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知的複眼思考法

"『自分で考えろ』というのはやさしい。『自分で考える力を身につけよう』というだけなら、誰にでもいえる。そういって考える力がつくと思っている人々は、どれだけ考える力を持っているのか。"1996年発刊の本書はリテラシー力を日々問われるSNS時代に生きる私達にロジカルシンキングを教えてくれる良書。


個人的には、まさに周囲の人に『自分の力で考えろ』と安易かつ漠然と言ってしまっている事への反省と【どうやって身につけるか】を代わりに相手に具体的に伝えてくれる良書を捜す中で本書を手にとりました。

さて、本書では現オックスフォード大学教授にして、単純な【経済格差のみ】で捉えるのではなく、親の教育への関心、文化レベルといった【社会階層】が子供の学習意欲や学力に強い影響を及ぼす事、そしてそれが日本の戦後教育では無視されてきたと指摘した事でも知られる教育社会学者の著者が"考える力をつけるには、どうすればいいのか。ものの見かたを変えるにはどうしたらいいのか"を【具体的にわかりやすく伝える】為に、4章立ての模擬授業のように展開していく構成となっていて。

1章では"著者と対等な視点"で読む『創造的読書』2章では"論理的で説得力のある文章"を書く『作文技法』を、3章では"なぜ?と仮説を設定し"考察する『問いのたて方』そして最後の4章では"複眼思考"として3つ。2つ以上の【関係論】〜にもかかわらずといった【逆説論】そして問題に問いを重ねる【メタ的思考】について、やさしい言葉遣いで体系的に伝えてくれているわけですが。

例題を何度も提示してくれている事で、参加型ゲームをしているような楽しい没入感、知的興奮を与えてくれました。

またWEBやSNSといっても、多くのやりとりを文字という誤解をそもそも含みやすいツールで処理することが多い私たちにとって【同じ出来事をどのように眺め、伝えるか】を空気に流されずに自分で考え、誰かと共有する為の実践的な教科書としても有用ではないか?と確かに思いました。

自分で考える力や、ネットリテラシーを【具体的に身につけたい】誰かへオススメ。

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