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混沌とする「女王」の読み方

※この記事の内容はあくまで2022年12月現在の僕が調べた範囲での状況です

女王の読み方


みなさん「女王」という漢字の読み方わかりますか?
いきなり結論から言っておくと読み仮名は「じょおう」が正解です。

これがSNS等で「女王 読み方」で検索すると、「じょうおう」だと思ってた、という人が少なからずいます。

でも「女」を「じょう」と読むのは常用漢字表にはありません。夫婦の「夫(ふう)」や詩歌の「詩(しい)」は載ってます。

文化庁の常用漢字表より

読み仮名としては「じょおう」一択なんです。
(義務教育の範疇です)


読み仮名=発音?

冒頭にも書いたように、女王はなんて読む?って聞くと「じょおう」「じょうおう」と意見が分かれます。また、なんと発音するか、で考えてもらうと「ジョ・オー」「ジョー・オー」「ジョウ・オー」など出てきます。

普通、読み仮名=読み方=発音ですよね。でも女王の場合、イコールとなってない現状があります。これは、じょおうは発音しにくい、ジョの終わりとオの先頭が区切りづらくジョーーと言ってるように聞こえてしまう、といったことも一因で、(「じょおう」と言ってるつもりでも)ジョーオーと発音してしまってるケースもあると思います。

耳で覚えてしまってて、たいていの漢字は読み仮名=発音なので、なんて読む?って聞かれたら「じょうおう」って答えて(書いて)しまうことがあるのでしょう。

でも、読み仮名としては「じょおう」しかないんです。漢字テストで女王の読みに「じょうおう」と書いたら不正解になります。もし「じょおう」で不正解、「じょうおう」が正解、として採点している先生がいたら、それは先生自作テスト等で、思い込み採点してるんじゃないかと思います。前述のように常用漢字表にそんな読みは記載されてないです。

女房が「にょぼう」ではなく音便変化で「にょうぼう」になるのと同じように、じょおう→じょうおうという説もあり、発音においてジョーオーになることの理由としては納得感高いものと思いますが、(おそらく定着率や歴史、ジョオー発音の方もまだまだ使われていることなどから)あくまで慣用読みとしてはジョーオーもある、という程度に留まっています。読み仮名としては「じょおう」一択です。(逆に女房はにょぼう読みはなくにょうぼうで常用漢字表に記載されています)


でも変換できるじゃん?

この問題をややこしくしてるのが、前述の実際の発音・聞こえ方と読み仮名が一致してない(ことがある)点に加え、最近はパソコンやスマートフォンで文字を変換する際に、ちょっと間違ってても気を利かせて変換してくれる便利機能があることです。

「じょうおう」派がけっこういるのはSNS等で検索するとわかる、と最初の方に書きましたが、そのあたりの書き込みをいろいろみてみると、「じょうおう」で女王に変換できるから合ってるようだ、という意見もちらほらありました。そうなんです、じょうおうと打っても女王(じょおう)に変換してくれるんです。

でもこれは、ふいんきと打っても雰囲気(ふんいき)に変換してくれるのと同じような、そういうふうに聞こえてしまう・言ってしまう語について、変換プログラム側が気を利かせてくれている、ただの便利機能です。変換プログラムはあくまでただの便利ツールであって「辞書」じゃないのですが、そのあたりはまあ知らなくても仕方ないことかもしれません。

逆に言えば、一定の規模で女王をじょうおうと読む人がいるからこそ、変換プログラム側も女王の変換元として「じょうおう」を許容する実装をしているのでしょう。

どうでもいいですが、古の「ふいんき(なぜか変換できない)」というネタはもう使えないんですよね。


NHKのアナウンサーは?

実際のところ、発音に厳しそうなイメージあるNHKのアナウンサーはどう言ってるのでしょうか?

ずばりそのままな記事がNHKのサイト内にありました。

上記記事についてざっくりまとめると

  • 元々はジョオーと発音する※

  • ジョーオーと発音する人もいるが、それが出てきたのは比較的最近のこと

  • 夫婦や詩歌は江戸時代より前からもうその発音(読み)でそれに比べると女王をジョーオーと読む歴史は浅い

  • なので放送ではジョオーを正としている

とのことです。この記事は2002年のもので、もう20年前ということで古い感覚受けるかもしれませんが、上記にもあるように江戸時代より前から云々という時間軸で考えるなら、いくら言葉は時代とともに変化していくものといっても、21世紀初頭の放送関連においては女王はジョオー、ということなのでしょう。

※元々はニョワウ(ニョオー)だ、という話もあるようです。他にも諸説あるかもしれません。



まとめとちょっとした個人的な意見

  • 女王の読み仮名は「じょおう」が正解

  • ジョオーは発音しづらいという人もおり、ジョオー、ジョーオー、ジョウオー、など様々な言い方が存在してしまっている

  • ジョーオーは慣用読みとしては市民権をある程度得ているようだ

  • なので女王に関しては読み仮名=発音ではない(こともある)ので、何が正しいのか混沌としがち

  • 「じょうおう」で女王に変換できるのは辞書的な正しさではなく変換プログラム側の便利機能

  • 発音は放送においては「ジョオー」を使おうとNHKは言っている

実際、テレビ番組等でアナウンサーはジョオーと発音しているかというと、そうでもない印象です。エリザベス女王、アナと雪の女王、などは耳にすることあるフレーズかと思いますが、人それぞれだった記憶です。アニメの声優さんなんかも、ジョオー、ジョーオー、ジョウオー、様々です。また、聞いている側の人が「女王=じょうおう」だと思っていたら、ジョオーと発音してても、ジョーオーに聞こえてしまうってこともあるかもしれません。

とても個人的な感覚ですが、ジョウオーは変遷しすぎだなと思ってます。ジョオーがジョーオーになり、それを平仮名で表現したらじょうおうになり、それをそのまま発音してしまってジョウオー(ジョウオウ)、という経過でも辿ったんじゃないかと。

言葉って、耳から入って覚えることもあると思いますし、未就学の小さいお子さんなんかは、むしろ耳から覚えることの方がほとんどだと思うので、教育コンテンツや小さいお子さんが見るアニメーション作品なんかでは、音響監督さんに「女王」の発音は気を配っていただきたいところです。

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