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せやしだし巻き京そだち

オススメ337。"せやし は、便利な言葉である。後に続くのが否定の言葉でもいいし、肯定でもかまわない。そのどちらでなくともかまわない。"2010年発刊の本書は、雑誌の錦市場特集に掲載した4コマ漫画から誕生したアッコちゃん(と家族たち)による昭和な京都エピソード。

個人的には京都に引っ越してきて、手当たり次第に京都本を手にする中、どこか『ちび○○子ちゃん』を彷彿とさせる表紙が気になって手にとりました。

さて。そんな本書は京都市中京区の白生地問屋に次女として生まれた原作者の分身とも言えるアッコちゃんを主人公に、叔父や叔母、住み込みのお手伝いさんもあわせると【13人の大家族で暮らしてきた日々】が、春夏秋冬の季節に応じた京都の伝統行事紹介も混じえたコミックエッセイとして描かれているのですが。

まず、本書が単行本デビュー作となった漫画担当のハンジ リョオが描く登場人物たち。中でもお爺ちゃんやお婆ちゃんといった高齢者の方々が何とも【強いインパクト、味わいのある姿で描かれていて】ユーモラスさでも印象に残りました。

またアッコちゃんの眼差しで追体験する。【常に誰かがいては話しかけてくる】大所帯の家族の様子は京都に限らず少子高齢化の進んだ今は日本的にも【失われた昭和ファンタジー】となっていることから。なんとも懐かしいような時代の空気が保存されているように思いました。

昭和の京都に想いを馳せたい方や、気軽に読めるコミックエッセイとしてオススメ。

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