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鎌倉投信と『結いだより』 前編 #月次レポート研究所のポッドキャスト テキスト版

このポッドキャストのテキスト版です。


renny:今月は鎌倉投信さんの月次レポート「結いだより」を中心にお話ししていきます。鎌倉投信さんといいますと、吉田さんの結婚のきっかけだったというお話がこのポットキャストで何度も出てきていますが、それ以前に鎌倉投信さんを知るきっかけはどういうものだったのでしょうか?

吉田:私は設定当初からは投資していなくて、たぶんrennyさんのブログだったと思うのですが、株主総会みたいなことやる投資信託があるのか!と興味を持ったのが、が最初のきっかけでした。

renny:受益者総会ですね。それっていつ頃のことかって覚えてらっしゃいます?

吉田:たぶん第1回の受益者総会です。

renny:2010年の7月ですかね。

吉田:そうですね。当時はNPOの日本サステナブル投資フォーラムに関わり始めた時期で、以前は社会的責任投資フォーラムという名称でしたが、このNPOが公募投資信託で社会的責任投資をテーマにしている投資信託をピックアップして、投資残高の集計をしてたんです。その選ばれたファンドの情報開示が全然ダメで(今のESG投信もほとんど同じ状況ですが)、なんじゃこりゃ?というファンドばかりだったんです。そんな時に鎌倉投信を知って中身を見てみたら、これは本物だぞ!と興味を持ったのがきっかけですね。

renny:なるほど。それですぐに鎌倉投信のイベントに参加して話をお聞きになったりしたわけですか。

吉田:いや。自分は個別株の投資家なので、実際に投資するところまでの興味はなくて。1年後ぐらいかな、2011年の夏ぐらいに鎌田さんの本が発売されたんです。「外資系金融では出会えなかった日本でいちばん投資したい会社」。あのなかで坂本光司先生の「日本でいちばん大切にしたい会社」が創業の原点にある、というようなことが書かれていて、私もお金儲けだけの投資から考え直すきっかけの本だったので、考え方が一緒なんだ!それなら投資してみよう!と鎌倉本社で開催のセミナーに参加することにしたんです。

renny:なるほど

吉田:それで1回目の訪問から、投資に興味がある人を連れて行くことをはじめたんです。その時代はまだNISAもiDeCoもなくて、今より投資に対するイメージは良くなくて。

renny:ですよね。もう投資と聞くとギャンブルだとか、株式投資をしない方がいいとか、今でもいらっしゃるかもしんないすけど。

吉田:なんかちょっと怖いイメージがあるから、投資をはじめてみたい人が、金融機関の少人数セミナーに参加するのは、精神的なハードルが高かった時代だったと思うんです。

renny:変なものを売りつけられるんじゃないかみたいな、ところもありましたよね。

吉田:鎌倉投信自体が名前を知られていなかった時期ですしね。だから初心者を引率して、ついてってあげることにしたんです。私自身は1回目に伺った時に口座開設の書類を持って行って、投資を始めたんだったと思います。そんな感じで引率ツアーみたいなことを2011年からはじめて、2014年7月に連れて行ったのが付き合う前の妻で、それがきっかけで気が合うことが分かって、1年後に結婚してしまうという事件が起きたのです。(※補足…ちょうど妻を連れて行ったときのことをブログに書いていて、ずいぶん楽しんでいたことが分かる↓)

renny:そのツアーは何回か催されたわけですか。

吉田:5回ぐらいは行ったのかな。NGO方とか監査法人の方とか。まだESG投資が注目されていなかったけど、この分野が流行りそうな気がしていたので、本業が関連しそうな人にこの投信で勉強すれば、この先、仕事でも役に立つと思うよ、みたいな感じで。話を聞きに行きたいっていう人に付いていった感じですね。

renny:なるほどね。そのツアーの延長線上に奥様との出会いがあったっていうことなんですね。

吉田:そうですね。妻を連れて行った1年後ぐらいに、当時のファンドマネージャーの新井さんが、NHKのプロフェッショナルの流儀に出たりして、鎌倉投信の名前が割と知られるようになったので、そこから先はもう付き添いなしで行ってねと。

renny:なるほどね。ボランタリーな営業支援をされていたんですね。同行者の方で最終的に鎌倉投信とお付き合いされてる方は、どれぐらいの割合だったんですか?

吉田:ほぼ100%じゃないかな。

renny:すごい営業マン。連れて行かれた方がほぼ100%はじめられたということで、鎌倉投信の考え方や哲学がみなさんストンと入ってくるような感じだったんですか?

吉田:当時は金儲けしか頭にない人たちが投資家、みたいなイメージもあったと思うんです。でも鎌倉投信に連れて行くと、株式投資と社会との繋がりとかを理解してもらえるところがあって、もうちょっと投資を身近に感じるようになるっていうところはあったと思います。

renny:そうですね。それは確かにありますし、説明も株価の話というよりは、実際に投資先の事業の内容や、事業の原点がどこにあるのかを投資家の人たちに伝えよう、って姿勢を強く感じますし、そういう意味では株価が上がった下がった、儲かった損した、っていうようなところとは一線を画してるな、っていうのは、会社ができた当初、ファンドが設定された当初から変わってないのかなというふうには思いますね。

吉田:ちなみにrennyさんは「結い2101」の オリジナルメンバー、設定当初からの受益者ですが、何をきっかけにそこにたどり着いたのですか?

renny:鎌倉投信社長の鎌田さんとどれぐらい前からやりとりしていたかなとメールで調べてみたんですけれども、2009年のお正月、リーマンショックの直後というか金融危機の真っ只中に鎌田さんから年賀状を頂戴していました。そのきっかけはたぶん2008年、ある投信会社さんのイベントで鎌田さんをご紹介いただいて、鎌田さんが直販の投信会社を検討されているということで、名刺交換させていただいたんですかね。それで年賀状を頂戴して、そこからやり取りが始まって、いつ頃だったか正確に覚えてないんですけど、会社ができてファンドの準備されている間に、ファンド名の募集をされていたことがあって、僕も応募したんです。そのときから考え方の一つで三つの「わ」が示されていたんですよ。話す「わ」であり、平和の「わ」と、輪っかの「わ」ですかね。そういう話を受けて、フランス語で「トロワ」から名称は「トロワ長期投資ファンド」で、愛称は「段葛」で応募したんですよ。その当時はまだ鎌倉には行ったことがない人間だったんです。金融庁のいろいろな手続きが終わった頃に、一度鎌倉に来ませんかとお誘いいただいて、そのときに鎌田さんと新井さんにお目にかかって、お話をいろいろお聞きしたのかな。それがブログに最初に書いたものです。

renny:その後ファンドの設定が発表されて、口座開設の受付が始まったところで、書類を持って鎌倉にお邪魔して口座開設の申し込みをしてきたっていうのが2回目だったのかな。3回目に鎌倉行ったのが、たぶん2010年7月の受益者総会。当時テレビ取材が入っていて、実は僕、インタビューに答えているんですよ。僕の勤務先の上司がたまたま見ていて、お前なんであんなとこにいるんだ?と言われた記憶があります。というのが僕の馴れ初めです。もう一つ、勝手に縁を感じてたのが、僕の次男が3月29日生まれで、鎌倉投信が設定されたのも3月29日。奇しくも同じ誕生日だったのです。

吉田:なるほど。準備の段階から鎌田さんがいろいろ動いていて、個人投資家のみなさんと接点があったのですね。

renny:そうですね。たぶん金融庁とのやり取りも結構大変だったんじゃないかな。直販の投信会社さんは会社自身の純資産がいくら以上ないとダメ、というような縛りがあって、当然その最初は赤字が続くので、そのラインを切りそうになったら、増資につぐ増資で、他の直販の投信会社さんも苦労されていたと記憶しています。今は鎌倉投信も黒字で、そこからは脱却されたのだと思いますが、ある程度の規模に達するまでは大変な思いをされたんだろうなと。

吉田:そうですよね。私も「結い2101」の純資産の規模に対する信託報酬の額を計算してみたら、これじゃ経営回らないよねと気付いて、こういう会社がなくなっちゃいけないから、とにかく自分も投資しようって想いもありました。

renny:そうですよね。だからそういう面はすごくありましたし、ただ他の投資信託ではないような体験をすることができるというか、最終的にはお金を増やすことにも帰着するんだと思います。でも、そこばかりに注意を向けるのは違うんじゃないかということは、たとえば今、手元に第1回の受益者総会で配られた冊子があって、ここにも書かれているんですね。今年の初めに鎌倉本社で久し振りに受益者を集めてのイベントが開催されて、そのときに配られた資料の一つがこれだったんです。ここに「投資とは株価を追うものではありません」とはっきり書いてあるんですよ。2010年当時にこれをもらって、おそらく読んでたと思うんですが、記憶にすごくグサッと残っていれば、この冊子をちゃんと保管していたはずですが、どこかにいってしまったんです。だからオリジナルメンバーとして受益者総会に参加させていただいていても、正直ピンときてなかったんじゃないかなと。ここは僕自身が鎌倉投信を通じて変わっていった部分じゃないかな。こういう体験というか鎌倉投信とのお付き合いで得た経験がなかったら、投資家として全然違うことをしていたかもしれない。ポートフォリオも全然違うものになっている可能性の方が高いんじゃないかなと思います。吉田さんは鎌倉投信とのお付き合いをされていく過程で、投資のやり方とか、考え方に変化はありましたか?

吉田:変化と言えば、自分というより、なんだか鎌田さんがだんだんお坊さんのようになっていったイメージがあって。何度か訪問しているうちに、鎌倉のお寺の住職にお話を伺いに行くような心づもりになっていったような。

renny:確かにそうですね。お坊さんの法話みたいなところはありますね。

吉田:投資を続けていくと、禅に通ずるような部分が大事なことがわかってくるところがあって。周りに振り回されないで自分の軸を持って考えるとか、禅の教えや修行に似ているところがあって、投資に通じるところがあるんじゃないかなと。だから鎌倉投信のセミナーのアンケートとかには、鎌倉のお寺の坊さんと対談してくださいって書いたりしているんです。

renny:そうですね。受益者総会の2回目から初期の頃は建長寺でやってたんですよね。お坊さんとの話っをやっていただくと面白いかもしれないですよね。

吉田:鎌倉だと今、円覚寺がYouTubeにかなり力を入れていて、トップのお坊さんが毎日話を配信していたりするので、円覚寺ならお願いしやすいかも。

renny:そろそろ月次レポートの「結いだより」についてお話を進めていきたいと思うんですけれども、吉田さん、どれぐらい読まれていますか?

吉田:だいたい毎月読んでます。

renny:今月号は156回目の月次レポートで、今回は新しく投資を始めた竹内製作所が詳しく紹介されています。過去をさかのぼると何度かデザインがリニューアルされていて、直近では2022年9月の150号から表紙がイラストに変更されています。それ以前は表紙が鎌倉の風景を写した写真でした。また134号までは縦書きと横書きが混在していたり、時間の経過とともにいろいろ工夫されてきた様子が分かります。

吉田:150号以降の変化は、デザインができる社員が加わったからかもしれないですね。

renny:たしかにこのリニューアルは、ユーザー寄りというか、そういうところに注意を向けていらっしゃるのかなという印象はありますよね。またPDFファイルの「結いだより」と連動して、Webサイトの「結い日和」でほぼ同じようなコンテンツを配信していて、Webの方は文字数の制約がないので、情報量を多く、濃い目のものを出しているなって印象を受けますね。たとえば今、153号2022年12月に出されたものを見ていますが、 オイシックス・ラ・大地の食品ロス問題の解決に向けて、という部分のレイアウトを見ると、昔の「結いだより」よりも洗練されたイメージがありますね。

後編に続く

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