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Gartner予測から見るVRの未来

弊社、株式会社ぴやまるは2019年4月1日で3周年を迎えました。


会社を立ち上げた2016年は、VR元年と呼ばれ、VRハードウェアが次々と発表され、これからVRが一般市場に浸透し爆発的に普及し始めると期待された年でもありました。この3年間、VRを利活用したサービスや新しい製品が発表されるものの、まだまだ一般には普及しているとは言えません。

では、グローバル市場ではどのような見方がされているのでしょうか?
2018年8月に米国の調査会社ガートナーが、「先進テクノロジーのハイプ・サイクル:2018年」を発表しています。その中で今後5~10年において競争優位性をもたらす可能性がある高度なテクノロジーについて分析しています。


出典:Gartner Identifies Five Emerging Technology Trends That Will Blur the Lines Between Human and Machine
https://www.gartner.com/en/newsroom/press-releases/2018-08-20-gartner-identifies-five-emerging-technology-trends-that-will-blur-the-lines-between-human-and-machine

これからさらに下降すると予測されていたARは、今後は幻滅期を脱して啓蒙活動期へと入り、5~10年の期間をかけて一般へと普及すると予測されています。

MRは昨年の調査で明示されていませんでしたが、幻滅期に入ろうとしているという予測です。

一方VRは2018年版には表れていません。啓蒙活動期を経て、一般への普及段階に入ったと考えられます。VRコンテンツは一般向けのエンタテイメントが充実し始め、ビジネスや医療、教育分野など用途にも利活用が期待されています。


2019年は、VRが普及期に入り、AR/MRはまだまだ世の中に認知されないものの、グローバルのプレーヤーは、これからの5~10年後に備えて虎視眈々と技術開発を行っていくのでしょう。

何年も噂と推測、またはライバルからの批判の的となっていたMagic Leap社も、ようやくデベロッパーおよび消費者向けにヘッドセットの出荷を始めました。賛否両論はあるものの、潜在的な可能性を秘めておりその脅威さえ感じます。

では、2019年のテクノロジートレンドはどうなるのでしょうか。またまた、ガートナーの予測を見てみましょう。ガートナーが2019年の戦略的技術トレンドのトップ10を発表しています。

出典:Gartner Top 10 Strategic Technology Trends for 2019
https://www.gartner.com/smarterwithgartner/gartner-top-10-strategic-technology-trends-for-2019/

Gartnerによると、2019年の技術トレンドは、『インテリジェント』『デジタル』『メッシュ』のそれぞれの分野のトレンド間の融合や重複や相互作用が、産業の破壊や恒久的なイノベーションの促進を生むとしています。


この3つの分野の中に「自律的なモノ」「拡張アナリティクス」「AI(人工知能)主導の開発」「デジタル・ツイン」「エッジ機能の拡張」「イマーシブ・エクスペリエンス」「ブロックチェーン」「スマート・スペース」「デジタル倫理とプライバシー」「量子コンピューティング」が挙げられています。

1.自律的なモノ
自動走行の自動車や、ロボット、スマートスピーカ/スクリーン、ドローン、自律型船舶などを指し、自律の領域に沿って、人が手助けする機能から、部分的な自律化、条件付きの高度な自律化、そして最終的には完全自律化へと移行します。完全自動化への道のりは法的な課題も含めて課題がたくさんあるものの、次世代への鍵となることは間違いないでしょう。

2.拡張アナリティクス
拡張インテリジェンスの特定領域に焦点を当て、機械学習を使用して アナリティクスの対象となるコンテンツの開発/利用/共有が最適化していくでしょう。


3.AI主導の開発
高度なレベルの抽象化では、開発者がデータサイエンティストを必要とすることなくAI強化型のシステムを構築するのが容易になります。

4.デジタルツイン
デジタルツインとは、現実世界の物事をデジタルで表現することを意味します。近い将来、デジタルツインは「モノ」を越えて組織や都市、そして人さえも網羅するようになるでしょう。

5.エッジ機能の拡張
デジタル世界が物理世界と出会う場面では、エッジの強化が欠かせません。あらゆるモノがネットにつながるIoT時代の到来は「超ビッグデータ社会」の到来とも言い換えられます。私たちの生活は膨大なデータのやり取りと切り離せなくなります。超データ社会で注目を集めるのが「エッジコンピューティング」の技術です。膨大なデータをいちいちクラウドに集約していたのでは到底追いつきません。ネットにつながる機能を備えた「コネクテッドデバイス」のデータ処理の大半はクラウドで実行されていますが、サーバーとのデータのやり取りには時間がかかります。「エッジ(端)」で機器の内部またはごく近くでデータを処理することが重要になるでしょう。

6.イマーシブ(没入型)エクスペリエンス
Gartnerの予想では、没入型エクスペリエンスは単なる仮想現実にとどまらず、私たちがデジタル環境をどうコントロールし、デジタル環境をどう見るかという問題でもあります。没入型エクスペリエンスを作り出すのは音声だけではなく、全ての感覚を使い、相互作用するコンピュータに囲まれた世界の中で、没入型の周辺ユーザーエクスペリエンスを提供されます。

7.ブロックチェーン
共有型でトークン化されてデジタル化された資産の記録は、分散されて取引記録は改ざんが不可能で、追跡することができます。これは一種のコンセンサスの仕組みであり、単一の権威が存在しない世界が訪れます。

8.スマートスペース
スマートスペースとは、人が住み、インターネットで接続されたインテリジェントな自律型の技術を活用した物理あるいはデジタル環境を指します。IoTやブロックチェーン、AI、デジタルツインの助けを借りて、スマートシティーは成熟し、発展していくでしょう。

9.デジタル倫理とプライバシー
何十億台ものエンドポイントが情報を収集するようになった今(インテリジェントエッジがそれを拡大させている)、データ利用に関するプライバシーとコンプライアンス、倫理に対して注意を払うことは一層不可欠になります。

10. 量子コンピューティング
量子コンピューティングが成熟して主流の技術となるまでの道のりはまだ遠いですが、ほぼ全ての業界に破壊的な影響力をもたらす可能性があります。

これからのガートナーの予測を基にこれからの10年に起こりえるxRの世界を考えると、AI駆動型の自立式デジタル拡張現実世界というのがにじみ出てきます。xRの技術はxR単体の技術開発にとどまらず、ガートナーの戦略的テクノロジー群に支えられ今後爆発的に加速し、今後10年では必ず普及期に入っていることでしょう。

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