板状態の考察1 (bF 板の厚さ)
本Noteでは、bitFlyer LightningでBTC-FX/JPYを対象にBotを稼動させている方向けにワイなりの「板状態」の観察結果を共有します。新型コロナウィルスの感染爆発重大局面で外出を自粛されている方の暇つぶしになれば幸いです。
先に結論を申し上げますと、板の状態に部分的な特徴があってもワイにはそれをパターン分け・一般化することができていないため、
・板の状態から価格変動の方向を予測する事はできていません。
・板状態にあるエッジを収益化する事はできていません。
価格変動の予測やすぐに収益化できるエッジを期待している方は読む時間の無駄になります。
「単一取引所の板の状態を見て高頻度売買を行うBotで収益を得ることはかなり難しい」というが現時点のワイが出している結論です。
※高頻度ではないBotでは板情報を利用すべき場面があると思います。
※別取引所の板の状態を利用するロジックは有りだと思います。
※裁量では板情報が重要だと考えており、自作の裁量ツールでは板の状態を利用しています。
1.板状態の観察方法
1-1.観察対象データ
ワイのBotは取引所のデータ採取と注文処理を兼ねています。取得しているデータの1つに bitFlyer FXBTCJPY の板情報のスナップショット ( HTTP Public API の /v1/board ) があります。
このデータを元に、スナップショット取得時点の Ticker LTP価格から一定値幅までの板の厚さを集計したものを観察対象とします。(価格帯別の板の厚さ、取引所別の板の厚さは本Noteの対象外とします)
値幅の区間は、BestAsk/Bid、1,000円、3,000円、5,000円、10,000円、20,000円、30,000円、50,000円、100,000円、150,000円、200,000円とします。
1-2.観察期間
2020年に入ってからの上げトレ中、SFD中、下げトレ中の下記6日をピックアップします。
①2020/01/14 (FXBTCJPY 90万→97.5万)
②2020/02/05 (FXBTCJPY 102万→108万)
③2020/02/24 (FXBTCJPY 117万→113万、SFD中)
④2020/03/12 (FXBTCJPY 85万→58万)
⑤2020/03/13 (FXBTCJPY 64万→38万→67万)
⑥2020/03/28 (FXBTCJPY 72万→65万)
1-3.グラフの見方
売買出来高、価格、板の厚さの3グラフを基本とし、一部の時期は乖離率のグラフを加えています。
1-4.注意事項
bitFlyerのHTTP Public APIをワイのBotが稼動する環境で取得したデータなので、弊インフラと弊Botに依存する通信・処理遅延が含まれます。よって貴環境での測定結果と異なる場合があります。
2.板状態
まずは上記①~⑥の期間の板状態のグラフを提示します。大量にあるので好きな方はじっくり御覧ください。見るのが面倒くさい方はすっ飛ばしてください。(画像をクリックした後、キーボードの左右で移動すると見やすいかも)
2-1.2020/01/14 (FXBTCJPY 90万→97.5万)
(※2020/01/14はBestAsk/Bidを記録していなかったのでデータ無し)
LTP±1,000円幅のAsk/BidSizeと出来高、価格
(a)価格変動が大きい時間帯はLTPに近い価格帯の板が薄くなっているが、出来高によって板が食われた結果であり、板が薄いから価格が動くわけではない。この時間帯は価格の振幅が大きいという事は言えそう。
LTP±3,000円幅のAsk/BidSizeと出来高、価格
(b)2020/01/14 8時過ぎ&14時過ぎの買板は特徴的?
LTP±5,000円幅のAsk/BidSizeと出来高、価格
LTP±10,000円幅のAsk/BidSizeと出来高、価格
LTP±20,000円幅のAsk/BidSizeと出来高、価格
LTP±30,000円幅のAsk/BidSizeと出来高、価格
LTP±50,000円幅のAsk/BidSizeと出来高、価格
LTP±100,000円幅のAsk/BidSizeと出来高、価格
(c)10時の売板増加はどういう意味があるのだろう?
LTP±150,000円幅のAsk/BidSizeと出来高、価格
LTP±200,000円幅のAsk/BidSizeと出来高、価格
2-2.2020/02/05 (FXBTCJPY 102万→108万)
BestAsk/BidSizeと出来高、価格
LTP±1,000円幅のAsk/BidSizeと出来高、価格
LTP±3,000円幅のAsk/BidSizeと出来高、価格
(d).15時過ぎの買板は特徴的?
LTP±5,000円幅のAsk/BidSizeと出来高、価格
LTP±10,000円幅のAsk/BidSizeと出来高、価格
LTP±20,000円幅のAsk/BidSizeと出来高、価格
LTP±30,000円幅のAsk/BidSizeと出来高、価格
LTP±50,000円幅のAsk/BidSizeと出来高、価格
LTP±100,000円幅のAsk/BidSizeと出来高、価格
(e)20時の売板は何の意味があるのだろう?1/14の価格変動時もLTP+10万の位置に出現した。
LTP±150,000円幅のAsk/BidSizeと出来高、価格
LTP±200,000円幅のAsk/BidSizeと出来高、価格
2-3.2020/02/24 (FXBTCJPY 117万→113万、SFD中)
BestAsk/BidSizeと出来高、価格
(f)SFD中はLTP±1円にSFD板が出現するので平時とはゲームルールが異なる
LTP±1,000円幅のAsk/BidSizeと出来高、価格
LTP±3,000円幅のAsk/BidSizeと出来高、価格
LTP±5,000円幅のAsk/BidSizeと出来高、価格
LTP±10,000円幅のAsk/BidSizeと出来高、価格
LTP±20,000円幅のAsk/BidSizeと出来高、価格
LTP±30,000円幅のAsk/BidSizeと出来高、価格
LTP±50,000円幅のAsk/BidSizeと出来高、価格
LTP±100,000円幅のAsk/BidSizeと出来高、価格
LTP±150,000円幅のAsk/BidSizeと出来高、価格
LTP±200,000円幅のAsk/BidSizeと出来高、価格
2-4.2020/03/12 (FXBTCJPY 85万→58万)
BestAsk/BidSizeと出来高、価格
(g)CB中・前後もゲームルールが異なる
LTP±1,000円幅のAsk/BidSizeと出来高、価格
LTP±3,000円幅のAsk/BidSizeと出来高、価格
LTP±5,000円幅のAsk/BidSizeと出来高、価格
LTP±10,000円幅のAsk/BidSizeと出来高、価格
LTP±20,000円幅のAsk/BidSizeと出来高、価格
(h)LTP±2万幅までは、CB前よりも板が薄い
LTP±30,000円幅のAsk/BidSizeと出来高、価格
LTP±50,000円幅のAsk/BidSizeと出来高、価格
LTP±100,000円幅のAsk/BidSizeと出来高、価格
(i)±10万幅の範囲は、CB前よりも板が厚い
LTP±150,000円幅のAsk/BidSizeと出来高、価格
LTP±200,000円幅のAsk/BidSizeと出来高、価格
2-5.2020/03/13 (FXBTCJPY 64万→38万→67万)
BestAsk/BidSizeと出来高、価格
LTP±1,000円幅のAsk/BidSizeと出来高、価格
LTP±3,000円幅のAsk/BidSizeと出来高、価格
LTP±5,000円幅のAsk/BidSizeと出来高、価格
LTP±10,000円幅のAsk/BidSizeと出来高、価格
LTP±20,000円幅のAsk/BidSizeと出来高、価格
LTP±30,000円幅のAsk/BidSizeと出来高、価格
LTP±50,000円幅のAsk/BidSizeと出来高、価格
LTP±100,000円幅のAsk/BidSizeと出来高、価格
LTP±150,000円幅のAsk/BidSizeと出来高、価格
LTP±200,000円幅のAsk/BidSizeと出来高、価格
2-6.2020/03/28 (FXBTCJPY 72万→65万)
BestAsk/BidSizeと出来高、価格
LTP±1,000円幅のAsk/BidSizeと出来高、価格
LTP±3,000円幅のAsk/BidSizeと出来高、価格
(j)12時~15時の買板は特徴的?
LTP±5,000円幅のAsk/BidSizeと出来高、価格
LTP±10,000円幅のAsk/BidSizeと出来高、価格
LTP±20,000円幅のAsk/BidSizeと出来高、価格
LTP±30,000円幅のAsk/BidSizeと出来高、価格
LTP±50,000円幅のAsk/BidSizeと出来高、価格
LTP±100,000円幅のAsk/BidSizeと出来高、価格
LTP±150,000円幅のAsk/BidSizeと出来高、価格
LTP±200,000円幅のAsk/BidSizeと出来高、価格
3.板の厚さの比較1(1日の時系列)
板状態の比較は、1,000円、3,000円、5000円、10,000円の値幅で行います。
3-1.2020/01/14と2020/02/05
3-2.2020/01/14と2020/02/24
3-3.2020/01/14と2020/03/12
3-3.2020/01/14と2020/03/13
3-4.2020/01/14と2020/03/28
1月の上げトレ、2月のSFD、3月のCD下げ相場では板の状態がかなり異なります。
もしこの板の状態を見て、これに対応するチャートが予測できれば、収益化の道が開けるのかもしれません。
4.板の厚さの比較2(1日の平均値)
メンテ中も価格変動が大きい・小さい時間帯も含めて1日の平均値を算出してみます。(この平均値に意味があるかはかなり微妙です)
4-1.BestAsk/BidSizeの変化
4-2.LTP±1,000の変化
4-3.LTP±3,000の変化
4-4.LTP±5,000の変化
4-5.LPT±10,000の変化
4-6.全価格帯の板の厚さの平均値の表
SFDによるユーザー離れ、3/12-13の暴落による退場等で、1-2月に比べ板は薄くなっている傾向があると言えそうです。ロジックによりますがBotを稼動させるにあたり同じLot、同じ値幅では異なる成績になるかもしれません。
4.まとめ
板の状態には、
A.平時(出来高、価格変動が小さい状態)
B.戦時(出来高、価格変動が大きい状態)
C.SFD(ゲームルールが異なる状態)
D.メンテ明け板寄せ(ゲームルールが異なる状態)
E.Circuit Break板寄せ(ゲームルールが異なる状態)
等のパターンがあると言えます。そして、それぞれの状態をBotで自動的に判別する事は難しい。
また、板には
・裁量ユーザーが出す約定を期待する板
・裁量ユーザー出す約定を期待しない見せ板
・高頻度売買Botが出すMM板
・事故を期待する遠距離板
・取引所が出す自己板
等があり、それぞれをBotで自動的に判別することは難しい。
よって「単一取引所の板の状態を見て高頻度売買を行うBotで収益を得ることはかなり難しい」というが現時点のワイが出している結論です。
ご意見・ご質問等ございましたらコメント・DMでお気軽にメッセージください。
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