見出し画像

プロジェクト・ヘイル・メアリー(上)

"『二足す二は?』なんだかイラッとくる質問だ。ぼくは疲れている。だからまたうとうとしはじめる。数分後、また聞こえてくる。『二足す二は?』"2021年発刊すぐベストセラーとなった本書は映画化も決定、地球滅亡の危機を描く極限下でのエンタメSF。(上巻)


個人的には同じく映画化もされた『オデッセイ』原作の『火星の人』も既読済であったので、本書も手にとってみました。

さて、そんな本書は不慮の事故により一人火星に取り残されてしまった宇宙飛行士の孤独な脱出劇を描いた『火星の人』の冒頭を彷彿とさせる?記憶が曖昧な自分の置かれた主人公が【状況を冷静に解明しつつ、本来のミッションを思い出して】太陽からの熱エネルギーを盗む『ペトロヴァ・ライン』により、氷河期による滅亡の危機にある地球を救うために奮闘していくのですが。

まあ、最初にニヤリとしてしまうのは(『火星の人』同様)絶望的な状況下でもユーモアを忘れず、また【ひたすらポジティブな主人公の様子】で。多くの漫画やアニメ作品で描かれる宇宙船の暮らしは【地球とあまり変わらない快適さ】だったりしますが。現実的には【一つのミスで絶望的な状況になる緊張感】が、主人公の存在でシリアスさばかりが強調されず、エンタメ作として『うまくバランスが取れている』ように感じました。

また、火星からの脱出を図る宇宙飛行士と救出を図ろうとする地球スタッフが(ほぼ)同時進行で描かれた『火星の人』と違って、本書では宇宙船での現在の主人公の様子、過去の宇宙船が出発するまでの主人公の様子が交互にはさまれる構成になっているのですが。結果として一本調子にならない『起伏に富んだストーリー展開』になっていて(まだ上巻を読み終えたところですが)とても面白かったです。(上司のストラットも魅力的)

リアル寄り、またサバイバルSF好きな全ての人にオススメ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?