見出し画像

備忘録シリーズ:2001年9.11アメリカ同時多発テロ


■9.11

僕にとって決して忘れられない日です。

いまXの株クラにいらっしゃる方は若い方も多いから2001年のこのテロが起きた時取引していない方がほとんどかと思います。

毎年9.11アメリカ同時多発テロと3.11東日本大震災の日にはいろいろ考えさせられます。

今回は備忘録シリーズとして僕のもう遠くなってきた記憶を少し辿ろうと思います。

■9.11かえるは何してた?

実は僕当時ロンドンで勤務していたので、日本で何が起きていたかについてはあまりしりません。主戦場は欧州マーケットと米国マーケット。

当日は夏休みでギリシャのクレタ島でバカンスを過ごしていました。

本当に美しい場所

ちょうど夕食前コテージの庭にいた時このニュースをBBCの速報で見ました。

まじ?

目の前で起きている事実がなかなか呑み込めなかったことを覚えています。

すると会社から連絡がはいり

上司:Sorry to bother you but it is emergency.
Would you mind if you can come to the office now? Where are you? 

かえる:Well….I am in Crete. 

上司:…What? Ok. But could you please come to the office asap? 

かえる:If it is emergency, sure, I will book the flight now and will be in the office in the afternoon tomorrow. Will let you know once I booked the flight.

上司:Thanks

翌朝家族ととりあえずクレタ島まで飛び、アテネでロンドン行きオリンピック航空の乗り換えた時事件が起きたのです。

実は場所柄アラブ系の方は少なくないのですが、アラブ系の方の名前が搭乗名簿にあったようです。もちろんテロには関係ないのですが、そんなタイミングですから空港関係者が非常にナーバスになっていたこともあり、かなり厳重なチェックをした様子。当然全く関係ないアラブ系とみられる搭乗者はフラストレーションをため搭乗と同時に機内で大騒ぎ。

何を叫んだかわかりませんが、知るとわらに怖そうなので周りにも聞きませんでした。

すると銃を持った警官が機内にやってきて大騒動

そんなことが起きてしまったため飛行機が離陸できず結局2時間遅れ。

ようやく昼過ぎにオフィスにつくとものすごい厳戒態勢でした。

上司と話をするとなんと当時勤めていたシティグループカナリーワーフオフィスの隣のカナダスクエアをターゲットに次のテロが行われるという犯行予告が入っているとのこと。

なんだよ、そんなに危ない状況でわざわざオフィスに呼ぶなよ

命より大切なものなんてオフィスにあるわけないし…

人生で初めてテロに狙われる恐怖を感じ、何となくいつも空を眺めている毎日が続きました…

■9.11と株式市場

NY市場の動き(2001年9月前後)

NY市場は9月12日から4営業日売買停止、債券市場も2日間取引停止。

日本市場はマーケットが開いていたものの12日は日経平均株価指数が6%以上下落し10000円を1984年以来初めて割りました。

あのテロ事件で露になったのが株式市場の脆弱性

株式市場は直接金融の中心として機能して当たり前なのですが、例えば市場をつかさどるデータセンターなどが何らかの事情で破壊されてしまったら機能停止に陥ります。

実際次のターゲットはNYSEだとも言われていました。

その後NYSEはデータセンターをニュージャージー州へ移動しています。

またNYSEではまだフロアートレーダーが1000人以上働いていましたが、今ではフロアートレーダーはいなくなりHFTがマーケットメイキングしています。

さらに仮にNYSEやNASDAQが取引停止したとしても、ATSやダークプールでの価格発見機能が担保されていて、統合テープもありますからすべての約定価格が正の価格として取引可能です。

つまり米国市場は9.11以降同じことが起きても価格発見機能を維持すべく対策が取られています。

それでも2012年10月ハリケーン『サンディー』上陸時に2日間株式市場は取引停止されました。その時NYSEが一部電子取引(NYSE ARCA)のみ取引を継続すると言ってしまったため市場が混乱したということも起きました。

対策を取っている米国市場でさえこんな状況です。

一方、当時日本市場はマーケットを開いたためグローバルの投資家にとっては価格発見機能が働く唯一ヘッジできる流動性が潤沢な市場でした。

それ故売りが売りを呼んでしまったかもしれませんが、それでもマーケットを開けた事は称賛に値します。

しかしもし直接的に日本市場に影響を与える事件が起きてしまったらどうでしょうか?

テロは可能性低いかもしれませんが、サイバーテロならば十分考えられます。

日本市場が外部要因で直接被害が出たことがないので、米国市場のような対策が十分に取られているとは思えません。

■東証取引停止の歴史

2020年10月1日システム問題で東証が終日取引停止になりました。

アローヘッド導入後2度目の停止(はじめは前場のみ停止)、1999年東証がシステム化されてからは4度目の取引停止(多分)

日経XTECHより抜粋

これら全てシステム問題です。

外的要因では一度も取引停止されていません。

2010年東証売買システムがアローヘッド(富士通)並行してから何度もバージョンアップされ2024年後半にも再度バージョンアップが予定されています。これは2020年に起きた問題を受けての対応と言われています。

高速化よりも復元力

とのことです。

もちろん東証の基幹システムが強くなることは重要ですが、それ以上に何か問題があった時の価格発見機能バックアップ体制がまだ完全に取られているとは思えません。

2020年は既に業界から去っていた時なので中にいて見たわけではないのですが、当時の状況を検証する学習院大学あたりの文献を読むと機関投資家はスルー何故なら取引証券会社がPTSだけに発注する術を持っていなかったとのこと(本当かな?)
多くが使っているSOR注文が東証主市場でその価格との比較で上手く機能しなかったとのこと。一方個人は積極的にPTSで売買できたとのこと。しかしPTSでマーケットメイクしているマーケットメイカー(HFT)はほとんど注文を出していなかった(意味ないじゃん)

のようです。

僕が具体的に検証した訳ではないのでなんとも言えませんが、一定の価格発見機能がPTSにあったとは言えますが、これが満足できるレベルかどうかは判断が分かれるところです。

何か問題が合って初めて対策を取るというのではなく非常事態が起きる前にその対策を取っておくというのがいわゆるBCP (Business Contingency Plan やBusiness Continuity Plan)だと思いますが、実際それは上手く行っていないような気がします。

確かに東日本大震災が起きた時僕香港にずっといて日本株の発注がルールに乗っ取って可能かどうかシステムも含めて調査に行ったなー

それに今では義務として毎年証券会社のBCPサイトでの動作確認を行わなくてはいけません。

以前

ベストな証券会社はベストなIT企業だ

と書きましたが確かにアルゴだとか執行が通常通りできる状況での執行体制はかなりの水準に達していますが、インフラも含めてとなるとまだまだゴールは遠いようです。

9.11を迎えて今年はそんなことを考えてしまいました。

今後、株の売却資金をあてにしていたのに取引所が取引停止だった時、是非ジャパンネクストやCBOEのPTS板を確認してください。

買い板さえあれば何とか現金化できます

普段PTS取引をしない方でもPTS発注の仕方は覚えておいた方が良いですね。

信用建玉のある方は…早くPTS信用をフル解禁して欲しいですね、取引時間外でも。

🐸


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?