表紙

ふーくん たーちゃん ちーくんとおんなの子

 山の上に 三匹のこぎつねがいました。
 ふーくんは お兄ちゃん。
 たーちゃんは お姉ちゃん。
 一番下の子は ちぃさな ちーくん 弟です。

 3匹はいつも ひとかたまりのだんごのようになって遊んでいました。
ちょっと見は、いつも だれがだれだか わからないくらいじゃれあっています。
 ある日いつものように三匹で すごいいきおいでからまりながら 遊んでいました。
でも、そこは坂道です。
 三匹 一緒にころころころと ころがりはじめました。
もう、これ以上ころがれないところまで ころがり落ちていきました。
 ふわふわの毛と ぷくぷくのからだで、ケガはなく だいじょうぶでした。
 ころがってきたのが たのしくて みんなで わらいました。
 一番 小さい ちーくんが さかさまのまま さかさまの目で へんなものが道の はしっこに 落ちているのをみつけました。なんだ、なんだと三匹があつまってみてみると、それは赤いランドセル。
 人間の子のランドセルでした。
「どれどれ」と、おとうさんのように言うと ふーくんがそれを かついでみました。
 だいぶ大きくてなんか変です。
 かついではみたものの、そこにランドセルをポイっとおきました。 たーちゃんが
「ふふふ」と笑うと、葉っぱをひろってランドセルにのせました。
 そして、「ふふふ、小さくなって しょえるようになあれ」と言いました。


 ランドセルは きゅっ と音をたてて小さくなりました。
 三匹は いっせいに わ~っ と、さわぎました。
 「ぴったりね」と、たーちゃんは言うと さっと小さくなったランドセルをせおいました。
 おとこのこふたりは しげしげとそのようすを見ました。
「たーちゃん、かわいいなぁ」と、ちーくんが言うと
 ふーくんは「ちょっと、かわいいなぁ」と言いました。
「つぎは、ぼくだよ」と ふーくん。
 そのつぎはちーくんが せおいました。
 かわりばんこに しょっているうちに、これで ふもとの がっこうに行ってみることにしました。
 三匹があるいていくと、みちばたで ないている おんなの子が いました。
「どうしたの」と ふーくんが聞くと、
「ランドセルが なくなったの」
 三匹は顔を みあわせました。
 たーちゃんは、ちーくんがしょっているランドセルを チラッとみました。
「これかなぁ」と ちーくん。
「ちがう、そんな小さいのと ちがう」
 いやいやをしながら おんな子は言いました。
「ちょっとまってて」
 たーちゃんはそう言うと、ちーくんのせなかの赤いランドセルに
「もとにもどれ」
 ランドセルはどんどん大きくなり、ちーくんは すとんと  しりもちをつきました。

「あーっ」
 おんなの子は びっくりしてそれを見ていました。
「かえすね、これね、むこうのむこうの方にあったんだよ」
 ふーくんが せつめいしました。
「たんぽぽの お花をつもうとして、はじっこに おいたのよ」
 と おんなの子は言いました。
 つづけて「もってきてくれて どうもありがとう」って言いました。
 おんなのこは ランドセルをせおうと
「バイバイ」って手をふりました。
 ふーくん、たーちゃん、ちーくんもまねしてバイバイって手をふりました。
 三匹はランドセルが しょえて とってもうれしかったので 早くきつねのおかあさんに話そうと かえりは かけっこをしました。

 おんなの子も 家にかえりました。
 宿題をしようと ランドセルをあけて、ノートをみるとノートには、ちいさな手のあとがついていました。 

「ふふふ」と、おんなの子は たーちゃんのまねをして わらいました。

その夜、おんなの子は きつね三匹と空を飛ぶ夢をみました。

こんど、あったら きつねさんたちにその話をしようとおもいました。

4コマ漫画「妖精のタミー」も、もし良かったら見てくださーい🌹
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「ゴブリンにさらわれた子」もよろしくです📖

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