自分でもできることを「任せること」と「頼ること」について

カントー市での11月、現在進行形。

ようやく先月の業務報告書と観光関連の提案事項の提出を終えたと思ったら、怒涛のイベントブース出展の月。地域の文化イベントでの観光プロモーションが終わった後、次はハンガリー大使館との共同イベント開催。の後の、カンボジア文化イベント開催。そして、メコンデルタのバクリュウ省での約1週間の観光ウィーク開催、そして、越日交流フェスティバルとVITM(カントーで初開催のベトナム観光旅行マート2019)、そうして、きっと、いつの間にか2019年最後の月へと突入するのだろう。

「みんながイベントで一番楽しむ時期、休日が無い!」と嘆く同僚たちを横目に、自分自身も忙しいながらも「いやしかし、みんな真面目に、よく働くよなぁー」と感心する。感心したことは、少し大げさに、でも真剣に伝える。「よく働いているよ!かっこよい!尊敬する!」と、同僚たちが働いている写真を撮影しまくり、共有しながら褒めまくる。「でしょ?」と、同僚達が笑顔で答える。

越日交流フェスティバルとVITMでは日本からのチャーター便がカントーに飛ぶので、数百名の日本人の方々がカントーへ訪れる。日本でベトナムやカントーを知らない人々に観光プロモーションをするのと異なり、すでにカントーに来られている日本人の方々に、カントーの魅力を観光の観点から伝えられる機会だ。もしかしたら、ビジネスで何度もカントーへ足を運んでいる方々もいらっしゃるかもしれない。けれども、これはとても素敵な機会だと思った。何よりも、同僚たちや地域の人々に「日本人への観光プロモーションとは」を体験し、知ってもらえる機会だから。

カントーのパンフレットや地図、簡単な観光動向データをインフォグラフィックで作成することを思いついた。一目で、カントー観光情報と観光関連の数字を知ってもらえるようなものを作ろう。カントーには観光動向データ(数字)は一応あるが、そのデータをビジュアル化したり、外部の人々に見せることを意識したプレゼン力がまだ足りていないと思った。そもそもインフォグラフィックとは?を自分自身がベトナム語で説明できる力が足りず、そして理解できる人々も限られているので、まずは作ってみようと思った。

でも、これを、全部自分でやってしまうと、なぜだか、あまり広まらない気がした。広まらない、というのは印刷の部数とか、どれだけ多くの人々に配れるか、とか数字的なものでなくて、自分の中での「達成感」とか「好奇心」をより広げられるものは、関わる人々の感情の変化とか挑戦する姿だと思った。

いろんな人々にメッセージを送ったり、同僚に聞いてみた。それも、デザインやインフォグラフィックのプロがいるか、ではなくて、「カントー大好きなカントー人いない?」「カントーの観光プロモーションに興味ありそうな地域住民いない?」「カントーでデザインを勉強していて、何かを作る機会が欲しそうな人いない?」「カントーで外国人と会話すること好きな人いない?」等という、結構大雑把な聞き方だった。でも、とにかくカントー限定で。それが良かったのかわからないけれど、「友人に興味ある人いる」とか「名刺作成とかデザインに興味ある学生いるよ」と繋げてもらった。

「ベトナム語ができれば、もっとちゃんと説明できるのに」とか、「日本人同士だったら、もう少し物事が簡単に進むはずなのに」とか、異なる文化で生活していると、何かに躓いたときに、それが異国や異なる言語のせいにしてしまいがちだけど、はたして本当にそうなのだろうか?

それだったら、ベトナム語がほぼ話せない自分を、人民委員会の人々と会わせてくれたり、旅行博覧会でベトナム政府観光局やホーチミン政府観光局の重鎮に紹介頂いたり、旅行博のブース出展で「とにかくマミにはより多くの人々に出会って、たくさんの人々にマミを知ってもらって、ベトナムで人脈を広げていってほしい。言語はゆっくり学んでいけばよい。」と言ってくれた同僚たちに返す言葉が無い。彼ら、彼女らは、外国人の私に、任せた。下手なベトナム語で、なぜかカントーの紹介をする外国人を、それでも前線に立たせることを選んだ。だから、私は、会い続けている。路面店でバインミーを販売しているおっちゃん、お洒落なカフェ経営者、シェフ、大学生、旅行会社のスタッフ、5つ星ホテルのマネージャー等、とにかく会って、繋げている。

自分ひとりでやれば、言葉の壁も無いし、意見の食い違いも無いし、速く、納得するものができると思う。そうしてできたものは、もしかしたら、他の人から「すごい!」と言われるかもしれない。

ただ、今の自分の環境は、そうではない。

もちろん、正直、自分ひとりでもできることを「任せること」と「頼ること」は、何でも自分でやってしまいがちな自分にとってもチャレンジだった。面倒なことがたくさんあるし、対話を繰り返さないといけないし(そもそも可視化する理由、インフォグラフィックって何?というところから、作成を通して何を目指すのかという目的の共有まで)、時間と労力がかかる。

でも、自分の経験を他の誰かに広げること、そこから何かしらの気づきを得て、それぞれの特技を生かしてもらうこと、強みを強化してもらうこと、自分の知識を他の誰かに共有して育てる楽しさを体感してもらうこと、日本語に少し興味をもってもらうこと、「外国人」目線で自分たちの地域を見てもらうこと、すでにある魅力に気づくこと・・・これらは、今の自分と周りの成長にとって大事なことだと感じる。

同時に、「言語はゆっくり学べばよいよ」と言われれば言われるほど、私の熱が入る。今日もこれからベトナム語クラスへ。私も頑張るから、みんなも一緒に頑張ろう、とでも体現できたら良いな。

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