おれがサラリーマンをやって来れたのは運が良かったから part.4

できる営業マンは上司からなにも言われなくても勝手に数字や契約を持って帰る。

行き詰まったら上司に相談やアドバイスを求め、成功を積み重ね成長していく。

できないヤツは常に上司のプレッシャーに晒される。

自力で営業ができないから上司にああしろ、こうしろと指示を受け、毎日その日の出来を報告させられる・・・

後者は地獄だ。

営業なんて現場で状況や人によってやり方が変わるのだから、指示通りなんて出来るはずがない。

まして、ウチは純粋な営業会社ではなくルートセールスなので、日々の業務だけでもまあまあ忙しい。
営業する時間を作れない一日もある。

上からのプレッシャーをかけられ、なにくそという根性で成績が伸びていく人もいるにはいるが、やってもやっても伸びないやつは伸びない。
勉強と一緒だ。

若くして出世した年下の上司に毎日のように口うるさくなにか言われている社歴10年の先輩がいて、その先輩は律儀にその日の行動を報告している。
が、その先輩からなにか成果が上がってくることはほとんどない・・・

その若くして出世した上司は新卒でこの会社に入って出世できる最短の期間で出世したスーパーエリートで、期待のホープだが、いつまで経ってもうだつの上がらない社歴が10年の先輩を見下している節があり、接し方がかなりキツイ。

おれが先輩なら10秒で辞めてる。

一方おれの上司は社歴がかなり長いベテランで、真面目にコツコツ基本に忠実なタイプだが、営業成績があまりよろしくないのでそれ以上の出世は見込めないであろうお人だ。

日常のタスクや事務処理などの指導は細かくて口うるさいが、営業のアドバイスはフワッとしていて、相談事をしてもあまり要領を得た応えが返って来ないし、放任主義なのである程度の数字を取ってくればあまり絡んでることはない。

若くて仕事ができて向上心で燃えたぎっている期待のホープの下についてたらおれは多分速攻で潰されていたので、結果的におれが2年半会社を続けてこれたのはこの上司のお陰というのが一つの要因だ。

そしてさらに運がいいことに、1年目ほどではないにしろ2年目も引き続き、大した努力や苦労もなくおれはそこそこの営業成績を収めることができた。

新しく自分の担当エリアにできた店舗の系列店が始めからウチの商品を使っていたり、なにも営業しなくても問い合わせで契約がとれたり、たまたま営業に行った場所が初めからウチに興味を持っていたり・・・

おれは飛び込み営業なんか数多くやりたくもないから、楽に契約がとれそうなとこだけに標的を絞ってお茶を濁すような営業を繰り返した。

営業は断られるのが当たり前で、最初のうちはたくさん営業してたくさん断られていくうちに要領を覚えるしかないという千本ノックみたいな世界観らしい。

そもそも人と話すのもそんなに好きじゃないのに、初対面やあんまり顔馴染みのない人の居る場所に押しかけてあしらわれるのを繰り返すなんておれに出来るわけがない。

こんなのナンパや宗教勧誘と一緒じゃないか・・・

というより、それが上手く出来るやつに敬意の念すら覚える。。。

でもこの会社に所属する以上はそれをやるしかない。

だからおれは知らない人にあしらわれてメンタルがやられないように、元々仲のいいお客さんや徐々に打ち解けたお客さんの仲のいい人を紹介してもらったり、知恵を振り絞ってなんとか数字を残した。

チーム編成も変わらず、おれはお茶を濁せる上司の下に居た。

おれは不安だった。

こんなにラッキーがずっと続くわけないし、楽に契約が取れるようなところも数が限られている。
楽な道ばかり選び続けているから営業のスキルも大して上がってないし、仕事に対する熱も上がっていくどころか腐り続けていく・・・

2年目はなんとかやり過ごせても、3年目に地獄を見るだろうな、、、