはり時差で目が覚めてしまい、ホテルのベッドの上でこの記事を書いている。

オタクソンというイベントがあってこのモントリオールというカナダの街に滞在中だ。

このイベントはモントリオール近郊のマンガ、アニメ、ゲーム好きのいわゆるオタクが集まる3日間のイベント。世界的に有名なイベントで例えるとコミコンが最も近いのかもしれない。

日本で例えるとコミケ+セミナーといった感じ。

個人によるイラストや同人誌即売会が実施されている中、隣のホールではプロの監督やアニメーターや漫画家そしてゲームクリエイターが教室でセミナーをやっているような感覚。というか、そういうイベントなのである。

今回はこのオタクソンというイベントでオファーをもらって『日本のゲーム会社についてのパネルセッションをやって欲しい』というリクエストを叶えるために登壇した。

会場には100人を超えるファンが集まっていた。素直に嬉しい。まだモントリオールにスタジオを作って1年ちょっとしか経過していない状態でこんなに集まってくれるとは。

今日はしっかり盛り上げてモントリオールのファンにもっとサイバーコネクトツーの事を好きになってもらわなきゃ!

そんな事を考えながらはりきってパネル(トークセッション)を開始した。

“日本のゲーム会社の話を”というリクエストだったので、もちろんサイバーコネクトツーの話をした。題するならば『サイバーコネクトツーのこれまでとこれから』。これまで何があって(現在までやってきて)これから何を考えているか?それを語るセッション。私の横に通訳のコーディネーターと、スライドを送る係のヤマノウチ(モントリオールのスタジオ長)がいる。

今を遡る事22年前の1996年。我々サイバーコネクトツーの前身にあたる“サイバーコネクト”がわずか10名でスタートしたところから物語が始まる。(詳しくは私の著書『熱狂する現場の作り方』を参照ください)

話は順当に進み『テイルコンチェルト』の開発から『サイレントボマー』の開発を経て、いよいよ『.hack』の開発に着手したという話をしたところで異変は起きた。

100人以上いる教室の中の1人(私の目の前!)が、いきなり高らかと手を挙げている。

私が話をしている途中で?どうした?なんだ?トイレ?に行きたい?なんだ?

一瞬度惑いながらも目の前の彼に“どうした?”って聞くと

“その時の前の社長がいなくなってから松山さんはスタッフになんて説明したんですか?”

と質問してきた。

そう、別にトイレでも緊急事態でもなく単純に質問だった。このタイミングで!?急に!?って思いつつも

“ああ、うん、それを今から説明するよ”

と伝えて説明を再開した。

が、その後もまた同じことが起きた。

『ナルト』の開発の話に差し掛かった時にやはりまたまっすぐと手が上がった。

手を挙げた本人は真っ直ぐに私の目を見ている。

話を一度やめて、“どうしました?”って尋ねると彼はこう答えた。

“その時、岸本斉史先生はどれくらいゲームの資料を確認されていたんですか?”

うん、全くさっきと同じだ。

“あーうん、それをこれから話すからもうちょっと待ってもらえるかな?つか、君もせっかちだな、あわてないあわてない”

って伝えるとそれなりにはウケる。

しかしその後も、『ジョジョ』の話に差し掛かると手が挙がる。完全に私が話をしている真っ最中に。“いや、だから、お前ら、いや、わかった、聞いてみよう、どーしましたか?”って聞くと

“松山社長は『第何部』が好きですか?”

さすがに“うん、ちょっと待って、なんなの?それ今いる?あとでいいよね?このあとちゃんと質疑応答の時間も取ってるからさ、その時でいいじゃん!なんでいちいち話の腰を折るの?もうちょい待ってよ!”って伝える。

そーすると素直に“オーケイ、わかった、了解だ”ってジェスチャーで返してくる。

けどね、全然、了解してないし、わかってない。その後も何度も何度も会場全体にいる参加者が私の話の腰を折るかのようにその都度質問をする為に手を挙げてくる。

“その後に荒木先生から指示はあったんですか?”

“その時の松山さんはどんな気持ちだったんですか?”

“『The World』を実際にオンラインゲームとして作る計画はありますか?”

“なんでいつも『それはバンダイナムコに聞いてください』って言うんですか?作ってるのはあなたでしょう?”

もう全然わかってないし話を聞いてない。

しかも手を挙げる全員が全員びっくりするほど腕が垂直に伸びている。しかも無言で。私がどんな話をしていても御構い無しにスッと静かに手が挙がる。二の腕が耳にぴったりくっついた状態で。

かつて『刃牙』に登場した象形拳で『トリケラトプス拳』という技がある。刃牙がピクルを相手に披露したトリケラトプスを象形した拳法だ。

それに習うと、この時の手を挙げる人たちの姿はまるで『ダチョウ』だ。雄々しく伸びるその腕はサバンナで首を伸ばすダチョウに見える。(私にはそう見えた)

まるで『ダチョウ拳』だ。

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週刊少年松山洋

家庭用ゲームソフト開発を行うゲーム会社・株式会社サイバーコネクトツー代表取締役・松山洋の継続課金マガジン。購読いただくとその月の記事は全て見れますが、前月までの記事は個別に購入いただく必要があります。なので早めに購読いただいた方が良いと思います。転載は禁止ですが記事のリンク...
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